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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第三章 子供も逃げ出す大冒険?
55/86

Episode:55

「何が起こったんだと思う?」

「見当もつきませんわ。

 でももしかしたら、どこかに記録くらい残っているかもしれませんね」


 さしもの姪っ子も、原因までは特定できないらしい。が、解明する気満々だ。


「そもそも、ここで何をしていたのか……あら?」


 周辺をスキャンしていた姪っ子が、一点に視線を向けた。


「何かあったの?」

「ええ」


 イノーラはそれだけ答え、ふわりと少し右下へ降りていく。

 慌てて追うと、彼女は別の遺体――あまりそう思いたくない――のそばに舞い降りて、傍らを覗き込んだ。


「何か、引っ掻いた跡がありますわね」

「ほんとだ……」


 姪っ子が指さす先を見ると、確かに薄い機械らしきもの――たぶん情報端末――の横、平らな表面を、何かとがったもので引っ掻いたような跡があった。


「文字ですわね。銀河標準文字かと」


 イノーらが顔を近づけて断言した。

 読んでみる。


「中……かな? それとも上かな」


 引っかき傷の文字は歪んでいて、判別がうまくつけられない。


「――あら、こちらにも」


 姪っ子がどこか嬉しそうに、別の死体の傍へと移動した。


「やっぱり端末の隣に……これは銀河標準数字?

 大統一理論式と、何でしょう……?」

「……あたしパス」


 早々に白旗を揚げる。

 エルヴィラは、ともかく数字や式が苦手なのだ。


 銀河文明の機械類は地球と同じで、根本原理など知らなくても使えるように出来ている。

 だからエルヴィラは、宇宙船を勘と経験で操ることは出来ても、細かい計算は出来なかったりする。


 ただ姪っ子は、そういう数式などに天賦の才があった。

 それが宇宙を自在に駆ける銀河文明の中で、超高度な理系の教育を受けた結果、恐ろしいことになっている。


「見たことのない式ですわね……それにところどころ、間違っているような?

 数字の書きかたが乱暴ですから、焦っていたのでしょうけれど」


 死体の傍らで数式についてつぶやく若い娘というのは、見なかったことにしたくなるほどシュールだ。

 なんだか頭痛を覚えながら、エルヴィラは少し辺りを歩き回ってみた。


(あれ……?)


 よく見ると、死体らしきものはみな、傍に引っ掻き傷がある。

 すぐに気付かなかったのは、引っかき方が場所によっては薄くて、光線の加減で見えなかったからだ。


「イノーラ、ごめん、ちょっとこっち来て!」

 姪っ子を呼ぶ。


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