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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第三章 子供も逃げ出す大冒険?
46/86

Episode:46

「んじゃ、どうしてたんだろ? 何もなかったら、泥棒とか入り放題じゃん」


 彼女が図に乗るのを承知でエルヴィラは聞いた。要するに姪っ子は、威張ってみたいだけなのだ。


「おそらく、シールドですわ。この開口部全体に、それらしき部材が嵌められていますから」

「え? あ、ホントだ……」


 言われて良く見てみれば、たしかに滑らかな金属で出来た枠が、開口部に嵌められていた。その色や質感が、銀河系の船に良く使われる、シールド発生装置に似ている。


 なんだかめまいがした。


 星の海を渡って移民するくらいなのだから、こういう技術があって当たり前なことは、頭では理解できる。

 だが半分は地球で育ったエルヴィラにとっては、夢のような技術だ。


 ――それが、無造作に使われている。


 地球でも地域によって文明の格差はあったが、銀河の格差はそれ以上だ。

 そんなレベルの相手に立ち向かって、地球を取り戻せるだろうか? そんな弱気がエルヴィラを襲う。


「……おばさま? ぼうっとして、頭でもどうかしまして?」


 相変わらずの毒舌が、エルヴィラを物思いから引き戻した。


「ううん、さすがだなーって思っただけ」

 思ったことはカケラも見せず、何食わぬ顔で建物の中へ視線をやる。

「行こっか」


 言ってエルヴィラはシールドの向こうへと一歩踏み出し――その場で凍りついた。

 何かが横から倒れかかってきたのだ。


「ちょっ、やっ、なにこれっ!」

「有機体に見えますが」


 一歩遅れたために被害からまぬがれた姪っ子が、冷静に答える。


「ゆ、有機体でも何でも! やだもうっ!」


 降りかかってきたのは、青くてかさかさした何かの残骸だ。菜っ葉や虫が乾燥したら、多分こんなふうになるだろう。


 ただし、大きい。

 エルヴィラの背丈を超える。

 身をよじって振り払うと、どさっという音を立てて〝それ〟は床に落ち、一部が砕けた。


「なんなのよ、お化け屋敷じゃあるまいし」

「お化け屋敷かどうかは知りませんが、有機体ですわね。状況や形状、大きさから見て、外骨格を持つ生き物の死骸では?」


 イノーラの言葉を理解するのに、数秒かかった。


「し、死骸って……つまり死体?!」

「はい」


 姪っ子の答えに、エルヴィラの背筋を冷たいものが這う。

 ――入っていきなり死体があったということは。


「まさかここ、こういう死体だらけ?」

「お待ちを。スキャンします」


 少しの間を置いて、イノーラが淡々と告げた。


「この建物内、スキャンできる範囲に同様のものが点在しているようですね」

「ひぃ……」


 思わずヘンな声が出る。これでは墓標のように「見える」のではなくて、正真正銘の墓標だ。


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