自己探求
「あたしはあたしが分からないの」
あんたはどこぞの中学生か?
とりあえず一周してきなよ
なにか分かるかもしれない
ぜいぜい息をきらしながらやって来て
あんたはあたしを指差した
「さてはお前はあたしだな」
ようやく気付いたかこののろま
走りどころか思考ものろいな
ところでなにか分かったかい?
あたしを知ればあたしが分かる?
あたしはどこぞの攻略本か?
とりあえず一蹴しておくよ
なにも分かりはしないんだ
『もう忘れたのかい?あたしはあんたなんだよ』
また頭を抱えるんだね
やっぱり体を動かした方がいい
もう一度まわってきなよ
きっとなにか分かるはず
「あたしが逆さに見えます」
それはきっと正しくはない見方だろうよ
前転したの?後転しなよ
運良く好転するのを期待して
「案外逆さが正しかったのかも」
『斬新!そんな考えは無かったな』
だったら次は逆立ちしなよ
それはきっと正しくはない味方だろうけど
あたしもやろうか
二人で逆さになってみようか
あたしが逆さになったとき
隣で聞こえた不安げな呟き
「あたし運動苦手なんだ」
続いて聞こえた小さな悲鳴
『あんた逆立ちもできないのか』
できないとは思うけど挑戦はした
その結果がこれだってさ
あべこべどころかちぐはぐさ
あたしが転がったのが空に見えた
あたしは見たんだ
したあがあしたになるのを
あたしがあしたになるのを
あたしは逆立ちを止めて
転がったあたしに手を貸した
「あしたを見たよ」
『あたしも見たよ』
「あたしを見たの?」
残念ながら結局あたしは見えずじまいだ
分からないあたしは分からないまま
とりあえずあしたが見えたので
続きはまたあしたにしよう
私の中に、私ではない私がいる!すわ二重人格かと思いきや、ただの思春期によくあることです。引っ込み思案な私がいると思えば友達の前では明るくよく喋る私がおり、かと思いきや親に訳なくイライラする私もいる。なんかそれぞれ別人みたいでどれが本当の私が分かんない、みたいな。実に典型的な厨二…いえ、思春期ですよね。