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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第二章 あなたに惑星(ほし)の押し売りを
28/86

Episode:28

「その件ですが、とりあえず打診だけでも、地球側にしていただけないでしょうか?

 私どもより同種の方のほうが、話を持っていくには適していると思いますので」


 読み通りだ。それに対して、にこやかに答える。


「前に言ったとおり、交渉は私たちが受け持ちます。地球はいろいろ、難しいですし」

「ええ。その辺は我々には、なんとも分かりませんので」


 当然だろう。

 銀河系中を探したって、未開の惑星なのに銀河文明と接点があって、尚且つ子供が売りに出される星など、地球くらいだ。


 こんなややこしい背景を持つ相手と上手くやるのは、並大抵のことではない。同郷の商人が間に立つというなら、任せるのが賢明だ。

 そんなことを思いながら、エルヴィラは持ちかけた。


「ではとりあえず、仲介に関しての契約を詰めさせていただけますか? その辺がはっきりしないと、私たちも引き受けるのに少々怖いので」


 契約がすべての銀河では、裏を返すと「契約していないこと」は何でもアリにされる。

 交渉失敗の際の取り決めをしておかなかったために、後からとんでもない額の賠償金を請求されたなどという話は、それこそ掃いて捨てるほど聞いた。


 だからこういう些細なことでも、きちんと取り決めを交わしてから取り掛かるのだ。

 正直面倒だとは思うが、何もかも違う異星人同士では、これが一番確実なやり方なのだろう。

 相手もその辺は分かっているから、否やはない。


「もちろんです。決めるのは期日、成否とその報酬、権限、この辺りでよろしいですか?」

「ええ」


 気を引き締める。

 地球のためにも、まず最初のここで、つまづくわけにはいかなかった。


「まず、この交渉についてですが」

 ネメイエスの外交部が切り出す。


「太陽系第五惑星木星に、我々ネメイエス人が一定期間以上住めるように、というのが最低条件です。この点についてはよろしいですか?」

「はい」

 素直に同意する。こちらが想像していたのと、ほぼ変わらない。


「次に『一定期間』というものですが……」

「七百五十年ではどうです?」

 すかさず、こちらから提案する。


「そのあたりを目処に、万一もとの星系へ戻れなかったり、次の移住先が見つからない場合は、改めて契約のし直しということで」

 もちろんこの年数には、下心があった。


 仮にネメイエスが元の星に戻るとして、それは早くても七百年近く先だ。

 最初のガンマ線照射は七年後だが、その後の衝撃波の到達には、おそらく六百年以上かかる。


 その様子を見て、場合によっては星の環境を整えて戻るとして、これより早くは難しいだろう。

 だからそこにおよそ百年上乗せしておけば、向こうも嫌とは言わないはずだ。


 そしてこれなら、太陽系をガンマ線バーストから守ることも、自動的にやるハメになる。

 ただネメイエスは、さすがに交渉上手だった。


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