表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第三章 子供も逃げ出す大冒険?
60/86

Episode:60

 もちろん地球のように銀河文明に参加していない種族のものなら、こういう結果はあり得る。

 文明が存在を知らない種族のデータが、あるわけがない。


 だがこの第四惑星は違う。

 文字だけでなく、標準式までが使われているのだ。銀河文明と付き合いがあったのは間違いないはずだ。

 が、データは無い。


(どうなっちゃってるんだろう……)


 もう一度よく考えてみる。

 この惑星の情報が銀河政府のデータコアに無いのは、ここ数日の検索で分かっていた。


 だがこの星は、おそらく植民惑星だ。だったら必ず住人が本来居た母星があり、機械類は概ねそこと共通のはずだ。

 なのに、その情報さえも出てこない。


(けど種族丸ごとってのは、ちょっと大きすぎるよねぇ)


 エルヴィラがいちばん引っかかるのはそこだった。

 物事というのは規模が大きくなればなるほど、隠せなくなるものだ。


 だからこのネメイエス第四惑星の情報は消せても、いくつもの星系にまたがる文明は消せないだろう。

 必ず噂になるし、そもそも全員を虐殺しない限り根絶はさせられない。


 けれど現状、見事なくらいに消えている。

 なにしろこれだけ決定的な手がかりが在っても、母星がどこかさえ割り出せないのだ。


(もうひとつは、あんなにはっきりしてるのにさ――あれ?)


 何かとても重大なことを、見落としている気がする。

 この星系にあるもうひとつの文明、ネメイエス。発生星系だ。

 そして目の前の、植民惑星。


(待って、待ってよ……発生星系に植民惑星って、ふつうはあり得ないよね)


「発生星系への植民は不可」。

 契約の概念と並んで、銀河文明では最も重要視される不文律だ。


 過去幾多の種族を滅ぼし、大規模な星間戦争の引き金ともなった植民の問題。

 だからこれに関しては細かく明確に定められていて、生命体が存在すると認められた星系は、一切の植民が不可能になる。


 地球が高度な科学力を持つ異星人に侵略されずに済んでいたのも、この不文律があればこそだ。

 同じ理由でネメイエス人の生まれ故郷であるこの星系も、植民は不可能なはずだった。


 なのに、もう一種族居る。

 しかもネメイエスの神話に足跡を残しているから、少なくとも数千年前まで存在したはずだ。都市の保存状況とも、それならほぼ合致する。


 星間戦争時代、十万年以上前にここへ植民して、それからずっと住んでいたという可能性も、もちろんゼロではない。

 だがそうだとすると、かなり長期間栄えている種族ということになる。


 星間戦争時代から文明が続いているようなところは、どれも有力種族だ。


 悪名高いソドム人をはじめ、超高度な科学力で他を圧倒するナレプタリトゥア人、生身で宇宙を駆け一人で戦艦をも駆逐するというラルピニ人、生体演算機の異名を持ち珪素系生物の代表格といえるベニト人等、とても敵に回せるような相手ではない。


 十万年という時間は、それだけの重みを持つ。

 その名だたる大手種族を綺麗さっぱり、政府だけでなく民間のデータベースからも消すことなど不可能なのは、子供だって分かるだろう。


 逆に言うならこの惑星の住人は、大手種族でもなく長い歴史を持っていないということだ。

 だとすると、可能性は一つしか残らなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ