表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第二章 あなたに惑星(ほし)の押し売りを
36/86

Episode:36

 姪っ子はなんでも杓子定規だが、エルヴィラはかなりいい加減だ。

 黒とされないうちは、誰かを泣かしさえしなければOK。それがエルヴィラの考え方だった。


 もちろん、落とし穴があることは百も承知だ。

 だがそれでは銀河で商売など出来ないし、人が助かるならなおさら、躊躇う理由はない。


 イノーラはまだ何か言っていたが、エルヴィラは構わずに契約書の確認を始めた。


 といっても、そんなに複雑ではない。

 地球側が相談と称して出してきた「欲しいもの」のリストを見ながら、内容と金額とを大雑把に銀河式に置き換え、チェックしていくだけだ。


「けっこう、妥当かな?」


 最初に金額が提示されたせいか、地球側はその辺りを踏まえた上で、最大限に近いものを出してきている。

 ただ、あくまでも「最大限」で、それ以上ではない。


「この辺が、やっぱり地球なんだよねぇ……」


 異星人になどどうやっても対抗できない。その自信のなさからくるのだろうが、商売はこれではダメだ。


 実際に相手がどれだけ隠しているかなど、やってみなければ分からない。

 だから相手が呆れるほど吹っ掛けてみて、笑いながら引っ込めるくらいでいいのだ。


 ――もっとも思ったところで、やるわけにはいかないのだが。


 交渉自体はすでにエルヴィラたちの手を離れて、国家同士のやり取りになっている。

 そこへ一介の商人が、勝手に口を挟んで書き換えたりは出来ない。


(けどまぁ、ラッキーかな)


 相手のネメイエス人は、銀河の種族にしては珍しく誠実だ。

 どこも自分たちの利益を最優先、相手がどうなろうと契約さえ結べばいいという発想が多い中、「相応に」というのはお人好しの部類だ。


 そういう相手と手を組めたのは、まだ未熟な地球人にとっては、幸運以外の何物でもないだろう。


 取り引きの詳細は、ネメイエスの外交部に任せるつもりだった。

 何しろこれだけ大きな契約だ。

 個人で商売しているだけのエルヴィラには、どう足掻いても手に余る。出来るのはせいぜい、見落としや穴をふさぐ程度だ。


「あ、そうだ」

 ふと考えついて、思わず声が出た。


「また独り言を……病院の手配でもしておきますわ」

「要らないってば」


 どうしてこうひねくれてるのだろうと思いながら、エルヴィラは思いついたことを地球側の要望に付け足す。


「何ですの、それは」

 興味を示したらしく、姪っ子が訊いてきた。


「個人的な要望……っていうか、意見? 出来たら考慮お願いします、って感じ」


 内容は、「この取り引きの契約を、なるべく早く行う」だ。


「……意味がわかりませんけど?」

 姪っ子が冷ややかな視線になる。


「もともとこの契約、ネメイエス側が急いでるものでしてよ。なのに何故、余計急かすのです?」

「急かさなきゃダメだから」


 エルヴィラの言葉に、イノーラがあからさまに不機嫌になった。頭がいいだけに、分からないのが面白くなかったのだろう。

 面倒な性格だと思いながら、エルヴィラは説明を試みる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ