シーン6 第三証拠 ― 魔法記録
ざわめきは収まらない。
むしろ広がっていた。
最初の証言。
次に噂。
そして教科書事件。
それらが崩れたことで、舞踏ホールの空気は完全に変わっている。
もはや断罪ではない。
審理だった。
その中心に立つレティシアは、ゆっくりと口を開く。
「そして」
短い一言。
視線が集まる。
レティシアの声は静かだった。
「階段事件」
その瞬間。
空気が一段階、張り詰めた。
階段。
リリアが落ちかけた事件。
騎士家のレオンが証言した、
最も重い罪。
会場の誰もが息を止める。
レティシアは続けた。
「これは」
「最も重要な事件です」
視線がレオンへ向く。
彼の顔はわずかに硬い。
レティシアは言う。
「しかし」
「この事件には」
一拍。
「記録があります」
貴族たちがざわめく。
「記録?」
「何の?」
レティシアは答える。
「学園には」
「警備魔法が存在します」
会場がざわつく。
貴族の一人が言う。
「まさか……」
別の貴族が呟く。
「監視魔法か」
レティシアは頷いた。
「ええ」
「魔法記録です」
その言葉の意味を理解した瞬間、
舞踏ホールに大きなざわめきが走る。
監視魔法。
それは学園の安全管理のために設置された魔法装置。
廊下や階段の出来事を
魔法水晶に記録する装置。
つまり。
事件の瞬間が
記録されている可能性がある。
アルフォンスの顔が一瞬固まる。
レオンの表情も変わる。
レティシアは入口へ視線を向けた。
「持ってきてください」
その言葉と同時に、
数人の学園職員がホールへ入ってくる。
彼らが慎重に運んでいるのは、
大きな透明の水晶だった。
青白い光を宿した魔法装置。
学園の監視記録を保存する
記録水晶。
それが舞踏ホールの中央へ置かれる。
どよめきが広がる。
貴族A
「本当に出すのか……」
貴族B
「事件の記録を……?」
令嬢
「そんな……」
ざわめきは止まらない。
もし記録が存在するなら、
真実は
完全に暴かれる。
レティシアはその水晶を見つめる。
そして静かに言った。
「これが」
「階段事件の記録です」
舞踏ホールが、
騒然となった。




