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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第二章 あなたに惑星(ほし)の押し売りを
21/86

Episode:21

 通信は挨拶のあと、簡単な自己紹介になった。まさに型どおりだ。


「私たちは地球人です。運良く銀河市民権を取る機会を得て、この通り旅をしています。

 この星系へは申請どおり、あの星間生物に運ばれてきました」


 地球人ふうの合成映像は、黙って聞いているだけだ。そこから表情は読み取れない。


 ――まぁ実際の相手の映像を流されても、読み取れないだろうが。


 何しろこのネメイエス人、雷が荒れ狂う空で生まれた、オーロラのような生き物だ。どこからどこまでが本人なのかさえ、大抵の異星人には判別出来ない。


「星間生物の件は、こちらでも観測できました。ですから、真実だろうと推測します。

 ところで、ここから七光年のところにある星が、超新星爆発を起こしたのはご存知ですか?」

「え、ほんとに?!」


 思わずよそ行きの言葉遣いを忘れる。

 そして同時に、宇宙港の様子に納得がいった。

(ここから逃げ出す船だったんだ……)


 超新星爆発といえば、距離が五十光年以内なら壊滅、運が悪いと数千光年離れていても被害が出ることもある、文字通り天文学的な規模の大災害だ。

 それがわずか七光年の距離では、致命的な被害が出るのは間違いない。


 銀河文明の科学レベルならあらかじめ分かるのが救いだが、それにしたって滅亡へのカウントダウンがされている状態では、生きた心地はしないだろう。


「えっと、それって起きたのいつですか?」

「こちらの惑星時間で、八十日前です」


 急いで計算する。ネメイエスの自転は地球時間で十六時間ほどだから、地球ふうに言うなら二ヶ月くらい前だ。

 ほっと息をつく。規模が桁外れの大災害だが、来るのはまだ七年近く先だ。ここへ一ヶ月ほど逗留したとしても、全く問題はない。


(移送の請け負いでもしようかな)

 そんなことを考える。

 足元を見るようで少し後ろめたいが、この騒ぎなら、宇宙船は一隻でも多く欲しいだろう。


 それにここで恩を売っておけば、これから先ネメイエス人と上手くやれる可能性も高い。

 問題は、それをどう切り出すかだった。下手にこちらから言えば逆効果になる。


(向こうから、何か言い出してくれると助かるんだけど……)

 相手は切羽詰っているはずだから、それなりに望みはあるはずだ。


 いずれにせよ注意深く観察しながら――その観察が難しいわけだが――の、出たとこ勝負しかない。

 間違っても損を出す目には遭うまいと、エルヴィラは気を引き締めた。


「この近距離で超新星爆発だと……かなりの被害がでそうですよね」


 相手を怒らせないよう気をつけながら、話を切り出す。

 この件は一番の懸案事項だろうから、こちらが関心を示しても、トラブルにはなりづらいはずだ。


「星のみなさんは、大丈夫なのですか?」

「その件は、こちらとしても頭の痛いところでして」

 合成映像までもがうつむいて、言葉が続く。

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