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悪役令嬢は世界のバグを修正する  作者: 南蛇井


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シーン4 第三証人 ― 令嬢マリア

レオンが証言を終えると、舞踏ホールには重たい空気が流れていた。


暴言。


階段事故。


証言は次々と積み重なり、すでに多くの貴族の心は傾き始めている。


その時、アルフォンスが視線を動かした。


「次の証人だ」


その言葉に応えるように、一人の令嬢が前へ進み出る。


淡い水色のドレス。


整えられた金色の髪。


マリア・ローデル。


伯爵家の令嬢であり、社交界でも知られた人物だった。


彼女は優雅に礼をすると、少しだけ緊張した様子で口を開く。


「わ、私も……見ていました」


小さな声。


だが舞踏ホールは静まり返っている。


誰もがその言葉を聞いていた。


マリアはちらりとリリアを見た。


そして続ける。


「レティシア様は……いつもリリアさんを睨んでいました」


ざわめき。


マリアは視線を落としながら言う。


「学園の廊下でも、庭でも……」


「リリアさんが近くにいると、必ず冷たい目で見ていて……」


彼女は少し言葉を詰まらせる。


そして、思い切ったように言った。


「それだけじゃありません」


舞踏ホールが静まり返る。


「レティシア様は、周りの貴族たちに言っていました」


「リリアさんとは関わらない方がいい、と」


「平民と付き合えば社交界の品位が落ちる、と」


ざわっ。


空気が揺れる。


「孤立させようとしていたのか……」


「ひどい……」


令嬢たちが囁き合う。


マリアは最後に、ゆっくりと顔を上げた。


「だから……」


「リリアさんは、いつも一人だったんです」


その言葉が落ちた瞬間。


舞踏ホールの空気は、完全に変わっていた。


証言は三つ。


暴言。


階段事件。


そして孤立。


それらが重なり、人々の頭の中で一つの物語が完成する。


平民の少女を虐げる、冷酷な公爵令嬢。


人々は、もう疑っていなかった。


社交界は――


完全に信じ始めていた。


レティシア・アルヴェルンが、


悪役であると。

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