表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第二章 あなたに惑星(ほし)の押し売りを
22/86

Episode:22

「規模から試算したところ、このままでは我々が死滅するのは間違いありません。この距離では、とても防げませんので……」

 いくら銀河文明の科学力が優れていても、規模が規模だ。到底太刀打ちが出来ない。


「やっぱり、移住なさるんですか?」

 相手にこちらの心配が伝わるよう、少し大げさに声を落として訊く。銀河文明の翻訳機はこの辺のニュアンスも伝えるので便利だ。


「不本意ですが、それ以外に手がありません」

 相手からも、気落ちしたような声と合成映像が返ってきた。


「最初のガンマ線照射と、次の爆風では時差が出ますから、かなり長期間になりますし。

 何より惑星の住環境が激変して、我々が住めなくなる可能性もかなりあります。

 場合によっては表面のガス層が衝撃波で剥ぎ取られて、二度と戻れないかもしれません」


 たしかにこれでは、頭が痛いだろう。だが商売の好機であることもたしかだ。

 ネメイエス側の話は続いている。


「ただ、移住しようにもなかなか条件の合う星がありませんで……公転軌道が真円に近い星は稀なうえ、適当な距離にあるとは限りませんし」

「あー、たしかに」


 たいていの星系で、惑星はかなり偏った楕円軌道を持つ。太陽系のように円軌道が並ぶ星系は、実は稀なのだ。


 軌道が楕円だと、主恒星への最接近時と遠日点では環境が激変する。だから基本的に安定した環境を必要とする生命体とは、どうにも相性が悪い。


「最悪の場合、宇宙船での長期避難生活を想定していますが、人口すべてが乗れる船を用意するのは並大抵ではありません。

 出来れば一時的にでもいいので、どこか惑星へ避難したいのです」


「ですよねぇ。

 良かったら、探してみましょうか? もしかしたら今まで立ち寄った宙域のデータ内に、あるかもしれませんし」


 このくらいの話は出してもいいだろう、そう感じて持ちかける。商売はギブアンドテイクだから、口を開けて利益を待っているだけでは上手くいかないものだ。

 案の定、向こうは乗ってきた。


「是非! データは多ければ多いほど助かります。何かこちらから、出したほうがいいものはありますか?」

「あ、でしたら被害の予測と希望する惑星の環境、見せていただけませんか?」


 これを見ておかないことには始まらないだろう。

「ええ、どうぞいくらでも」

 言葉と共に、データが転送されてくる。


「詳細は見ていただければ分かると思いますが、主だった星系に移住先がないのが、困ったところでして」

「なるほど……」


 銀河系内で力を持つ種族には既に当たった、ということだろう。

 それで移住先が見つからないとなると、かなり難しくなる。


 探せばどこかに適当な惑星はあるはずだが、広い銀河で未知のそれを探すのは、砂浜に落とした砂金を探すようなものだ。

 と、隣でデータを見ていたイノーラが顔色を変えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ