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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第三章 子供も逃げ出す大冒険?
76/86

Episode:76

「逃げきれる?」

「分かりません」


 イノーラがそう言うのなら、危ないのだろう。

 ならば、とエルヴィラは操縦桿を握った。


「回避する!」

 あとはカンだ。


 全方位モニターを見ながら、伸びてくる触手のようなものを次々と躱す。

 スピードはほぼ互角、小回りはこちらが上。ならば操縦の腕さえよければ、分はこちらだ。


 横にスライドさせ、加速し、減速し、急旋回し、捉えようと迫る腕(?)をかいくぐりながら、エルヴィラは船を上昇させた。


「もう、来ないようですわ」

 姪っ子の声で我に返る。


「逃げ切った?」

「おそらくは。ですけど、もう少し離れたほうがいいかもしれません」

「分かった」


 イノーラの言葉に従って、惑星から距離を取る。


(――距離に制限があって、ホントによかった)


 エルヴィラは心底そう思った。それがなかったら、今頃船ごと捕まっていたはずだ。

 ほっと息をつくと、やけにのんびりした声が聞こえた。


「おーい、だいじょーぶかー?」

 例の情報屋だ。そういえばさっき一言返したあとは、ずっと放置だった。


「うん、大丈夫。何とかなった」

「そりゃよかった」


 映像を入れる気にはならなかった。もしかしたら向こうは、また趣向を凝らした格好をしてくれているのかもしれないが、今は見るだけの気力が無い。

 ちょっとだけ申し訳ないと思いつつ、エルヴィラは情報屋に言った。


「何とか切り抜けて、ごめん疲れた。急ぎじゃないなら、情報あとでいい?」

「いいぜ。さっきの〝休眠状態〟ってのが、急ぎの情報だったからな。それが何とかなったんだったら、あとは急ぐ物はねーよ」

「そっか、ありがと。じゃぁ申し訳ないけど、また後でね」


 言って通信を切る。自分でも驚くくらいに疲れていた。

 隣で姪っ子がぽつりと言う。


「これじゃ、放置されるわけですわね……」

「だねぇ……」


 考えてみれば、この星に調査隊や救出隊が来なかったわけがない。

 なのに当時のまま放置され、データが抹消されているのだ。危険度は推して知るべしだった。


「まったく、なんであんな危ない実験、地上でやるかなぁ……」

 宇宙空間なりなんなり、もう少しやりようがあるだろう。


 そこまで考えて思い出す。

 式と一緒に見つかった座標。それを記録していた人物は、「なぜ先にそこを調査しなかったのか」と言っていなかっただろうか?


 ――だとすれば。


 動き出したら最後、あの〝何か〟は押し止めようがない。けれどあの座標を調べたら、止められるのではないか。

 もしそうなら行ってみる価値があると、エルヴィラは思った。

 すぐさまイノーラに話す。


「――だから、行ってみようよ」


 姪っ子からは、まだ毒舌が返ってこなかった。よほど怖かったらしい。

 そんな姪っ子を可愛いと思いながら、エルヴィラは続けた。


「あんなものが普通に使われだしたら、銀河大戦どこじゃなくなるよ。

 だからさ、止められる可能性があるなら、調べてみない?」

「そうですわね」


 今度はイノーラも同意する。あれだけの体験をしたあとだけに、止められる手段があるなら欲しいらしい。


「じゃぁ決まり、行こう。でもその前に、ネメイエス政府だね」

 言ってエルヴィラは、船を動かした。

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