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松永幸太朗としての怨念
幸太朗は、わかっていた。
わかっていたが虚しい。
勿論転生し、
偶然行き着いた先がただ父秀次であった。
....というだけ。
戦国の勉強等で知ったときも
可哀想やなー。と軽い他人事であったし。
一瞬とはいえ父からの愛情は
受けたし、俺の事を思い逃がしてくれた。
その父...の首を前に
複数の兄、姉、母、家臣等が
次々と殺されていく様子は
現代でまず見ることはないだろう。
そんなことすら許された
豊臣秀吉、いやあの猿を見ることもなく
病死してしまった。
この恨みを誰にぶつければいい...?
捌け口はどこに向かえばよいのか
ただ堪えて、堪えて
平和な場で行き、平和な場で死ぬのか。
じゃあその恨みの先が見つかり
果たしてぶつけられるのか...
豊臣秀頼?
淀君?
それとも石田三成か?
毛利の説もあったな。
いっそ.....
全て壊すか。
史実は知っている。
その為の準備だ。
まずは関ヶ原か。
そんなとき、使いが来て
一豊、千代、心衛門、いつの前に呼び出された。