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仮面の中  作者: 高見 リョウ
デート
11/12

2-6

 剣士との待ち合わせ場所は、大学の西側の入り口で会った。この場所を待ち合わせにした理由は、由姫が授業を受けていた講義室から距離的に近いからというわけではなく、人通りが少ないからだ。距離的に近いのは正門かその反対側の北門ということになるが、そこは人通りが非常に多く、待ち合わせに適しているとは到底言えない場所であった。

 由姫が待ち合わせ時間よりも早く着くように、早歩きで西側の入り口に向かうと、その場にはすでに剣士の姿があった。由姫は大分待たせているのではないかと思い、少し駆け足になって剣士に近付いた。

「すいません、待ちましたか?」

「いえ、3分前くらいに来たところです。女性を待たせるわけにはいかないと思って、すいません変な気を使わせてしまいましたか?」と剣士はかなりかしこまった態度で話していた。それに対して由姫は、「いえ、そうですか」と明るく答えた。由姫には、剣士が律儀な性格の持ち主のように思えた。

「今日はどこに行きますか?」

さっそく由姫は、デートでどこに行くのかを剣士に聴いてみた。

「どこに行きましょうか?どこに行きたいですか?」

剣士の返答を聴くと、事前に行くところを決めていないようであった。しかし、由姫にとっては行き先を決められていない方が好都合であった。事前に男性の方が行き先を決めていて、それに沿った形で行動をするのはとても窮屈に思えるからだ。由姫は、「じゃあ、私の行きたいところに行ってもいいですか?」と剣士に聞いた。

それに対して剣士は、「はい喜んで!」と答えた。

 由姫はそれからどこに行こうか悩んだが、久しぶりに海沿いに行きたいと考え、「海ノ中道に行きませんか?」と剣士に聴いた。すると剣士は「いいですね!」と答えたので、由姫と剣士は志賀島方面へ向けて出発した。

 剣士は意外にも、車の運転免許を持っており、車もトヨタのAQUAを所有していた。顔は不細工だが、それ以外でのポイントは由姫の中では上昇していた。しかしこのポイントは、彼氏にはならない前提で上がっているポイントであったので、由姫はさほど気にしていなかった。

「大杉くんは、いつから剣道を?」

由姫は、剣道の話を持ちかけた。これでしばらくは話を続けられるはずだと考えた。

「小学校5年生からです」

「以外に遅いんですね」

「遅いですか?」

「いや、大杉くんはものすごく強いから、5歳とか早い時に始めてるのかと思ってた」

「そうですか、僕は遅かったんです」と剣士は笑いながら答えた。

「当時、地元で剣道やってたやつで、すごく嫌いな奴がいたんですよ」

「どんな奴ですか?」と由姫は少し興味を持って聴き返した。

「僕の初恋の女の子をいじめてた奴です!そいつが剣道していて、いつかぶん殴ってやろうかと思ってたんですけど、普通に殴るのは、辞めろって親に言われたんで、そいつが自信満々にやってた剣道を始めたんです」

「へ~なんだか、ドラマになりそうな展開。で、そいつには勝ったんですか?」と由姫はさらに聴き返す。

「勝ちましたよ!中学校1年で初めて勝って、それから負けなしです」

剣士の声には自信がみなぎっていた。由姫は思わず、「大杉くんてかっこいいですね!」と言った。そして、由姫は運転する剣士の顔を見たが、やっぱりその顔は不細工であった。


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