Episode 16
「っ⋯慧さん⋯血が欲しい⋯」
「いいよ⋯」
二人きりの部屋、首筋を差し出す慧さんに噛み付く。
あの日から、私は完全に吸血鬼となってしまった。
全てを受け入れてくれる、愛しい人⋯
慧さんの血は、とても甘美で⋯
「っ⋯慧さん⋯」
「⋯何?美夜ちゃん⋯」
「愛してます⋯」
「僕も⋯愛してるよ⋯」
「っ⋯幸せ⋯」
「僕も、幸せ⋯」
「⋯これからも、一緒に居てくれますか?」
「もちろん⋯」
私は、慧さんのどこに惹かれたのだろう⋯
もしかすると、血に惹かれたのかもしれない⋯
だけど、今はどうでもいい⋯
一緒に居て、楽しくて⋯
一緒に居て、落ち着ける⋯
「⋯私、慧さんに出会えて良かったです⋯」
きっと、私にはこの人しか居ないから⋯
『気持ち悪い⋯』
昔、友達に言われた言葉を思い出す。
何故か、この言葉を思い出すのは最後だと感じた。
「っ⋯慧さん⋯私って、気持ち悪いですか?」
「そんな事、あるわけないよ⋯美夜ちゃんを気持ち悪いなんて思った事は、一度もない」
キッパリと言い切る、愛する人⋯
私たちは、幸せになれる。
二人で、幸せになる。
そっと見つめ合い、唇を重ねた。
涙が一筋、頬を伝う。
吸血鬼の私を、受け入れてくれる⋯
吸血鬼の私を、好きだと言ってくれる⋯
それだけで、普通じゃない自分を受け止められた。
普通じゃない自分を好きになれた。
幸せの涙で、頬を濡らしたまま⋯
私たちは、一つになった。




