シーン5 嫌がらせリスト
三人の証言が終わったあと、舞踏ホールには重苦しい沈黙が落ちていた。
すでに多くの貴族の視線は、冷たいものへと変わっている。
その空気を確認するかのように、アルフォンスがゆっくりと口を開いた。
「証言は聞いたな」
王太子の声は落ち着いていた。
まるで、すでに結論が決まっているかのように。
彼は一歩前へ出る。
そして、はっきりと告げた。
「これまで報告されている罪を、ここで整理する」
ざわめきが小さく広がる。
アルフォンスは指を一本立てた。
「第一」
「リリア・フェインへの暴言」
貴族たちが頷く。
「第二」
「学園内での孤立工作」
令嬢たちが小さく顔をしかめる。
「第三」
「教科書の隠匿」
どよめき。
「学習を妨害する行為だ」
そして――
アルフォンスは最後の言葉を告げた。
「第四」
「階段からの突き落とし未遂」
その瞬間、舞踏ホールの空気が重く沈む。
四つの罪。
暴言。
孤立。
嫌がらせ。
そして危険行為。
それらを並べて聞けば、印象はまるで違う。
ただの令嬢の意地悪ではない。
まるで犯罪者の罪状だ。
誰かが小さく呟いた。
「これは……」
「ひどすぎる」
別の貴族が言う。
「王太子殿下が怒るのも当然だ」
令嬢たちも頷き合う。
「婚約破棄は仕方ないわ」
「むしろ遅いくらい」
空気は完全に傾いていた。
舞踏ホールの視線が再びレティシアへ向く。
もはや彼女は、
婚約者でも、
公爵令嬢でもない。
罪を列挙された――
被告人のようだった。




