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悪役令嬢は世界のバグを修正する  作者: 南蛇井


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シーン3 王太子とのダンス

魔法オーケストラの旋律が、ゆるやかなワルツへと変わった。


舞踏会の中央では、すでに何組もの男女が踊り始めている。

ドレスの裾が花のように広がり、礼服の裾が静かに揺れる。


そんな中、レティシアの前に一人の青年が歩み寄ってきた。


金の髪。

深い青の瞳。

王族の紋章が刺繍された正装の礼服。


王国第一王子――アルフォンス・ルミナリア。


広間の視線が、自然と二人へ集まる。


王太子と、その婚約者。

この舞踏会で最も注目される組み合わせだ。


アルフォンスはレティシアの前で立ち止まり、軽く頭を下げた。


そして、手を差し出す。


「レティシア」


低く落ち着いた声。


「踊ってくれるか」


それは形式的な言葉だった。


婚約者同士の最初のダンス。

社交界では当然の儀礼。


レティシアは一瞬だけ彼を見つめ、それから静かに頷いた。


「ええ、殿下」


細い指先を、差し出された手に重ねる。


アルフォンスの手は温かく、そしてわずかに力が入っていた。


二人は舞踏ホールの中央へ歩み出る。


音楽が、さらに優雅な旋律を奏でる。


アルフォンスの腕がレティシアの腰に回り、

レティシアのもう一方の手が彼の肩に添えられる。


ワルツが始まった。


一歩。


二歩。


床を滑るように足を運びながら、二人は円を描くように回る。


息の合った動き。

完璧な姿勢。


まるで絵画のような光景だった。


さすがは王太子と公爵令嬢――

周囲の貴族たちは感嘆の視線を送る。


しかし。


レティシアは、すぐに気づいた。


アルフォンスの動きが、わずかに硬い。


普段の彼なら、もっと自然に踊る。

社交ダンスは王族教育の基本であり、彼もまた優秀な踊り手のはずだ。


それなのに。


今日の彼は、どこかぎこちない。


視線も、微妙に合わない。


レティシアを見ているようで、見ていない。


まるで、何か別のことを考えているかのようだった。


一歩、回る。


ドレスの裾が静かに揺れる。


アルフォンスの手の力が、ほんの少し強くなる。


レティシアは気づかれないように、彼の表情を観察した。


王太子の顔は、いつも通り穏やかだ。

しかし、その奥に小さな迷いが見える。


……おかしい。


レティシアの胸に、わずかな違和感が生まれた。


舞踏会の音楽は優雅に流れ続けている。


だが。


アルフォンスの態度には、明らかな変化があった。


まるで、何かを決意しているかのような――


そんな硬さが、彼の動きに滲んでいた。

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