表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は世界のバグを修正する  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/120

シーン4 噂の連鎖

マリアの沈黙。


それは舞踏ホールの空気を大きく変えていた。


証言。


そう思われていた言葉が、


実はただの「伝聞」だった。


ざわめきが広がる。


「見たわけではないのか?」


「聞いただけ……?」


貴族たちの視線が揺れる。


その中心で、


レティシアは静かに口を開いた。


「社交界の噂というものは」


落ち着いた声。


講義のような口調だった。


「こうして広がります」


彼女はゆっくりと指を一本立てる。


「まず」


「Aが何かを聞く」


二本目の指。


「AはそれをBに話す」


三本目。


「BはそれをCに伝える」


そして、軽く肩をすくめた。


「やがて」


一拍。


「CはそれをDへ」


「DはEへ」


「EはFへ」


ホールの貴族たちは、


黙ってその説明を聞いている。


レティシアは静かに結論を言った。


「そして最後には」


彼女は周囲を見渡す。


「誰も」


「最初に言った人間を知らなくなる」


沈黙。


その説明は、


あまりにも分かりやすかった。


貴族たちの顔に、


理解が広がる。


一人の貴族が呟く。


「……確かに」


別の貴族が頷く。


「社交界ではよくあることだ」


令嬢の一人も言う。


「私も……」


「誰から聞いたのか覚えていないわ」


別の令嬢。


「気づけば皆が知っていた」


ざわめきが広がる。


それは今までとは違う種類のざわめきだった。


噂。


それは証拠ではない。


ただの情報の連鎖。


そしてその連鎖は、


事実と誤解を区別しない。


レティシアは静かに言った。


「つまり」


「今回の噂も」


一拍。


「同じ可能性があります」


その言葉が、


舞踏ホールに重く落ちた。


誰かが最初に言った。


それを誰かが信じた。


そして社交界全体へ広がった。


もしそれが誤りなら――


この断罪劇は、


噂だけで作られた可能性がある。


空気が変わる。


完全に。


貴族たちは、


ようやく同じ疑問に辿り着いていた。


では。


最初に言ったのは誰なのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ