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Space Shop! ~売られた地球を買い戻せ!~  作者: こっこ
第一章 世話焼き飛行は損のモト?
10/86

Episode:10

「遭難信号に反応するのは、これでキマリか」

 これも記録してあるから、さらにプレミアをつけて売れるはずだ。


「それで、このあとどうするかは考えてありますの?」

「なーんにも」

 平然と言ってのけたエルヴィラに、イノーラがあからさまな軽蔑の視線を返す。


「おばさま、どうしてそうやって何の計算も無いまま、コトを進めるんですの?」

「そりゃ、おもしろそうだから」

 それ以外の理由など、エルヴィラにあるわけもない。


「行き当たりばったりにも、限度ってものがありますわ」

「いいじゃない、それでいつも上手くいってるんだから」


 これは事実だった。計算高いイノーラと違い、エルヴィラは万事出たとこ勝負なのだが、すべて動物的カンで切り抜けてしまう。

 姪っ子はそれが癪に障るようだが、気にするエルヴィラではなかった。


「あ、彼らこっちへ来るね」

 観測用カメラに映る宇宙蝶の群れが、膜を広げて移動し始める。


「ここへ来るのに、どのくらいかかるかな」

「しばらくかかりますわ。彼らは宇宙船ほど、スピードは出ませんから」

「それもそうか」


 恒星風を利用したとしても、宇宙は広い。移動するにはそれなりの時間が必要だ。


「今のうちに、少しでも言葉が分からないかなぁ」

「本当にその頭、飾りでしかありませんのね」

 言いながらイノーラが、記録データを動かした。先ほどの、恒星風に宇宙蝶の子供が飛ばされたところが、映し出される。


「ここですわ」

 スローで再生しながら、イノーラが説明し始めた。

「ここは二つのパターンしかありません。状況も限定されてますから、かなり絞り込めるかと」


 たしかに姪っ子の言うとおりだ。それぞれかなり生態が異なるエイリアンだが、こういう危機的状況で、百万光年先の星系の話を始めることは、さすがにありえない。

 ましてや飛ばされたのは子供だ。


「この場合たいていは、『助けて』って叫ぶか、保護者を呼ぶかだろうなぁ」

 実際、蛍光パターンも二つしか出ていない。


「どちらがどうとは特定は出来ませんけど、助けを求める信号だと思いますわ」

 イノーラも同意する。


 とはいえ宇宙は広いわけで、中にはこういう状況で「もっとも信頼する相手に罵詈雑言を浴びせる」種族も居るから、断定は出来ないのだが。


「じゃぁ彼らが来たら、直接訊いてみよっか」

「来なくても、訊けると思いますけどね」

 言葉の意味が分からず考え込んだエルヴィラを、「こんな事も分からないのか」という瞳で、イノーラが見た。


「先程と同じように遭難信号の帯域で、このパターンを流せば済む話です」

 姪っ子の言葉に、あっと思う。言われてみればその通りだ。


「でも向こうは光だよ。それでだいじょぶなのかな」

「出来ないことは言わないと、ついさっきも言いましたわ。もう忘れるなんて、脳が老化したんじゃありません?」

 毒舌を次々と吐き出すイノーラは、なんとも楽しそうだ。


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