表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/17

エピローグ

ブクマしてくれている方。

評価をしてくださった方。

リアクションをくださっている方。

ここまで読んでくださった方ありがとうございます。

このような圧縮した終わりで本当に申し訳ございません。

 この国の歴史において、マナ枯渇の時代は避けられぬ終末とされていた。


 だが、それは来なかった。


 それは、ある一人の少年が世界そのものと融合し、終焉の火種を押しとどめたからだ。


 


 ◇ ◇ ◇ 


 


「伝説……か」


 リリス・ランデルは、王立魔法学術都市の演壇に立ち、子どもたちの前で講義を終えたあと、静かに肩を落とした。


「先生のお兄さんって、本当に世界樹になったの?」


「魔法より強かったって本当!?」


「剣で風を起こして、空を飛んだってお母さん言ってた!」


 子どもたちの目は、きらきらと輝いていた。


 リリスは小さく微笑む。


「本当よ。……でもね、あの人は特別な人だったんじゃないわ。

 世界のすべてを、ただひとつの想いで斬り拓いただけ。大切な人を守るために」


「かっこいい……!」


「お兄さん、今どこにいるの?」


「……世界の、いちばん奥よ」


 リリスはそっと窓の外――聖域となった“世界樹の聖根”を見つめる。


 五年前、王国と帝国の大戦は終結した。


 魔力によらぬ国家再建を条件に、帝国は撤退。

 リリスは〈王国再興の象徴〉として、王直属の研究主任となり、マナに代わる新エネルギーの開発に尽力してきた。


 それは、兄の背を追いかける日々でもあった。


 あの夜。世界樹の核に触れた兄は、もう人ではなかった。

 意識は確かに残っているが、時間すら超えた場所にいる。


「――でも、必ず迎えに行く」


 誰に言うでもなく、呟いた。


 ふと、腰のホルスターにある短剣──かつてアッシュが鍛えた炎の護剣が、微かに振動した。


「……アッシュ?」


 次の瞬間、研究塔の警報が鳴る。


《世界樹聖域にて、空間魔力の圧縮反応を検出。……強制再起動信号――起動中》


 学者たちが走り出す中、リリスは息を呑む。


 そんなはずはない。あの場所は“永遠の眠り”の象徴だった。


 でも、彼は言っていた。


 「世界ごと、お前の道にしてやる」と。


 世界が、マナを手放し、変わろうとしている今。


 もしかして、アッシュは――その目を、再び開けようとしているのかもしれない。


 


 ◇ ◇ ◇ 


 


 そして、その日。王都の空に、一陣の風が吹いた。


 誰もいなかった世界樹の根元に、剣が一振り、突き刺さっていた。


 それは、風をまとい、かすかに脈打っていた。


 再び語られるだろう。


 マナに抗い、文明の限界を越えた一人の兄と、彼の背を追った妹の物語が。


 ――それは、終わりではなく、新たな始まり。


『無限レベルアップの兄は、世界を救って伝説になった』という、ひとつの神話として。


 


 ……そして、リリスはもう一度、空を見上げて笑った。


 「おかえりって、言わせてよね」


 


 風が、優しく頬を撫でた。


本当にここまで読んでくださってありがとうございます。

悪役令嬢というのが最初のコンセプトだったのですが、全く添えずに申し訳ございません。

ダメダメな小説書きでよければ、懲りずに次回作を書いていますので読んでいただければ幸いです。

予定では、来週末、再来週末には掲載予定です。

次回作はラブコメ×SFで行こうと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ