呆れる「ガソリン法案廃案」と東京都議会議員選挙の結果について
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は第217回国会最終盤と東京都議会議員選挙の結果を僕なりに分析したのでどうぞご覧ください。
◇ガソリン税の暫定税率廃止法案は廃案に
質問者:
国会終盤ではガソリンの暫定税率を廃止する法案が野党で出される過程で、
井林財務金融委員長の解任が決まるなど異例の事態もありましたが、
法案そのものは廃案になりましたね……。
筆者:
この一件については与野党ともに言いたいことが多いです。
まず自民党ですが昨年10月の国民民主党との3党合意でガソリン税の暫定税率廃止が明記されていました。
あそこで国民民主党が期限を定めずに合意したのは大きく問題はありますが、それにしたって全く議論されていなかったわけではありません。
税制システム自体はガソリンスタンドのシステムをちょっと変える程度で負担も無く、価格を1リットルあたり25,1円も一気に下げることも可能になるわけです
2万円配る(笑)よりも遥かにスピード感を持って物価高に対応できる作戦として有効だと思いますけどね。
質問者:
確かにあの合意は何だったのかと言う感じですね……。
筆者:
そして野党の政党達も「本気でこの法案を成立させる気があったのか?」と言うと疑問です。
「会期末は6月22日」と言うのは「会期延長の採決」が取られなかった場合です。
どうしても暫定税率の廃止、最低でも採決をさせたければ会期延長をすればよかっただけです。
国会会期延長というのは衆議院の優越項目の一つと国会法で定められており(国会法11~13条)、
衆議院の可決のみで延長成立を行うことが可能です。
委員長を野党がまとまって罷免することが出来たのですから、
同じようにガソリン税見直しのために会期延長をすることも可能だったのです。
質問者:
国会の会期延長も衆議院の優越で決まるとは知りませんでした……。
確かに「残り日数が短いから廃案になった」というのは「野党の怠慢」とも思えますね……。
筆者:
もう彼らの頭の中は参院選でいっぱいなんでしょうね(笑)。
ここで誠意ある対応をした方がもっと伸びる(自民が減税に反対することが鮮明になることより沈没するという意味で)と僕は思いますけどね。
更に国会序盤の予算成立過程で、暫定予算を組んでまで減税をしようとしなかった立憲民主党の姿勢や、自民党案にあっさり賛成してしまった維新の会も減税の視点で見ると大きくマイナスでした。
このように「内閣不信任案の茶番」もそうでしたがもっと野党は出来ることがあったと思います。
委員長解任程度の“異例の事態”と言う「対立構図の茶番」を国民は見せられていただけだったと言えます。
質問者:
野党が衆議院が上回っていたのに何一つ減税について前進しなかったのは本当に「何の成果も得られなかった」と言う感じがしますね……。
筆者:
自民党公約の給付2万円についても石破首相のこれまでの言動からすると実行されない可能性が十分にあり得ると思いますしね。
本当に酷い国会だったと思います。
そしてこれらの酷さについてメディアがまともに解説や報道してくれなかったこともこの国の闇の深さだと僕は感じていますね。
お互いの酷さが露呈しきれず、持ちつ持たれつの関係が見えにくい状況になっていますからね。
◇東京都議会議員選挙について
質問者:
6月22日と言えば東京都議会議員選挙の投開票日でもありました。
自民党が「自民系無所属」を合わせても過去最少議席数の22議席になったことについてはどういう感想を持っておられますか?
筆者:
政権交代が起きた2009年が自民党は38議席、都民ファーストの会が大躍進した2017年が自民党は23議席だったためにそれをも下回る結果となりました。
質問者:
「小泉進次郎大臣の備蓄米効果」って言うのはどうだったんでしょうか?
直前の世論調査の結果では投票先で自民党が1位だったところも多い気がしたのでこれ保と大敗する感じもしなかったんですけど……。
筆者:
「小泉進次郎効果」というのは進次郎ならぬ「蜃気楼」程度しか無かったと言えますね(笑)。
小泉氏が選挙戦の終盤の6月20日にⅩ(旧Twitter)に、
「Yahoo!ショッピング、対象のお米が最大20%OFFになるクーポンを配布。6月27日より令和6年産の銘柄米を5kgあたり実質価格3,000円台から販売開始」
という「私企業への利益誘導」とも取れる投稿をし、しかも削除をする事無く平然としていることも炎上したので、大きくマイナスになったと思いますね。
小泉氏は僕の見立てでは「台本無ければボロが出る」と思っていたのがそのまま出たと思います。
本人としては「銘柄米が何と3000円台で買えるよ!」と言う事をアピールしたかったのでしょうが、現職大臣や政治家としての自覚が足りな過ぎます。
質問者:
確かに政治家の方が個別企業名を出したら利益誘導のような気がしますよね……。
脇が甘いというか……。
筆者:
まぁ、そもそも世論調査や新聞のアンケートに答えるのはテレビを見たり新聞を取っている高齢者層がメインだと思うので、あまり若い世代も含めた世論を反映しにくくなっているのかもしれませんけどね。
ただ、都民ファーストの会は現有議席と変わらなかったために自民、公明を合わせて過半数越えの状況です。
「小池知事与党」でみるとパワーバランスは変わらないために「東京都政」と言う観点だと何も変わらないのかなと思います。
質問者:
えっ……自民党は3分の2の議席になったのに何も政治が変わらないって……。
筆者:
主要な野党側としても本気度が全く感じられないんですよ。
都議会立憲民主党はプラス5で17議席なんですが、立候補者数がそもそも20人しかいなかったのもあって、そもそも「受け皿になろう」「都議会から政権交代をしよう」というやる気すらも無いと言えます。
だから国会と同様に都議会議員選挙も「茶番」に近いものを感じましたね。
質問者:
なるほど……せめて都議会第1党を目指して40人ぐらい立候補しないと駄目ですよね……。
筆者:
投票率も42.39%から47.59%に上がりましたが前回が歴代2番目の低さだったので、上がるのは当然です。
50%を下回る様相は変わらず、正直言って政治不信が続いている状況だと思います。
今回の国会もそうなんですけど、「投票に行っても政治が変わらない」ということで更に投票に行かなくなることを危惧しています。
僕は投票だけでなく、しっかりと「その後を監視」して発信していく必要があると考えています。
◇小さい諸政党について
質問者:
去年の都知事選挙で2位に入った石丸さんが代表を務める「再生の道」が0議席だったのが個人的には驚いたんですけど……。
筆者:
僕としてはそんなに驚かなかったですね。
一番“厳しいだろうな”と思ったのは特に明確な政策を設けず「東京を取り戻す」や「市民が主役の政治家を」と言った抽象的なスローガンを連発したことです。
今一番、国民が苦しんでいる物価高対策について具体案を示さないと流石に厳しいかなと思いますね。
後は選挙戦略にも疑問がありました。現有議席0議席の政党なのに複数人立候補者を出して全員落選しました。
特に杉並区では当選最低得票数が19300票だったのに対して、再生の党公認3人の票を合わせれば19500票ほど
世田谷区では当選最低得票数が23100票だったのに対して、再生の党公認の2人の票を合わせれば27000票ほどと、
1人に絞っていればこの2地区では当選していた可能性がありました。
質問者:
再生の道は選挙戦略が根本から間違っていたんですね……。
そもそも「立候補するのに意義がある」とか選挙後に石丸さんはおっしゃっていましたけどちょっと根本のベクトルから違うのかもしれませんね……。
後は今回は国民民主党、参政党と言った現有議席が0議席だった党が伸びましたよね。
筆者:
今回の都議選党派別得票率を見ると、
『地域政党「都民ファーストの会」が19.74%でしたが、前回と比べて2.5ポイント低下。自民党は15.72%で、約10ポイント下落、公明党が10.03%、立憲民主党9.02%、共産党9.25%いずれも3~4ポイント程度下がった。
9議席を獲得した国民は6.95%と、前回の0.67%から大幅に伸ばした。3議席を確保した参政は2.22%だった。』
と言う記事もあり、都民ファーストの会も含めて「これまで議席数を多く持っていた党全て」に対して疑問が投げかけられている局面だと思いますね。
国民民主党も0議席だったのが9議席獲得しましたが、18人立候補して半分落ちているとも捉えることができるので、以前よりは勢いが落ちていると言えます。
質問者:
政策を見ていると参政党って何か筆者さんと考え方が近そうに思えるんですけどどうなんでしょうか?
筆者:
参政党は「日本人ファースト」と言う点では大きく同意したいところはあります。
しかし、経済政策などがちょっと違いますね。
「松田プラン」という副代表の貨幣観を聞いていると「銀行の信用創造理解してるのかな?」と疑問を呈したくなります。
あと、「創憲」と言う事で新しく憲法を作るそうなので、その原案が公開されているんです。
全体を読んでみたところ、ちょっと国粋主義的で戦前の雰囲気がするので、時代にそぐわず、多くの人には受け入れられないのであの案はやめた方が良いのではないかなと思いますね。
質問者:
今回の都議選では0議席でしたけど、経済政策については確かれいわ新撰組が理想的だという話が以前はありましたね。
筆者:
ただ、「減税までの道筋」みたいなのがちょっと見えない気がするんですよね。
理想論に終始し過ぎている気がするので、国民民主党みたいに「所得税の壁」など攻めやすい所から突破していく作戦の方が良いのかなと思います。
後は、れいわ新撰組は外国人に対する対応の甘さが懸念ですしね。
質問者:
ミニ政党も理想的な政党は無いという感じなんですね……。
筆者:
結局のところ自分で党を作るとかしない限りは「理想的な政党」と言うのは難しいですよ。
でもそれにしたって今の状況の自民党政治を終わらせることが出来ない(小池都政だって自民党政治の延長線上にあるため)野党に大きく問題があると思いますよ。
だから野党でもある程度の力を長年持ち続けてきた立憲民主党や維新の会を僕は痛烈に批判を続けたわけですしね。
皆さんの選挙区で「相対的に一番誰が良いと思うか?」と言う事を比較考量する必要があります。
どの政策が譲れず、どの政策が妥協出来るか? 伸びそうな政党が集まった場合の実現可能性も含めて考えていく必要があると思いますね。
質問者:
結構そこまで考えたら大変ですよね……。
筆者:
でも本来国全体の政治家を決めるのであればそれぐらい考えても良いと思うんですよね。
一般国民が政治に参画する機会があるだなんて歴史全体を見たら日本の男性のみの普通選挙から100年、欧州の最初の普通選挙を見ても200年弱ですからね。
有り難く感謝して投票権を行使した方が良いと思います。
質問者:
選択しか厳しくてもしっかりと選んで行かないと更に政治家の方が暴走しそうですからね……。
筆者:
いずれにせよ自民党はこの30年を破壊してきた張本人だとは思いますけど、
野党のお前らも頼りなさすぎなんだよ! と言う事をとにかく言いたいですね。
今後も皆さんの政治的な意思決定をするお助けを出来るようなエッセイを書いていこうと思いますのでよろしければご覧ください。