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秀次悪逆
高野山、秀次は介錯の上切腹した。
その様は謀反人とは思えないものであった。
三人の小姓は腹を切り、秀次自ら介錯し命を落とし
一人は自らの切腹にて命を落とす。
五人目として秀次も腹を切り雀部という侍に介錯され
父、秀次は命を落とす。
その落とす瞬間を幸太朗は勿論見ていない。
しかし
黒田心衛門一貞、そして幸太朗は
町民に化け、京にいた。
本来、掛川にいるはずの二人は何故京にいるのか。
父が殺された15日後。
秀吉は秀次の近者の根絶を目指した。
秀次の首を置いた先に約39人が処刑された。
その様子を幸太朗は全てを直視出来なかった。
さらに処刑された39人は乱雑に重ねられるなどし
幸太朗は怒り狂った。赤子である幸太朗は
ただ鳴き喚くことしか出来なかったという。
(こんなことがあっていいのか...許さない...復讐してくれる...!!)
抱えていた心衛門も流石にこの様子を恐れるあまり
幸太朗が鳴くことにも気づけず棒立ちであった...
秀次らの墓には
「秀次悪逆」と彫られた石塔が建てられた。
直ぐ様心衛門は掛川に戻り
改めて命を懸け、幸太朗を守ると誓うのであった。