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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第二章 あなたに惑星(ほし)の押し売りを
26/86

Episode:26

「ねぇイノーラ、地球って今、どうなってる?」

「どうって……どういう意味ですの?」

 予想外の質問に、才女の姪っ子もいささか思考停止したようだ。

 その隙を突いて言葉を重ねる。


「だからさ、地球は今、子供をペットにして売ってやっと生きてるよね」

「ええ……」


 エルヴィラにしてみれば、とんでもないエゴだと思う。

 今居る大人たちを生かすために、何故自分たちが売られなくてはならないのか。当の大人たち自身を売るべきではないのか。せめて、拒むべきではないのか。


 だが本能は、すべての理性を踏みにじる。それで明日の食料が手に入るなら、人はたちまち鬼にも悪魔にもなる。


 もちろん我が子に白羽の矢が立った親たちだって、ぼうっとしてはいない。逃げたり隠れたりと、だいたいは必死に子供を守ろうとする。

 だが飢えた人々は容赦がなく、全員が監視者となって探し回るのだ。


 親子が逃げていると親類も白い目に晒され時には解雇されるうえ、子供が売れれば遠縁まで食料をいくらか優遇されるのもあって、なかなか味方にはならない。


 それどころか他の兄弟を人質にしたり、勝手に養子縁組をして親権を奪ったり、果てにはリストに挙がった子の親兄弟を殺そうとまでする。


 加えて宇宙へ出れば、子供たちが飢えることはない。

 この辺の保護は銀河系ではきちんとしていて、地球のペットなど足元にも及ばない扱いだ。


 上手くいけばエルヴィラたちのように、銀河系の教育を受けられることさえある。

 そんな幾つもの理由で、親たちは泣く泣く子供を手放すのだった。


 ふざけている。腹が立つ。許すつもりなどない。


 だが、ここで息巻いていても状況は変わらない。

 むしろこのままでは余計悪くなって、自分たちのように売られる子供が増えるだけだろう。


 ――だから。

 まっすぐにイノーラを見ながら、言う。


「あたしこれ以上、子供は売らせたくないんだ」

 姪っ子は何か言いかけたが、けっきょく言葉にならなかった。


「ネメイアスの外交部からOKの返事が来たら、特使の肩書きもらわなきゃね」

「特使、ですの?」

 どうも交渉ごとに疎いイノーラは、ピンとこないようだ。


「だってあたしたち、ただの貧乏人だよ? いくら地球出身だからって、地球政府にただ話しても、取り合ってもらえるわけないでしょ」


 話をするならまず、相手と同種を探し出して、仲介をしてもらう。これは銀河系の一般的なやり方だった。

 考えてみれば地球だって、まずは人の縁を頼る。ならば見掛けも考え方も違う異星人同士より、同種のほうが話が早いのは当たり前だ。


 そして銀河市民権を持つ地球人は、ほとんどゼロと言っていい。

 だからエルヴィラたちにその役が回ってくるのは、ほぼ確定と言ってよかった。


 とはいえ一介の商人では、地球の上層部に取り次いでもらうことさえおぼつかない。最初の段階でヨタ話扱いされて、門前払いが関の山だ。

 だからネメイエス側から、肩書きをもらう必要があった。


PCトラブルにより、今朝の投稿が遅れて申し訳ありませんでした

また新年度になって、朝のスケジュールが変わってきています。時間変更や夜のみの掲載もあるかもしれません。ご了承ください

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