表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は世界のバグを修正する  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/140

シーン10 フック

舞踏ホールの空気が、ゆっくりと変わり始めていた。


最初は誰も気づかないほど、わずかな変化。


だが確実に。


貴族たちの会話が、少しずつ小さくなる。

笑い声が減り、視線が一方向へ集まっていく。


舞踏ホールの中央。


そこに立つのは、王太子アルフォンスだった。


彼の周囲には、数人の若い貴族たち。

そして、少し離れた場所には――


リリア・フェイン。


平民の少女が、不安そうな表情で立っている。


レティシアは、その光景を静かに見つめていた。


ああ、やはり。


ここから始まるのだ。


この舞踏会の本当の目的。


彼女はゆっくりとグラスをテーブルへ置く。


指先に残る冷たい感触。


そして、静かに思う。


これは――


断罪の舞台。


王太子。

平民の少女。

取り巻きの貴族たち。

そして、見物人のように集まった社交界。


まるで、どこかの物語のような構図だ。


レティシアは小さく息を吐いた。


そして、ほんのわずかに口元を緩める。


(……これは)


胸の中で、静かに言葉を紡ぐ。


(断罪イベントね)


その瞬間だった。


アルフォンスが一歩前に出る。


王太子の動きに気づき、貴族たちのざわめきが完全に止まる。


魔法オーケストラの音楽すら、いつの間にか消えていた。


舞踏ホールの視線が、すべて中央へ集まる。


そして。


王太子アルフォンスが、はっきりと声を上げた。


「レティシア・アルヴェルン!」


その名が、広いホールに響き渡る。


すべての視線が、彼女へ向いた。


レティシアはゆっくりと顔を上げる。


その表情には、動揺も恐れもない。


ただ――


静かな微笑だけが浮かんでいた。


(始まったわね)


こうして。


社交界最大の舞踏会は、


悪役令嬢の断罪劇へと変わった。


――第1章 終わり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ