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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第三章 子供も逃げ出す大冒険?
45/86

Episode:45

「どこへ向かいます?」

「うーん……とりあえず、近場?」


 あちこち見て回りたい気もするが、この廃墟をうろつくのは気が進まない。


「では、すぐそこの建物へでも」


 イノーラが指差した先には他に比べれば小さいが、それでも目眩がしそうなほどに大きな氷柱が伸びていた。

 落ちていかないよう斥力場を調整して、宙へ踏み出す。


「これ、ホントよく出来てるよね」

「別に珍しいものではありませんけど?

 いくら地球出身だからと言って、未開人のような言動は慎んでくださいね」


 銀河育ちのイノーラから毒舌が返ってきたが、それでもエルヴィラにしてみると、この斥力場は驚異だった。


 なにしろ、空中を「歩ける」のだ。


 重力を相殺して身体が羽のように軽くなった上、宙を足で文字通り「蹴る」ことが出来る。

 どうも重力の方向を感知して、身体の下側に斥力場を展開するらしいのだが、エルヴィラの理解は今ひとつだった。


 ――頭のいい姪っ子は、そうやって分からずに使っているのが気に入らないようだが。


 けれど、すぐに分かるような簡単なものではないのだ。とりあえず使えるからいい、エルヴィラはそう割り切っている。

 ぶつぶつと責めるイノーラは無視し、エルヴィラは目的の氷柱へと足を進めた。


 そのスピードは、地球で走るのに比べてかなり速い。

 身体が軽い上に、宙を蹴って走るというより飛んでいるから、キロ単位の長距離もあっという間だ。


 氷柱が目前に迫る。


「どんだけあるんだろう……?」

「これは全長一キロくらいかと」


 とんでもない規模だ。しかもそれが壊れたりせず、遺棄されたままの状態で残っているのだから凄い。


 無人になったのは、どう考えてもネメイエスの神話の時代の話だろう。

 ならば最低でも、数千年。ヘタをすれば一万年以上。


 その間朽ちない技術は、銀河レベルでなら確かに存在するが、地球人思考のエルヴィラには理解の範疇を超えていた。

 あまりのスケールに圧倒されながら、入れそうなところを探す。


「この構造を見る限り、窓から出入りしていたのでは?」


 姪っ子が建物を指差しながら言った。

 無限の階層が積み重なった氷柱は、どれも階ごと窓ごとに、テラスのようなものが着いている。出入りするにはうってつけだ。


 さっきの縦穴といい、窓から出入りするらしい建物といい、やはりここの住民は空を飛べたのだろう。

 手近なテラスに降り立って、大きな開口部を調べてみる。


「ガラスとか、ないんだねぇ」


 高さは、エルヴィラが立ったままで全く問題ない程度。幅は両手を広げたくらい。

 ただ地球なら付き物の、ガラスや何かをはめ込む溝は、どこにも見当たらなかった。


「これだけの都市を築く方々ですよ?

 窓のような原始的なもの、使ったとは思えませんが」


 そんなことも分からないのかと、これ見よがしに姪っ子が言う。本当にひねくれ者だ。


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