表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第二章 あなたに惑星(ほし)の押し売りを
24/86

Episode:24

(たしか、真円に近い軌道の惑星が見つからない、だったっけ?)

 目の前の交渉相手は、そんなことを言っていたはずだ。


 必死に考える。

 ネメイエス星人が住んでいるのは、ガスジャイアントと呼ばれる木星型惑星だ。そして太陽系にも、同じような星が幾つもある。

――それも、円に近い軌道を描いていて、恒星から適度に離れた。


「イノーラ、ごめん、ちょっと計算して。ネメイエス星と太陽系の惑星、どのくらい似てる?」

「え? えぇ、ちょっとお待ちを」

 故郷の危機に動転しているのか、姪っ子が素直に従った。


「……ざっとですが、結果が出ました。ネメイエス星はかなり、木星に近いですわ」

 思ったとおり、交渉の材料くらいには使えそうだ。上手くいけば、太陽系を救うことも出来るかもしれない。


「えぇとすみません、データ見させて頂きました。それで、ちょっとお聞きしたいんですが」

 交渉相手に話しかける。


「たとえば数百光年離れていたら、ガンマ線バーストは防げますか?」

「そうですね……それだけ離れていれば、その分時間がありますから、可能でしょうね」

 予想通りの答えが返ってきた。


「数百年かけて準備が出来ますし、技術革新も望めます。現時点でもある程度は防げますから、大丈夫だと思いますよ」

「それなら、候補地があります」

 エルヴィラは勝負に出た。


「私たちの出身地は、地球です。ご存知ですか?」

「あぁ、あの高知能ペットで有名な――」

 途中で言葉が途切れたのは、目の前の話し相手がその「高知能ペット」だと気づいたからだろう。


「ええ、その星です」

 ややこしいことにはあまり触れず、エルヴィラは話を進める。


「で、その地球のある星系なんですが、ネメイエス星と似た惑星があるんですよ」

「本当ですか?!」

 相手が興味を示した。切羽詰っているだけのことはある。


「本当です。データをお送りしますから、ご覧になって検討していただけますか?

 私の見立てでは、なんとか住める範囲だと思うのですが」

 言いながら、相手にデータを送る。


 銀河文明の技術なら、惑星改造はそんなに難しいことではない。基本的な条件さえ合っていれば、あとはどうにか出来るものだ。

 検討しているのだろう、しばらくの沈黙があったあと、向こうが口を開いた。


「たしかにこれなら、何とかなる範囲ですね……。ただ、地球のほうが納得するかどうか。

 それに私の一存では決められませんから、その辺の時間も頂かないと」


「ええ、どうぞゆっくりご検討ください。

 それから地球側との交渉は、私が受け持ちます。ただ――」

 もったいぶって、そこで一回言葉を切る。


「何か問題でも?」

 不安になったのか、相手が尋ねてきた。そこを逃さず、エルヴィラは言葉を押し込む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ