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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第一章 世話焼き飛行は損のモト?
11/86

Episode:11

「そもそも彼らは、私たちの出した信号に反応していますのよ? なのになぜ、次は反応しないと思うのか、その根拠こそ聞かせていただきたいのですけど」

 こういう理屈での論戦になったら、この姪っ子にはかなわない。


「じゃぁそういうことで、早く流そ」

 エルヴィラは早々に議論を打ち切り、実践へと話を持っていった。

 思う存分言えなかったイノーラは、ずいぶん不満げだったが、じき気持ちを切り替えたらしい。華奢な指が操作盤の上を舞った。


「どうなるかな~」

「さっきと同じことを……語彙数が少なすぎますわ。やはり脳が老化し始めたのでは?」

「はいはい。次のステーションででも考えてみる」


 言いたい放題の姪っ子にぞんざいな返事をしつつ、事態を見守る。

 宇宙蝶たちは、信号を受け取ったのだろう。群れのどれもが、さらに激しく瞬きはじめた。


「なんか、驚いてるかも?」

「ふつうは驚きますわ。彼らにしてみれば、そのあたりのカブリ虫が喋ったようなものかもしれませんし」

「その例え、ヤメて……」

 さすがに白旗をあげる。


 カブリ虫は、要するに地球産のゴキブリで、いま銀河系で大問題になっている。どうもどれかの宇宙船にもぐりこんで、他の星へたどり着いてしまったらしい。


 放射線にも毒物にも強く、繁殖力旺盛で餌も選ばず僅かな隙間でOKと、ある意味で最強生物のアレは、いまあちこちの星で爆発的に増えている。


 最近では自分たちのような高知能ペットと並んで、地球産の代名詞なくらいだ。

 あまりの繁殖ぶりに、地球を罠にはめた例のエイリアンがひどく非難され、駆除費用を肩代わりするハメになったとも聞く。


 そんなものをイノーラが平気なのは、見たことがないからだろう。地球は四歳の時に離れているし、買われた先は、さしものアレも生存できない環境だった。


 実際に見たらどんな反応をするだろう、などと思いながら、モニターを見続ける。

 が、次に起こったことは予想外だった。


「――消えた?!」

「おそらく違います。方位〇・二・五に反応……宇宙蝶の群隊を確認」

 慌ててカメラを振り向けると、たしかにあの姿があった。


「同じ群れ?」

「現在スキャン中……結果出ました。特徴のほとんどが一致、九九・九%の確率で同じ群れと推定します」


 要するに、同じということだ。

 だとすると……。


「彼ら超光速移動、出来たんだ」

 イノーラが答える。

「当然では?」

 どういう理屈でそういう結論になるのか分からず、視線で彼女に説明を促すと、姪っ子は話し始めた。


「彼らに遭難船が救われたという話は、さすがにご存知ですよね?」

「それは知ってる」

 小馬鹿にするような言い方が少々癪に障ったが、どうにかこらえる。


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