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親と子。
「あ、ありがたき....!!」
秀次は感動し声を荒げた...
そんなとき幸太朗は
「...オギャア!!!」
(よ、よっしゃあ!!す、少しかもしれないけど生き延びる可能性が出た....よく、よくやったぞ秀次、一豊!!)
「我が子も喜んでいるようだな...」
ホッとした顔を綻ぶ秀次である。
「しかし、秀次様...夫である宿老衆は秀次様を守る役...」
と千代が言うと
「ならぬ!一豊、千代は何よりも...
その子を守ることを優先せよ。」
我より子を。産まれて間もなく、まだ広まることのない子
であるからこそ、その子だけでも血を残そうと必死であった。
「....かしこまりました。」
一豊、千代は平伏した。
「さらばだ...また生きて...逢おうぞ。
逢えぬなら...そちが果たすのだぞ....。」
そう言い、秀次は自身の脇差と子を、幸太朗を一豊に預け
名残惜しく去った。
秀次の子、幸太朗は死産したと広めた。
苦心。離れたことの悲しさを改竄し顔に表すことで
近者にすらバレないようするのであった。