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大坂、初対面弐
秀頼のほうが若干年上だが
ぽっちゃりしてやがるしぼーっとして...
こいつ、さぞ豪華な暮らしをなにも知らずに...
隣の淀君なんか女狐じゃねーか....
憎み口を脳内で思うに留め
見える程度だけ顔を上げた。
そして
辰之助は二人を見た瞬間
父秀次の死に様を思い出した。
そこからというと
一豊が二人に辰之助を世嗣ぎとして
認めてもらうよう説明していたが
辰之助はじっと秀頼を見ていた。
いや、睨んでいたかもしれない。
秀頼がそそくさと出ようとした為
認められる形をとり、会合は終わった。
その後城内通路にて...
「これは、山内殿ではないか。」
目の前にカリスマ系男性が
一豊に声をかけた。
「石田治部少輸殿ではござらんか。
この度はありがとうございます。」
一豊は目の前の石田三成に頭を下げた。
「此度はご苦労である、山内も亡き秀次のように
ならんようにな。」
そう言い残し、三成は去っていった。
辰之助は一豊をそっと見た。
隣で血管の切れる音が聞こえた。




