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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第二章 あなたに惑星(ほし)の押し売りを
16/86

Episode:16

 まず彼らが持ち出したのが、「大気中の炭素から食糧を生み出す機械」と交換の、衛星軌道上の「停泊権」。

 当時食糧危機に喘いでいた地球は、一も二もなくこの話に乗った。宇宙船を停泊させるだけで食料が手に入るなら、こんないい話はないと思ったのだろう。


 その後もソドム人は、恒星系内の自由航行権や地球への上陸権、限定地域への居住権等を要求し、そのつど新しい機械を対価に出してきた。どれも地球側に有利な取り引きで、地球人は次々と応じた。


 当時、誰が考えただろう。この便利な機械たちが、自分たちの枷になるなど。

 何しろ見た目には、食糧難は去り、エネルギー問題も解決の方向に向かい始め、新しい技術が導入されて、地球の未来はバラ色としか思えなかったのだ。


 だが十年後、状況は一変する。

 最初の食糧生産機がとつぜん稼動しなくなり、慌てて地球政府はソドム人に問い合わせた。すると「機械に初めから標準装備されているエネルギーパックが尽きたためだ」との回答が来た。


 機械を動かすには新しいパックが必要だが、その製造技術は地球に存在しない。かといって異星人からパックを購入しようにも、地球側には売るものがない。


 どうしようかと頭を抱えている間にも機械は次々とエネルギー切れで停止していき、地球は世界的な飢餓状態となってしまった。


 当時のことは、エルヴィラも覚えている。店から食べるものが消え、ポケットに小銭があっても飴玉ひとつ買えなくなった。


 配られる食べ物だけではとても足りず、毎日毎日お腹を空かし、庭や窓辺で野菜を育てると、すぐに誰かが根こそぎ持っていく。そんな日々が続いた。


 進退窮まった地球人に解決策を提示したのは、ソドム人だった。


 恒星間航行技術を持たない地球人は、銀河系での市民権はまだ得られず、保護対象生物に当たる。そしてこれは通常、星系外への持ち出しが禁じられる。


 だがそれには抜け道があった。もし本人の意思が確認できたなら、そちらが優先されるのだ。一方で知能の高い生物は、愛玩動物としての需要が高い。

 この二点から地球人は、銀河系で「売れる」存在だったのだ。


 そして結果は。


 今日も幾ばくかのエネルギーと交換に、地球人の子が売られている。加えてリストに載るのは、エルヴィラのように毛色が珍しいか、さもなくばイノーラのように〝頭のいい子〟だ。

 要するに将来有望な頭脳が、根こそぎペットにされている状態だった。


 生き延びるために、我が身を削る。そんなやり方は長続きはしない。これでは遅かれ早かれ行き詰まり、地球はもっと悲惨なことになるだろう。


 ――それを、いつか。


 ソドム人によって背負わされた呪いから、いつか地球を開放したい。これがエルヴィラの密かな願いだった。

 ただそれは当分先の話だ。エルヴィラたちに今あるのは、このオンボロ船だけなのだから。


 船は、遺産で買ったものだ。

 飼い主は、エルヴィラたちをそれこそ溺愛した。二人が言葉を覚えてからはそれがさらに顕著で、可能な限り連れ歩いたほどだ。老齢な上に、身よりもなかったからだろう。


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