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真甜幸存 互いに故郷へ駆ける

残り火を越えた帰航


夜半、洞窟の中には二人の穏やかな微かな呼吸音だけが響いていた。


真田幸村は昏睡の中でも刀の柄を強く握り締めている、それは武士として刻まれた本能だ。その側に千代——服部桜は目を閉じているが、忍者の警戒心は骨の髄まで染み渡っている。重傷で疲労困憊しているにも関わらず、彼女の五感は張り詰めた弦のように、洞窟内外の微細な変動をすべて捉え続けている。


そのため、半分塞がれた入り口から最初の小石が転がり落ちた瞬間、彼女は目を覚ました。


すぐに目を開けず、呼吸のリズムも変えず、筋肉一つとして緊張させない。これが忍者の偽眠術、体は眠っているように見せながら、意識は抜刀した刀のように鋭く研ぎ澄まされている。


三つの人影、足音は軽いが、枯れ葉を踏む細やかな音が静かな夜の中で無限に増幅される。獣ではない——獣の足音はさらに細やかだし、人間が抑えた息遣いなど存在しない。


幸村はまだ深い眠りに落ちている。桜は彼の温かい体温が破れた衣を通じて伝わるのを感じ、彼の頭が自分の肩に軽くもたれかかっていることで、右手を腰後ろの忍具袋へ音もなく伸ばすことができる。


入り口を塞いだ石が慎重にどかされ、月光がさらに奥へ流れ込む。三つの影が洞窟の内壁に映り、手に何かを握っている——刀ではない、農具を改造した槍と斧だ。やはり正規軍ではない、だがそれゆえに危険度は増す。憎しみは人を何も顧みなくさせる。


「彼らだ……武田の残党だ」軽策荘の訛りの強い、抑えた声が響く。


「殺せ……父の仇を取れ」若い方の声は震えているが、恐怖からではなく怒りに燃えている。


「声を抑えろ、あの女忍は並外れて強いと聞く」三人の中で最も落ち着いた、隊長格の声だ。


彼らはゆっくりと近づいてくる。一歩、二歩……桜は心の中で距離を計算する。五歩に達した時、彼女は動いた。


猛然と飛び起きるのではなく、蛇のように滑り出す。左手を一振り、三枚の手裏剣が空を切る——人に狙いを定めず、洞窟天井の三箇所、事前に仕掛けた吊り石の機構に向けて放つ。


「ガララ——」


石が落下する、攻撃目的ではなく混乱と大きな音を撒き散らすためだ。三人の遊撃兵は本能的に上を見上げ後退し、その隙に桜は最も近い一人の元へ幽霊のように迫り寄る。


「チッ」と細い音が響き、苦無が首の動脈を正確に突き刺す。男は目を見開き、声を上げる間もなく地に崩れ落ちる。


「あの女、起きていた!」隊長が大きく叫び、斧を振り下ろす。


桜は横に身をかわすと、同時に足元の砂を蹴り上げ二人目の視界を奪う。男が慌てて目を擦る瞬間、彼女の手の中の針金が彼の首に巻き付き、一引きで息の根を止める。


二人目が倒れる。


隊長は怒りで目が真っ赤になり、慎重さを忘れて雄叫びを上げ突撃してくる。桜は半歩後退し、忍具袋から一握りの粉を掴む——唐辛子を混ぜた石灰粉だ。粉を撒き散らすと、隊長は目を押さえて絶叫する。


最後の一撃は潔く決まる。桜は彼の手から斧を奪い、逆袈裟に一斬り。


戦闘が始まって終わるまで、十息にも満たない。だがその音は遠くまで伝わってしまった。


幸村はこの時になって猛然と目を覚まし、刀を握って跳ね起きる:「桜!」


「逃げろ!」桜は彼の手を引き、説明する暇もない。「追っ手がすぐに迫る!」


彼女は洞窟の一角へ駆け寄る、そこに二人の残った荷物が積まれている。桜は素早く二つの小さな壺を掘り出す——忍者用の焼き玉、中に油とリン粉を混ぜた燃えやすい素材が詰まっている。


「下がれ!」壺を洞窟奥へ投げ捨て、同時に火種を放つ。


「ドカン!」


炎が瞬く間に立ち昇り、リン火特有の幽玄な青い光が乾いた苔と枯れ枝を瞬く間に飲み込む。洞窟は火の窟となり、一時的に入り口を塞ぐ。


「こちらだ!」桜は幸村を引いて洞窟の反対側へ走る——一見すると絶壁だが、昼間偵察した時に発見した細い岩の裂け目が隠れている。


二人は狭い岩の隙間を潜り抜け、背後からは激しい炎と追っ手の遠い叫び声が響いてくる。


「火をつけて洞窟を封じた!」

「回り込め、西側から追跡せよ!」


月下の逃亡が再び始まる。今回は二人とも限界寸前まで疲弊している。幸村の肋骨は一歩進むごとに激痛が走り、桜の背中の傷は再び裂け、血が応急処置の布を染め尽くす。だけど止まるわけにはいかない、止まれば死が待っている。


最初の山を越えた時、桜は懐から簡素な地図を取り出す——戦死した武田将校の遺品から拾ったもので、秘密港の位置が記されている。


「あと……五里だ」息を切らしながら告げる。「だが広い平地を渡らねばならない……極めて危険だ」


幸村は歯を食いしばる。「選択肢はない」


二人はよろよろと山を下りる。平地は廃れた段々畑で、月光の下に隠れる場所など一切ない。二人は田の畦の僅かな影を盾に匍匐前進するしかない。


だが遊撃隊の捜索網は想像以上に密だ。半分まで進んだ時、遠くから松明の火が一斉に灯る。


「あそこだ!」


矢が空を切って飛んでくる。二人は転がって避け、幸村はうめき声を上げる——一本の矢が太ももを掠め、血飛沫が舞う。


「急げ!」桜は彼を支え、半分引きずるように進む。


最後の三里は地獄の道となる。一歩一歩が焼けた炭の上を踏むように痛く、一呼吸ごとに血の鉄臭さが喉に詰まる。背後の追っ手の怒鳴り声はだんだん近づき、松明の光で二人の影が地面に映るまでになる。


「港が見える!」幸村が突然叫ぶ。


前方、谷の奥に水面の反射がうっすらと見え、数隻の小船の輪郭が浮かぶ。武田軍が撤退用に残した船だ、本来なら応援部隊が待機しているはずだが、今の様子では……


「誰もいない」桜の心が沈む。港は静まり返り、応援部隊は殲滅されたか、先に逃げ出したかのどちらかだ。


だが他に道はない。


最後の突撃。二人は残った力をすべて振り絞り、最も近い小船へ駆け寄る——粗末な漁船で、四五人がやっと乗れる程度の大きさだ。


幸村の手が船縁に触れようとしたその瞬間——


山側の斜面から黒い物体が投げ落とされ、空に弧を描いて飛んでくる。


時間がゆっくりと流れ出す。桜はそれを見て悟る:土の壺、口から火花がシューシューと吹き出す。遊撃隊が火薬と陶磁器の破片で自作した土製爆弾、だが一撃で命を奪うには十分な威力を持つ。


「幸村殿!」本能的に飛びかかり、幸村を突き飛ばす。


「ドカーー!!!」


爆発の衝撃波が二人を吹き飛ばす。陶磁器の破片が雨あられと飛び散り、幸村は背中に焼けるような痛みを感じ、耳は鳴り響き、世界がぐるぐると回転する。


「桜……」やっとの思いで起き上がるが、視界は霞がかって見えない。


桜は少し離れた場所に倒れ、動かない。彼女の忍装束は爆発でボロボロに裂け、背中一面が血肉まみれになっている。


「だめだ……だめだ……」幸村は彼女の元へ這い寄る、体を動かすたび全身に激痛が走る。桜を抱き起こすと、体は柔らかいが、微かな呼吸だけは残っていた。


追っ手の足音はもう目と鼻の先まで迫っている。


「捕まえろ!」

「武田の残党を逃がすな!」


幸村は歯を食いしばって立ち上がり、桜を抱えたままよろよろと小船へ向かう。一歩一歩焼けた炭の上を踏むようだが、止まるわけにはいかない。桜は自分の身を盾に致命の一撃を受けてくれた、今度は自分が守る番だ。


桜を船の中に寝かせると、力一杯船を岸から押し離す。追っ手は既に岸辺に到着し、弓を構える者、水に入って追おうとする者が現れる。


幸村は桜の忍具袋から最後の煙玉を取り出す——彼女の最後の生命の盾だ。歯で安全金具を噛み切り、全力で岸辺へ投げ捨てる。


「プスッ」と鈍い音と共に、濃い灰白色の煙が瞬く間に広がり、視界を遮ると同時に刺激臭で追っ手たちを咳き込ませる。


混乱に乗じて幸村は船に飛び乗り、櫂を掴んで沖へ必死に漕ぎ出す。


煙が晴れる頃、船は岸から数十丈離れていた。岸の追っ手は数本の矢を放つが、距離が遠すぎ、すべて水面に落ちる。


「もうよい……あいつら長くは持たない」

「船は細く、海上のうねりが激しい、遅かれ早かれ沈む」


怒鳴り声は次第に遠ざかる。幸村は漕ぐ手を止めない、港が視界から完全に消え、腕がしびれて感覚がなくなるまで漕ぎ続ける。


ついに櫂を手から離し、船底に崩れ落ちる。


小船は海を漂い続ける。幸村は苦しみながら桜の元へ這い寄り、傷の状態を確かめる。爆発の破片は主に背中に突き刺さり、傷は深く出血も多いが、奇跡的に急所は避けられていた。


自分の残った衣を引き裂き、海水で傷を洗う——海水は感染症を引き起こす恐れがあると知っているが、今は他に手段がない。それから桜の忍具袋から一小瓶の金創薬を取り出す、忍者が必ず携帯する救急薬だ。


桜の傷の手当てが済むと、幸村自身も力尽きる。船縁にもたれ、腕の中で気絶した桜を眺め、次第に白み始める空を見上げる。


生きている。


その思いが唐突に胸に湧き上がり、非現実的な恍惚感に包まれる。二十万の大軍が灰と化し、兄は討ち死に、重臣は全滅、自分は喪家の犬のように逃亡した……だけど少なくとも二人は息をしている。


少なくとも、桜は生きている。


朝日が海面から昇り、金色の光が二人の体を照らす。幸村は俯き、桜の蒼白な顔を見つめ、血で額に張り付いた髪の毛をそっと払う。


「生き延びよう、桜。誓う」低く囁く。




三ヶ月後、日本信濃国、真田家の故地。


かつての屋敷は戦乱で荒廃しているが、主屋だけはなんとか住める状態を保っていた。幸村は最後の僅かな財で屋根を葺き直し、壊れた壁を補修した。桜は裏手に小さな畑を開墾し、大根と青菜を育てている。


二人は名を偽り、戦場から逃げ帰った平凡な浪人夫婦として暮らす。誰も、無口なこの男が天下に名を轟かせた「日本一の兵」真田幸村だとは知らないし、いつも顔を覆う布を巻いた女が「戦国無双」の女忍千代だとも知らない。


生活は質素だが、穏やかだ。


朝、桜は早く起きて火を起こし料理を作る。忍者の身のこなしは台所でも生きる——包丁さばきは速く正確、火加減も絶妙に調整できる。幸村は水汲みと薪割りを受け持つ、肋骨と足の傷は完全に癒えていないが、日常の労働なら支障はない。


「幸村殿、食事ができました」桜は簡素な朝食——粥、漬物、小さな魚一尾を低い机に並べる。


幸村は座り、桜が覆面の一角をめくって慎重に食事する姿を眺める。彼女の頬には薄い傷痕が一筋、軽策荘の爆発で負った傷だ。だが彼女自身は気にも留めず、「これがあれば誰にも見破られなくて助かる」と言う。


だが幸村は気になって仕方がない。その傷を見るたび、あの夜、自分を庇って飛びかかった桜の姿が脳裏に蘇る。


「桜」夕食後、幸村が突然話し出す。「正式に夫婦となろう」


桜が皿洗いをする手が一瞬止まる。「私たちは……既に夫婦と偽っているではありませんか」


「それとは違う」幸村は彼女の背後へ回り、そっと腰を抱く——三ヶ月前まではこの動作すらためらっていた。「真田家の祖霊社の前で、生き残った旧臣たちを証人に、堂々と妻として娶りたい」


桜は振り返り、ロウソクの光の下、紅い瞳に涙が揺らぐ。「だが……私の出自、忍者としての過去が……」


「何も気にしない」幸村が遮る。「服部半蔵の娘でも、忍者の千代でも構わない。ただ幼い頃から心に寄せ、爆弾の盾になってくれた、余生を共に過ごしたい女としての桜だけが大事だ」


桜の涙がついに零れ落ちる。言葉も出ず、ただ肯く。


結婚式は極めて簡素だ。幸村は近所に隠れ住む真田旧臣数人を呼び寄せ、桜も生き残った服部の忍者たちに連絡を取る。華やかな儀式も豪華な衣装もないが、二人は真田家祖霊社の前で厳かに礼をし、誓いの言葉を交わす。


その夜、来客がすべて去り二人きりになると、幸村は桜の覆面を完全に取り払う——今回はすべてを外す。ロウソクの光の下、彼女の顔はまだ蒼白で、傷痕が鮮明に残っているが、幸村の目にはこの世で最も美しい顔に映る。


「桜……」低く名を呼び、傷痕に唇を寄せる。


桜は微かに身震いし、そして彼のキスに応える。そのキスは柔らかく優しく、涙の塩気が混ざっている。


その後、すべてが自然に流れる。


幸村の指はぎこちなく桜の帯紐を解く——武士として武芸に長けていても、こうした場面には一切経験がない。桜の頬は熱く燃えるが、拒まず、むしろ彼の手を優しく導く。


二人がついにすべての鎧を脱ぎ捨てた時、幸村は桜の体に刻まれた無数の傷痕を目にする:背中の爆発傷、肩の矢傷、長年忍者として任務を重ねた古傷の数々。一筋一筋が残酷な過去を物語っている。


彼は頭を垂れ、一つ一つの傷に唇を寄せる。「申し訳ない……これほどの苦しみを負わせてしまって……」


桜は首を振り、彼を引き寄せる。「すべて過ぎた……今は二人一緒にいられる」


その夜は長かった。傷だらけの二人が、互いの腕の中に温もりと救いを求める。幸村の動作は極めて柔らかく、桜の傷を痛めつけないよう細心の注意を払い、桜の応えは内気だが、偽りのない真摯なものだ。


朝日が障子を通じて室内に降り注ぐ時、桜は幸村の腕の中に横たわり、彼の穏やかな鼓動を聞いている。幸村の腕は彼女を抱きしめたまま、眠りの中でも緩めることはない。


「本当に家を持てますか?」桜は、幸村が起きているか分からず、柔らかく囁く。


「持てる」幸村は目を閉じたまま答える。「家も畑も、もしかしたら……子供たちにも恵まれるかもしれない」


桜の頬が再び赤く染まる。彼の胸に顔を埋め、鼓動と体温を感じ続ける。


外の世界は依然として戦乱に満ち、戦国の世は終わらず、真田家の未来も見通せない。だがこの瞬間、この小さな一室の中だけは、二人だけの安らぎがある。


それだけで十分だ。




数年後、真田幸村が再び世に立ち、大阪夏の陣で「日本一の兵」最後の輝きを放つ時、胸元には桜が縫い上げた守り札を常に忍ばせていた。そして桜——服部桜は「真田十勇士」の一人として再び彼の側を守り続ける。


それはまた別の物語。


だが少なくともこの戦火が一時収まる隙間、地獄から生き還った二つの魂は、ついに二人だけの安らぎを手に入れた。二人は生き延びた、そして共に生き続ける。


それだけで十分だ。

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