表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

薬草店アコード

作者: 草薙仁郎

 朝、小鳥の鳴き声が聞こえ始めるころ。

 わたしシアと、薬草屋『アコード』の一日ははじまります。

 まず着替えてから窓を開け、下の店に降りていきます。薬草棚にかけてあった覆い布をとり、状態を確認。昨日から一晩で悪くなるなんてことはまずないのですが、万一ってこともあるからです。

「あれ……?」

妙なことに気が付きました。数種類の薬草が減っているのです。ごっそりというわけではないのですが、一応補充しておく気になるくらいには。

「昨日、そろえるのを忘れたのかな?」

たまにそういうこともあるのであまり気にしないことにしました。それに、どのみち奥の倉庫には用があります。少しだけだし、そのついでにでも取ってくればいいでしょう。

「…重い……」

昨日の夜届いた薬瓶の箱。

「やっぱり手伝ってもらえばよかった……」

昨日は疲れていたし、時間が遅かったので近所の人に頼むのも悪いかと思ってそのままにしておいたのでした。

 この店には、わたし一人しかいません。

父親はいなかったし、母であるフィリシアは三年くらい前に事故で他界していました。

箱の上に足りなくなっていた薬草をのっけてふらふらとカウンターまで戻り箱の蓋だけ開けて置いておき、風邪薬を煎じていた鍋の様子を見にいきます。見たとこ、できはよさそうです。鍋が置いてある竈に小さく火を起こします。昨日のうちにあらかた作り終わっていたのですが、夜は火をつけておくわけにはいきません(夜通し火を焚いてるところもあるみたいだけど、危ないし)。店を開けるころには出来上がるでしょう。

 それから、カウンターの中に丸薬や粉薬、小瓶に詰めた煎じ薬を並べて、最後に店先に丸い硝子を取り付けます。

 風鈴、というそうです。亡くなった母の形見です。母は若いころ異国にいました。世界にはたくさんの国があって、その東の果ての国で買ったんだよ、そう母は言っていました。

硝子には糸がついていて、その糸には細長い四角形の紙が結ばれてありました。その紙が

風に吹かれて揺れるたび、糸についた金具が硝子にあたって、チリン、チリンというなんとも綺麗な音を出すのです。母さんが亡くなったあと、わたしは二階に飾ってあった風鈴を外し、店先に吊るすようにしました。明るかった母の、もう二度と響くことのない声の代わりになればと思って。今では、この風鈴は「アコード」のトレードマークになっています。


 「アコード」は、今のところ安定しています。薬草店は少ないし、母のおかげで「アコード」の薬は良く効く、という評判があったからです。

 それに、この店では薬だけでなく、香辛料やハーブ、香料も扱っています。そういう店は都のほうに行けばあるのかもしれませんが、都から遠く離れたこの町の近くでは「アコード」一軒だけでしょう。そういった理由で、遠来の客もしばしばあるのです。

 それから二刻も経つと、お客さんが多くなってきます。薬草店はまわりの店と比べて人が来始める時間が遅いのです。ただ、急に薬が必要になるときもあるでしょうから、早くにみせを開けることにしているのです。

「エノールの根の粉末が300グラム、サシェの葉が一束で280リルです」

「ディルの実二包みに夜来香が一瓶、それに快温湯が五〇グラムで320リルです。快温湯は白湯に溶かして飲んでくださいね、そのまま飲むと酷く辛いですから。」「頭痛ですか?フェルナとエルナムあたりですね。お大事に。」

そんなことを何度ともなく繰り返したあと、「え?クラウスさん?」

クラウスさんはうちの近所に住んでいて親しく付き合っています。鍛冶屋をしていてたくましく、薬草店にはあまり縁のなさそうな人です 

「おじさん、どうしたんですか?やけど、とかですか?」

鍛冶屋というところから考えてそう尋ねてみると、クラウスさんは首を横に振りました。

「いんや、やけどなら放っておくさ、慣れてるしな。そうじゃなくて、妻が寝込んじまってね。」

「エミリアおばさんが?」

クラウスさんの奥さんのエミリアさんは、小柄ですがきびきびとよく働く人で、あまり風邪など引くような人ではなかったはずです。わたしの驚いた顔を見て、クラウスさんは

「ああ、珍しいだろう?今までそんなことなかったのにな。」

と言いながら小さな紙切れを取り出しました。

「まあ風邪だとは思うんだが、一応薬を飲ませたほうがいいと思ってね。エミリアに何を買ってきたらいいか訊いてきた。俺はこういうものはよくわからんし。」 

「そうですね、風邪で体が弱るといろいろ大変ですし、早いうちに直してしまったほうがいいですよ。」

そう答えながら、受け取ったメモに書かれてある薬を揃えます。

「煎じ薬と、仙根湯、辛味草……それに壺の実で、350リルです。」

「はいよ。」

受け取ったお金をカウンターの中の小さな金庫に入れると

「ちょっと待っていてくださいね。」

と言って急いで薬草棚を探し、数種類の薬草をとって渡します。

「サービスです。これはニッケイの皮で、こっちはカッシアの粉です。両方、体を温める効果がありますから、飲み物なんかにいれてください。それと乾燥カミーレ、リラックス効果があります。おばさん、過労かもしれませんし。」

「ありがたいけど、いいのかい?こういうの、値が張るんじゃないか?」

「いいんですよ、お世話になっているんですから。」

半ば強引に押し付けると、ドルガさんは苦笑しながら礼を言って帰っていきました。

「それにしても……」

本当に珍しいことです。今までに売れたものも、風邪薬の類が多いので、風邪が流行っているのかもしれません。

「後でお見舞いにいこうかな……」

正午の鐘が響いてきました。


 薬草店アコードには、店頭での販売の他、時々交易商人がやってきて、貴重な香料やこの周辺でしか採れない薬草などを買い付けに来るのです。大口の取引ができるのももちろんですが、都や、さらにその先の地域の珍しいものが手に入る貴重な機会でした。次に商人たちが来るのは七日後。

「そろそろ売る物を集めておかないと……」

もちろん、日持ちする薬草、乾物なんかは仕入れて、倉庫にしまってあります。

 しかし、商人たちが最も珍重し、高値で買っていく香料「霊銀香」は、前もって貯めておくわけには行きません。高価なうえ、普通の家で使えないので商人相手にしか売れないし、なによりそれ単体ではすぐに悪くなってしまいます。普段は置いていないのです。

 手に入れる方法も他とは違い、欲しいときすぐに採れるわけではありません。それでも、わたしの店では必要なものでした。

霊銀香は、普通は貴族たちなど上流階級の人が香水などにして使います。他の使い方もあることにはあるのですが、採れる量がごく少なく、香料として売ったほうが遥かに儲かるので、めったに他の使い方をすることはありません。

 取りに行くのはだいたい明日の八刻から明後日の半刻まで。そのくらいならちょうどいい時間でしょう。どのみち今日はエミリアさんのところへいかなければならないし。

「ちょっといいかな。」

はっと顔を上げました。          

「はい、なにかお探しですか?」

とりあえず、午後の仕事を終えなければなりません。

 若い男の人でした。何度か見かけたことがあります。左手に包帯を巻いています。

「そこの宿屋の……」

「ああ、レオナさんとこの……」

「そうそう、ルイだよ。」

とうなずきながら、左手をさすっています。

「傷薬ですか?どうされました?」

と尋ねると

「昨日の夜、狐に噛まれちまってね。」

と顔をしかめています。

「狐?」

驚いて聞き返すと

「ああ。多分。」

とうなずきました。

「……夜中に森にでも行ったんですか?」

「違う違う。宿の裏庭でやられたんだ。」

「でも、そんなこと……」

首をひねりました。街に狐なんて……

「聞いたことないだろう?俺も驚いた。納屋に薪を取りに行ったらなにかガサゴソいってたもんで、てっきり猫でも入り込んでるのかと思ってのぞいたら、いきなりだ。月明かりに光って見えたから、ありゃ銀狐じゃないか?」

「銀狐……」

霊孤でしょうか。それとも普通の狐でしょうか。どちらにしても、いくら森が近いとはいえ、街に出てきたことなどないはずです。 「その傷なんだが、どうもおかしな傷でね。

小さな狐だったんで傷自体は大したことないんだが、なかなか塞がらない上に酷く痛むんだ。なんかいい薬ないかと思ってね。」

言いながら包帯をとり、腕を差し出しました。ぱっと見て、普通の傷じゃないとわかりました。小さな牙の跡からはいまだに血がにじみ、周りは妙な色に変色していました。

 「…………」

一応、普通の傷薬と痛み止めになる草の粉を取り出し、練って傷に塗ります。

「ただ、……効かないと思います。これ、普通の傷じゃないです。今は、とりあえず常用の薬を塗っておきました。」

「普通じゃない?まあ、変だよな、こんなに治りが遅いのは。とりあえずってことは、何か他にあるのかい?」

「ええ。たしか似たような傷に使う薬の処方がどこかにあったはずです。それを探してみます。明日にでもお伺いします。そのときまでに薬が出来ていれば持っていきます。時間がかかる薬だったらその間のことはまた考えましょう。」

「ああ、頼むよ。」

そういって、ルイさんは出て行きました。なぜ霊孤が街中で、しかも人を噛んだのか、気にはなりましたが、まずは仕事が大事です。わたしは追加の瓶を取りに立ちました。


 ここの街の店は、たいてい日暮れとともに店を閉めます。アコードも同じです。塵や薬草のかけらなんかが散らばった床を掃き、カウンターの上を丁寧に拭きます。数日に一度は窓も。最後に、吊るしてある風鈴を外して箱に収めました。

 後は、今日の集計と帳簿を照らし合わせ、在庫を確認し、品物の補充をします。いつもはこの後、戸に錠を下ろして中で薬を煎じたりします。でも今日はエミリアさんの家へ行くつもりだったので錠はそのままにしておき、持っていく薬や簡易調合用の道具などを用意しました。それから、二階へ上がって、棚の一番下に入っている箱を開け、中から少々古びた革張りの手帳を取り出しました。これは、「アコード」と風鈴と共に母が残してくれたものでした。手帳には、様々な薬の知識が母の字でびっしりと記されていました。初歩的な部分はすっかり覚えてしまっていましたが(なにせ何度も何度も作るのです)、複雑な調合をしなければならないもの、めったに使わないもの、用いる素材が特殊でなかなか手に入らないものなども数多くありました。わたしはそれをそっと上着の内ポケットに落としました。ただお見舞いに行くだけなら持っていく必要はないのですが、お守り代わりです。薬草屋の用事でどこかへ行くときは、いつも持ち歩くことにしていました。もっとも、昔は持っていないと何をしたらいいかもわからず、必要にせまられて店の中でも持ち歩いていたのですが。

要りそうな薬草を適当に選んで手篭に入れ、家を出ます。といっても、ドルガさんとエミリアさんの家は歩いてすぐのところにありました。

 木のドアをそっと叩くと、鍵を外す音がし、小さく開いた扉の隙間からドルガさんが顔を出しました。

「おう、昼間はありがとな。で、どうした?」

「エミリアさんのお見舞いに。ご迷惑でなければ。」

そう言うと、クラウスさんは扉を大きく開きました。

「悪いね。あいつも昨日よりは良くなったみたいだし、わざわざ来てくれなくても良かったんだがね。まあ、入ってくれ。」

クラウスさんは「今、ちょうど起きてるところなんだ。」といって、まっすぐ寝台のある奥の間に案内してくれました。

「ああシア、来てくれたのかい。」

エミリアさんは上体を起こして寝台に座っていました。多少顔色は悪いように見えましたが、思っていたよりも元気そうでした。

「こんばんは、おばさん。お加減、いかがですか?」

尋ねると、おばさんは

「もうなんともないさ、あんたの薬のおかげでね。」

と笑って答えました。

「すぐにでも働けそうさ。」

 「それは良かったですけど、無理はしないでくださいね。おばさんが寝込んでるって聞いて驚いたんですから。」

「なあに、クラウスが大げさに騒いだだけさ。」

それから小声で

「がらにもなく世話を焼いてくれてね。」

と付け足しました。

「滅多にないことだからでしょう、おばさん丈夫ですし。」

笑いながらそういうと、

「あはは、確かにね。」

とおばさんも明るく笑いました。

「誰かからもらっちまったのかねぇ。体調の悪そうな人、最近多いだろう?あんたのとこは繁盛するだろうけど。」

「はは……」

苦笑しました。それは喜んでいいかどうか微妙なところです。でも、

「なんで突然、風邪?流行り始めたんでしょうか?実は今日も頭痛や喉の薬がたくさん売れたんです。もちろん、風邪薬も。」

「さあ、わからないよ。前にもこんなことあった気はするけどね。」

「前にも?」

「そうさ。こうやって、風邪みたいな軽いものなんだが、突然みんながかかったことがあったのさ。まだあんたは小さかったから、覚えていないだろうけどねぇ。あんときゃクラウスまでふらついてたからね、よく覚えてるよ。」

「………………」

それなら、母がまだ生きていたころです。母はそのときどうしたのでしょう。ただ放っておけば収まるものならいいのですが。

「あ、そうそう。」

床に置いてあった手篭を取り上げます。

「倉庫に、少しだけ荒野生姜が残ってたので持ってきました。あと、」

籠から油紙に包んだ物を出します。

「乾燥させたルリハイタケです。普段は売ってませんけど、大体何にでも効くんですよ。薬湯を作りますから、台所を貸してください。」

「すまないねぇ。昼間も色々くれたっていうじゃないか。」

「いいんです。おばさんにはお世話になっているんですから。」

手早く薬草を小さなすり鉢で粉にし、湯を沸かします。それから、

「クラウスさん、昼間渡した薬、どこです?」

「そこの上の棚、その袋の中だ。全部まとめて入れてある。」

カッシアの粉、香りづけのローリエの葉も少し加えます。しばらく煮ると、独特な香りがたち始めます。

(ローリエの香りがし始めたら、一度混ぜて……)

母の手帳の、強壮薬のページを開いて確認。ルリハイタケは少々変わった植物で、薬草としての処方は母が編んだもの以外、見たことがありません。

火から下ろして、カップに注ぎます。残りは、瓶に移しておきました。

「どうぞ。」

手渡すと、おばさんは少しずつ薬湯をすすり始めました。やがて一杯を空にするのを見届けると、今日は帰ることにしました。

「残りは瓶に入れておきましたから、また調子が悪くなったら飲んでください。日が当たらなければ半年は大丈夫ですから。」

「ありがとう。すぐによくなるさ。ほら、明日の支度もあるんだろう。もう帰りなさい。」

「はい。おばさん、お大事に。」

会釈をして奥の間を出て、ドアを開けようとすると、クラウスさんがいっしょに出てきました。

「家まで送る。遅いしな。」

二人は特に話すこともなく、アコードの前まで来ました。

「ありがとうございました。」

と言ってドアを開けようとすると

「ちょっと待ちな。」

呼び止められました。

「なんですか?」

クラウスさんはポケットから小さな細長い木箱を取り出しました。

「薬やなにかの礼だ。とってくれ。」

受け取って箱を開いてみると、小さなナイフが入っていました。

「そいつは銀だ。魔除けになる。持っときな。」

かざしてみると、鋭そうな刃が星明りを反射して光りました。

「綺麗ですけど、これ高いでしょう?」

「そうでもない。それは俺が趣味で鍛えたもんだ。はなから売る気はないし、かといってしまっておいてもしょうがないしな。」

「……ありがとうございます。」

銀は、鉄や銅と比べて高価なはずです。貴族の宝飾品にも使われるものなのです。でも、これ以上断るのは悪い気もします。それに、とても綺麗なものなのです。

「それは銅が混ぜてあるから、丈夫だよ。そんなに硬いものを切ろうとしなければな。それから、これも。」

ベルトのついた革の鞘を渡すと、クラウスさんはじゃあな、と言って戻っていきました。


 翌日、正午の鐘が鳴ると、お客さんがいなくなるのを待って、扉に札を掛けにいきました。

『薬草店アコード、本日午後より仕入れのため休業。』

まず、ルイさんのところへいかなければなりません。ルイさんの親のレオナさんのやっている宿屋は、街の大通りに店を構えています。行ってみると、宿屋で働いている人たちはみんな忙しそうでした。遠来の商人を迎える用意をしているのでしょう。毎年この時期、多くの商人たちがこの街を通るのです。その宿泊地となるのがレオナさんの宿でした。

「ごめんください。」

 正面の扉を開けてのぞくと、帳場で書類を整えていたルイさんが顔を上げました。

「ああシアちゃん。ちょうどよかった。」

「腕、どうですか?」

「よくないね。痛みが消えなくて、物が握れない。忙しい時期だってのに、まいったよ。」

ルイさんは忌々しそうにため息をつきました。

「あの、そのことでお話があるんですけど………」

「なんだい?どうせこれじゃはかどらないし今話してくれ。」

「昨日、これを見つけたんです。」

手帳を取り出し、栞を挟んでおいたページを開いて差し出します。

「なんだい、それ。霊山猫、海狸、神鹿等による外傷………?」

ルイさんはページのタイトルを読み上げて首を捻りました。

「ええと、まずルイさんが噛まれたのは普通の狐じゃなくて、霊狐です。」

「霊狐?」

「はい。詳しいところは省きますけど、不思議な力を持った狐です。そういう力を持った動物は他にもいるんですけど。それで、今回の件は、」

ページを指差します。             

『彼らは総じて温厚な上、数が少なく人と関わることはほぼない。しかし万一彼らによって傷を負った場合、その傷は容易に治らず。模索した結果、後記の薬の塗布に劇的な効果あり。半日あまりで完治する。』

「ここに書いてある通りです。この薬を塗ればいいんですが………」

「なにか問題が?」

「材料が、手に入るか分からないんです。滅多に使わないし、初めて見る処方ですから。」

「そりゃまいったなあ。どうにかならないのかい?」

「今日、森に行きます。商人たちに売る品をとるので、そのときに、たぶん………」

「とりあえず、時間がかかってしまうとだけ、お伝えしようと思って。首尾よく手に入れば、明日の朝にはできると思います。」

「わかった、待ってるよ。気をつけてな。」

「はい、すいません。」

わたしは頭を下げて宿を後にしました。あの薬の、材料の一つが問題でした。『傷を受けたのと同じ霊獣の体毛・体液等?海狸のみ腺嚢からの分泌されるカストールを用いる。他のものについては要検証。症例が無いため不明。』資料が無いのも無理ありません。霊獣に噛まれるなんて、ありえないことなのです。彼らはおとなしく、賢いものです。この場合だと、霊狐の何かが必要なのですが、それが何かわかりません。

 とにかく、森に行かなくてはいけません。わたしは一度店に戻ると、森に持っていくものの支度に取り掛かりました。まず、採集した物を入れておく麻の大きな袋。小さなランプに火口箱。鋏に包帯、小瓶に入れた傷薬。採集用の小刀。肉や芋の入った包み。それから、手帳も。クラウスさんがくれた銀ナイフは、腰に結びつけました。厚手の外套を纏うと、錠を下ろして家を出ました。

 この街を出て少しいくと、なだらかな丘と森が広がっていて、猟に入る人もたくさんいます。さらにその森を奥に進むと、川を境に大木・古木が密集しているもう一つの森があります。こちらに来る人は滅多にいません。昼間でも薄暗く、迷いやすい地形になっていて、「出る」ことで有名だったからです。わたしが時折訪れるのはその奥の森のほうです。

 森に入ってすぐは草地もまばらにあったのですが、川を渡るとはっきりと空気が変わったのを感じました。地面は厚く積もった落ち葉でふかふかしています。さて、そう何度も来ることはできません。どうしても半日はかかってしまい、その間店を閉めなければならないからです。周りをよく見ながら歩いていると、あちこちで薬草が見つかります。藪のかげにはフクロソウ、木の根元にはカンノヤドリタケ。若い森では見られない種類です。どこでも見つかるようなオニハやニガアケビなどは群生していました。

 それらをつみ、根を掘り、樹皮を削って麻袋に入れながら歩き続けるうちに、日が傾き始め、やがて完全に沈みました。日が沈むと、森は一気に闇に包まれます。ランプを出して、小さな火を灯します。森の生き物は火を嫌います。あまり大きな火は焚けません。その代わり、ヤコウヅタ、ヒカリタケなどの植物があちこちで光っているので、なんとか見えるくらいの明るさにはなります。

 その明かりと記憶を頼りに獣道をたどっていくと、赤い布を結んだ木が見つかりました。目印につけたものです。これからが、本当の目的です。そこから少し行くと、倒木で囲まれた場所があります。その中心に、中がすっかり朽ちて、空洞になった倒木がなかば地面に埋まっています。わたしはそばに落ちていた長い枝を手にして、その木を二度叩きました。静まり返った夜の森に、その音は異様に大きく響きました。沈黙の後、犬に似たような鳴き声が何度も響き、やがて止みました。息をつめてそのままじっと立っていると、向こう側の藪ががさりと揺れ、一匹の狐が姿を表しました。暗闇の中で二つの眼が光っています。ずいぶん小さい狐です。たぶん子狐でしょう。

「こんばんは。わたし、シアといいます。」

そっと囁いて手を差し出すと、子狐は後ろに飛び退りました。姿勢を低くして、唸っています。

「あなたたちとは仲良くさせてもらってるの。ほら、お土産も持って……」

驚いて手を引っ込めます。子狐が手に噛み付こうとしてきたのです。そのままその子狐は藪に飛び込んで、姿を消してしまいました。

わたしはその場に、呆然立ち尽くしていました。

 霊獣たちは普通山奥や深い森の中などに暮らしていて、人間には近づきません。でも稀に、限られた人間とのみ交流するものたちもいます。世に出回る霊獣香のほとんどは、そういった者たちからもたらされたものです。それ以外では、偶然に頼るしかありません。霊獣と関わりを持つ人たちの多くは、わたしのような薬草師や占い師をしているそうです。霊獣は、簡単には人間を信用しません。何代も前から続く交流がある場合が多く、そのためほとんど存在しません。わたしの家もそういった家の一つです。彼らはただの獣ではなく、知性があります。それも、わたしたちと同等の。一部のものは人語話すことが出来ます。をその彼らから、贈り物や何らかの見返りとして霊香などを手に入れるのです。

 母から何度もそう聞かされました。ここの山の霊狐はわりと優しく、親切だったはずです。しかし今、子狐とはいえ霊狐の一匹に敵意をもたれていることは間違いありません。もしも霊狐の信頼を失ってしまったなら、それは二度と取り戻すことができません。母から受け継いだ関係を失うことになってしまうのです。

 とにかく、ここにいても意味がありません。本当にそうだったときのことを考えると恐ろしいですが、確かめなければなりません。子狐の入っていった藪を乗り越え、歩き出します。運がよければ、彼らの住処に行き着くはずです。しばらく歩いていると、突然頭上からなにかが圧し掛かってきました。そのまま引き倒され、両肩を押さえつけられました。爪が肩に食い込んでいます。見ると、月明かりに高く上がった尻尾の毛がきらきらと輝いています。紛れも無い霊狐、それも今度は立派な大人です。狐の荒い息が首筋にかかっています。そのまま、しばらく見つめあっていると、霊狐は首をかしげるようなしぐさをして、肩を押さえつけていた前足をどけ、わたしのにおいを嗅ぎ始めました。最後に顔に冷たい鼻面を押し付けると、確信したように一声鳴くとわたしの上から完全に退きました。服についた落ち葉を払いながら起き上がって見ると、その霊狐は数歩向こうへ歩き、立ち止まって振り向いて尻尾を一振りし、また歩き出しました。ついて来いとでもいうように。わたしは慌てて後を追いました。その狐は尻尾を高く上げたまま、木々の間を縫うように通っている細い獣道を歩いていきます。わたしは尻尾の毛が銀色に光るのを追ってついていきました。半刻も歩いたでしょうか。アザミの茂みを慎重にくぐると、ほぼ円形の草地の中に出ました。そこの奥に、小さな洞穴の入り口がありました。その狐はわたしの周りをくるりと一周すると、その穴に入っていきました。わたしはその場でじっと待っていました。しばらくすると、穴の中から三匹、それぞれ大きさの違う霊狐が現れました。その中で一番大きな狐が、わたしを見ると驚いたように目を見開きました。

 「まあ、あの薬草師の子ではないですか!」

紛れもなく、その口から発せられたものでした。話には聞いていても、実際に聞くとやはり驚きます。それに、奇妙なアクセントはあるものの、人の話すのとほとんど変わりがないのです。

「大きくなりましたねぇ。フィリシアさんはどうしたんです?一緒ではないのですか?」

「いえ、あの……母は、死にました。二年くらい前に。」

「そうですか……残念です。ずいぶんと間が空いたので、もしかしたらとは思っていたのですが……」

「あの、母を知っているんですか?」

「ええ。いい人でした。あなたのことも知っていますよ。」

「え、でもわたしはここには今日はじめてきたんですよ?」

「あなたは覚えていないかもしれませんが、フィリシアが幼いあなたを連れてきたことがあるのですよ。わたしがいなくなったらこの子が私の代わりに来るからって。」

「そうだったんですか……」

それなら、大丈夫かもしれません。わたしは一番の気がかりを尋ねることにしました。

「さっき、ここに来る途中の<鳴り朽木>のところで、あなたたちの仲間に、その……吠えかかられたというか、したんですけど……」

そういうと、彼女は

「ああ、ごめんなさい。この子がご迷惑を……」

そういって傍らにいた一番小さな狐に向かって叱るように小さく吠えました。よく見るとさっきの子狐です。頭をたらしてしゅんとしているようです。

「<鳴り朽木>が鳴らされたら、大人が見に行くことになっていたのですが、この子が飛び出していってしまって……本当にごめんなさい。この子にもあなたのことを教えておいたら良かったのですが。」

「それじゃあ、その………」

「ええ、あなたのことを追い返したりしませんよ。ちょっとした手違いです。一応、こっちの子に見てくるように言ったのです。それで、帰ってきたらどうも知っているような気がするというのでもしかしたらと思って。」

「そうしたらわたしがいた、と。」

「はい。」

わたしはほっとしました。考えていたようなことではなかったのです。

「でも、許してやってください。今、ちょっと大変でみんな気が立っているのです。」

彼女がすまなそうに言いました。

「どうしたんですか?」

まあ、中へ入ってください。そういって彼女は穴へ入っていきます。わたしが続いて入ると、後ろから他の二匹がついてきました。

入り口はそれほど大きくはなかったのですが、中はとても広く、天井もかなり高くなっていました。

「すごい、どうやって作ったんですか?」

「山の斜面に入り口を作って、中を掘ってあるのです。最初はもっと小さかったそうですけど。」

奥へ歩いていくと、あちこちに霊狐がいました。みんな、こちらを好奇の視線で見ています。わたしはちょっと顔を伏せました。

「あの、それで大変なことって何ですか?」

尋ねると、彼女は深刻そうな口調で答えました。

「わたしたちの族長………わたしたちは「大いなる母」と呼びますが………その体調が思わしくないのです。あなたも知っているでしょうが、わたしたちはそうそう病気にはなりません。でも、なかなか良くならないのです。むしろ、悪くなっているような感じで………大いなる母は私たちの中心ですから、みんな心配しているのです。」

「そうなんですか………」

何が原因なのかわかりませんが、

「わたし、なにかできるかもしれません。会うことは出来ますか?」

「今から会いに行くところです。あなたが今ここに来てくれたのは幸運でした。」

中はいくつもの部屋が集まったようなつくりで、部屋と部屋の間は入り口と同じくらいの大きさの穴で結ばれていました。

先導に従って歩きつづけ、いくつか部屋を通り抜けると、床に枯草が敷き詰められている部屋にたどり着きました。その部屋を横切って、奥に歩いていくと、そこには大きな美しい霊狐がいました。

「大いなる母よ。フィリシアの子を連れてきました。」

わたしはその巨体に驚きました。霊狐は普通の狐よりはだいぶ大きなものですが、目の前にいるのは軽くその倍はあります。

「あの時の子かい。フィリシアはどうしたね?」

母が亡くなったことを告げると、彼女は悼むようにゆっくりと一度目を閉じました。

「そう……それは残念だけど、よく来たね。ここに来たってことは、いつものあれがいるのかい?」

「そのつもりで来たんですけど、えっと、なんて……」

「私たちに人間みたいな名はないけど、フィリシアはマリアと呼んでいたよ。」

「マリアさんが病気だと聞いて、なにかできないかなと思って。」

「ああ、そりゃ助かるよ。」

「具合が悪くなったのはいつからですか?」

「前回子供を産んだときからどうにも体が弱ってね。いつもはそんなことないんだが。」

「なにかそれ以外に症状はありますか?」

「いや、無いよ。それに、原因はわかっているんだ。」

「なんですか?」

「これは普通人間は知らないが、私たち、あんたたちが霊狐と呼んでるものは、森と密接な関係がある。その土地の地力は私たちの数や力によって変わる。私らが死に絶えるかいなくなるかすればこの森も痩せ細る。その逆もそうさ。」

「はい。」

これも、母が話してくれました。霊狐がいる森はとても豊かになると。

「私達にはあまりないが、森が弱る要因はたくさんある。それで、稀に両方がだめになるときがある。今回もそれさ。十年くらい前にもあった。」

「そのときは、どうしたんですか?」

「助けてもらった。フィリシアにね。」

彼女は一度言葉を切り、続けました。

「それが元々の目的なんだよ。利用するような話で嫌なんだがね。今回みたいなことになると、私たちではどうにもならない。森といっしょに弱りつづけてしまうからね。そこで、」

わたしの目をじっと見つめて言いました。

「人間の手を借りる必要がある。私が死ねば別だがね。」

「わたしにできることなら、いくらでも。そのとき、母はどうしたか覚えていませんか?」

彼女は思案するような顔をしました。

「そう、なにか薬をもらった覚えはあるんだがはっきりとは……」

と、わたしに鼻を近づけ、くんくんと嗅いで、「ところで、フィリシアの匂いがするんだが、なにか持ってるのかい?」

言われて気づきました。そんな大事な薬なら処方を残しているはずです。手帳をいそいで引っ張り出します。

「ああそれだ。なんだい、それ?」

「母の手帳です。マリアさん、もしかしたらこれにその薬が載っているかも知れないんです。」

そういって、その場でページを繰り始めました。やがて、最後のほうのページに『友である霊狐の母へ』とタイトルのついたページを見つけました。

「ありましたよ、マリアさん!」

「それ、できそうかい?」

「えっと………」

材料は、ほとんどこの森にならあるもので、非常に多くの種類が必要ですが、集めて麻袋に入れておいたものも多いので、なんとかなりそうです。しかし………

「マリアさん。」

呼びかけます。

「なんだい?」

「一つだけ、その、すごく希少な薬草がいるんです。本当に見つからなくて……マリアさん、どこかで見たことありませんか?」

「どんなやつだい?」

「名前はヤコウセリニンジン。一年中生えています。葉はギザギザになっていて、夜になると青白く光ります。とても肥沃な土地にしか生えないのが特徴です。」

「ああ、それなら見たことあるよ。」

こともなげに言いました。

「本当ですか!どこで見たんですか?」

マリアさんはちょっと笑って言いました。

「この近くだよ。ここらで一番土地がいいのは私らがいるところだからね。」

それから、ここへ案内してくれた彼女に裏へ連れて行くよう言いつけました。わたしは彼女についてその部屋を出ました。

 いくつかの部屋をつなぐ複雑な道を歩いていき、小さな穴を抜けると、外に出ました。

「ここは山の反対側なんです。」

闇の中をしばらく進むと、前方に光の点が見えてきました。近づいてみると、数株のヤコウセリニンジンが光を放っていました。

「すごい、こんなに……」

「ここは、人も入りませんから。手付かずですよ。」

そっと周りの土を掘り、一株だけ採取すると、またもとの道を戻っていきます。

 マリアさんのいたところに戻ると、今度は小さな鍋や調合用の道具を出し、薬を作り始めます。採ってきた薬草を、刻み、砕き、粉にして混ぜ、一つの鍋の中に入れていきます。そして最後に、

「マリアさん。お願いがあります。」

「なんだい」

「霊銀香をもらえませんか?」

マリアさんは驚いた顔をしました。

「もともとあげるつもりだったけど、今かい?」

「はい。この薬は、あなたたちの力を高める薬です。最後に、霊銀香がいるんです。」

「そういうことなら、その奥だよ。」

探してみると、ほのかに銀色をした小さな塊が出てきました。わたしはそれを煮立っている鍋の中に入れました。塊はすぐに溶け、独特な香りを立ち昇らせました。わたしはそれをしばらく冷ますと、マリアさんに鍋ごと差し出しました。

「それで、たぶん良くなると思います。」

「本当にありがとう。でも、霊銀香を全部使ったんだろう、あれは無いと困るんだろう?」

「いいんですよ、あなたが良くなるなら。母がしたことをわたしもしただけです。それより、経過が気になるので、またしばらくしたらここに来たいんですけど。」

「そんなことしなくてもいいよ、忙しいだろう?きっと良くなるよ。」

「でも………」

「しかたないね。それなら、良くなったら誰かをあんたのところへやるよ。それならいいだろう。」

そのとき、入り口の穴から子狐が一匹で入ってきました。マリアさんに近づくと、なにやら狐の言葉で話し始めました。ひとしきり話すと、マリアさんが通訳をしてくれました。

「この子が、街に下りたときのことを謝りたいって言ってるんだけど、なんのことだかわかるかい?」

「街にって……もしかして」

子狐の前にしゃがみます。

「ね、もしかして、わたしのところから何かとっていった?」

マリアさんがそれを伝えると、すまなそうにうなだれました。

「それに、誰かと会ってとっさに噛み付いたかもって。全く、なんでそんなこと……」

「君だったのね。でもマリアさん、あまり怒らないであげてください。マリアさんのためだったんでしょう?」

狐の言葉で鳴き交わすと、

「しょうがないねえ。」

と苦い顔をしていましたが、どこか嬉しげでもありました。

「ただ、噛まれた人は無事じゃないだろう?」

「それなんですけど、その傷を治すのに霊狐のものがいるんです。お詫び代わりに、それをくれないかって伝えてください。」

マリアさんがそれを伝えると、しばらく迷ったあと子狐はわたしに近づいてきました。

「ありがとう。」

わたしは子狐の体を見つめました。迷ったすえに決心すると、もらった銀ナイフを抜きました。それを見て子狐が怯えたのがわかりましたが、マリアさんがなだめるとその場にじっと立っています。わたしは子狐の胸の毛を一房つまむと、他の毛をどけて、そっとナイフの刃を滑らせました。霊狐の毛だからか、ナイフが鋭いからか、多分両方でしょうがほとんど切った感触もなく毛が手に落ちました。わたしはそれを細い糸でくくってポケットに収めました。


 あの後、「誰かついて行かせる」というマリアさんに大丈夫だからといって暗い中歩き、「アコード」に帰って来たのが明け方。そのまますぐに薬をつくり、朝になってからルイさんのところに持っていきました。傷口にそれを塗ると、不思議なことにすぐさま腫れがひき、傷も塞がりました。

「さすがシアちゃん、すごい薬だねえ、ありがとう。」

そう言われましたが、すごいのは霊狐の力でしょう。

 エミリアさんも翌日には回復していました。

「ほんと、なんで倒れたのかさっぱりわからないよ。」

そういってエミリアさんは笑っていました。わたしは、マリアさんの病気と関係があるのではないかと思っています。この街には川が通っていて、その川はあの森につながっているのです。森が弱り、水が悪くなったせいであったかもしれません。

 二人が良くなったことで、目下わたしの心配は、明日には来るであろう旅商人たちのことでした。霊銀香を使ってしまったことは後悔していません。しかしあれで得られる収入がないと厳しいのも事実です。他の薬草だけでは、とうてい間に合いません。

「弱ったなあ………」          

カウンターに突っ伏していると、足になにか柔らかいものが触りました。驚いて見てみると足元に一匹の子狐がいました。

「あ、もしかして……」

胸の毛をそっと探ってみると、小さく切り取ったあとがありました。

「マリアさん、良くなったの?」

子狐は口にくわえていたものを落とすと、嬉しそうに一声鳴いて飛び出していきました。

「良かった………」

そういえば、何を落としていったのでしょうか。拾い上げてみると、透明感のある琥珀色の丸い塊でした。

「もしかして、これ」

いや、まちがいなくそうです。竜涙香。竜の涙が固まったといわれるとにかく貴重な品です。実際は霊銀香が百年以上の年月を経るとできるものです。ごく小さなものですが、これだけでも霊銀香の数倍はするでしょう。

わたしは思わず森のほうを仰ぎました。優しい風が、店先の風鈴をチリンと揺らしました。


 薬草店アコード。

今日も、その店先からは薬草の香りと、風鈴の音が流れてきます。













 

 














 

             


はじめまして、中二の香月颯馬です。

2011年の終わり頃に入部して、初めての作品です。なので文章は稚拙で内容はベタです。読んでくださった方、ありがとうございます。

 

最初はもっと短く3ページくらいにしようと思っていたのですが、ずるずるとこの長さになりました………。

 

初めてこういうものを書いていて気づいたのは、       自分のネーミングセンスのなさ

です。作中の薬草の名前など、『地球の長い午後』や『守り人』みたいに(知ってる人いますか?)しよう!としたのですが無理でしたごめんなさい。 


 結局、パソコンが天国へ半分旅立ったこともあって(いまだにwindows2003使用)時間がかかってしまいました。間に合うかな………。


 正直、コバルトのあれ読んだ方がいたらごめんなさい。そう、一月号のあれ。


 話は前後しますが、「夜来香」「竜涙香(本当は竜涎香)」「ローリエ」なんかは実在です。図書室の『香りの百科事典』を借り出して書きました。


 あとはあれですね、「霊獣」。もっと名前なんかなかったかという気はしますが。

あれはそれぞれジャコウジカ、ビーバー、ジャコウネコのつもりです。一番メインの狐はたしかいなかったと思います。


「竜涙香」の元ネタ「竜涎香」は、クジラから採れるもので、香水なんかに混ぜて使われました。アニマル系の香料はたいていそうですが、それ自体はいい匂いがするわけではありません。だって………腸の内容物ですよ、みなさん。


もはやあとがきでもなんでもなくなってますが、わたしの自分にマスタースパーク撃ちたくなるようなミスのせいで原稿データが吹っ飛び、枚数が減ったため申し訳ないのであとがきぐらいは増やそうかと。


いろいろ書きましたが、次回はもっとましなものを書きたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

それでは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ・とかく文章能力に優れているように感じます。地の文をしっかり書くことが出来る人は小説としての質を高く保てると思いますので、その点では申し分ないかな、と。 ・物語の切り口が面白いです。薬草…
2012/12/27 10:44 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ