表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第三章 子供も逃げ出す大冒険?
40/86

Episode:40

 エルヴィラたちの船は、この星系へ最初に来た位置へ戻ってきていた。

 なんだかおかしな感じだ。少し前、宇宙蝶に連れられてここへ来たときは、あんな大仕事に関わるなんてこれっぽっちも思っていなかった。


 地球とネメイエスとは、上手く行っているらしい。速攻で交わした契約が、思惑通り妨害をブロックしているようだ。

 上手く行き過ぎて、ソドム人の報復が怖いところだ。


 目の前の惑星は当たり前だが、最初に来た時とほとんど変わっていない。違うのは宇宙での位置くらいだろう。


「さぁて、上手に降りないとね」


 言ってみたものの、実際にはそんなに難しい作業ではなさそうだ。宇宙蝶に大気圏へ放り込まれそうになったときは確かに焦ったが、自分から降りるならどうにかなる。


 何より、船の調子がすこぶる良い。理由は単純で、きちんと整備したからだ。


 移住先が決まったのが、ネメイエスにはよほど嬉しかったのだろう。エネルギー切れでエルヴィラたちが停泊しているのを知るや否や、補給を申し出てくれた。


 しかもついでに、だいぶガタがきていた船を無償で直してくれたのだ。

 とはいえ元がボロだから、完璧にとはいかない。そもそもこれを完璧に直そうと思ったら、買いなおしたほうが早いくらいだ。


 だがそれでも廃船同然から、中古買いたてくらいにはなっていて、エルヴィラとしては文句が無かった。

 地上へ向かって、船の高度を落としていく。目的は、この星で一番大きい遺跡だ。


「斥力場は?」

「異常ありませんわ」


 この斥力場のおかげで、大気圏突入は銀河系の船にとって、地球で考えるほど難作業ではない。ただそれでも「通常の航行」とはワケが違うので気は抜けなかった。


「現在高度八十キロメートル。降下にはあと四十分ほどかかります」

「了解」


 イノーラに返事をしながら計器にざっと目をやったが、やはり問題はなさそうだ。自動制御がよく働いている。


「すごいなぁ、徹底的に直してくれてるかも」

「ええ」


 姪っ子が嬉しそうなのは、自分の半身になりつつある船が、調子がいいからだろう。

 何しろイノーラは、人間より機械のほうが相性がいい。人相手だと怒らせるしか出来ないのに、機械は魔法のように操る。


「お茶でも淹れる?」

「どうぞ。おばさまが席にいらっしゃらなくても、問題はありませんから」


 やっぱりこの姪っ子、ひねくれている。そう思いながらエルヴィラは操縦室を出て、居住スペースへと向かった。

 戸棚を開け、とっておきのパックを取り出す。もう幾らも残っていない、地球産のお茶の葉だ。


 銀河系の技術は、エネルギーを物質に変換して食料を生み出すところまで来ている。当然成分や何かもすべて同じだ。


 ただ不思議なもので、誰もが何故か「自然に育ったもの」のほうが美味しいと感じる。

 だからこのお茶をはじめ、天然物は引っ張りだこで高級品扱いだった。


 せっかく地球の近くまで来ていることだし、この調査が終わったら買いに行こうか、などと思いながら、お湯を沸かしじっくり蒸らし、と時間をかけて淹れていく。

 銀河では高級品でも、現地まで行けばありきたりのものだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ