シーン6 論理の締め
舞踏ホールには、まだ緊張が残っていた。
レティシアの宣言。
「罪はありません」
その言葉は重く、
貴族たちの間に静かに広がっている。
レティシアは一度ゆっくりと周囲を見渡した。
王太子。
貴族たち。
令嬢たち。
そして証言者たち。
すべての視線が彼女に集まっている。
彼女は静かな声で続けた。
「確認しておきましょう」
淡々とした口調。
感情ではなく、
論理で話す声だった。
「まず」
指を一つ立てる。
「証拠は存在しません」
誰も反論しない。
それはすでに証明された事実だ。
レティシアは続ける。
「次に」
「王太子殿下へ届いた告発文」
彼女の視線がマリアへ向く。
「これは偽造でした」
舞踏ホールが小さくざわめく。
だが、
否定する者はいない。
筆跡は一致していた。
レティシアは最後に言う。
「そして」
「証言」
カイル。
レオン。
二人の顔がわずかに強張る。
「どちらも」
「直接の目撃ではありません」
事実だった。
噂。
誤認。
それだけ。
レティシアはゆっくりと言葉を結ぶ。
「つまり」
短い沈黙。
舞踏ホールの空気が張り詰める。
「この断罪には」
「根拠がありません」
さらに一言。
「よって」
その声は静かだった。
だが、
はっきりとした結論だった。
「断罪は無効です」
沈黙。
そして。
小さな声が上がる。
「……確かに」
別の貴族が頷く。
「論理的だ」
「その通りだ」
年配の貴族が腕を組んだ。
「反論の余地はない」
理解が広がっていく。
怒りではない。
感情でもない。
論理による納得。
舞踏ホールの貴族たちは、
静かにその結論を受け入れ始めていた。




