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第3話: 民衆を導き、道を示せ

病院を退院した俺は、すっかり有名人になっていた。

と言っても、良い意味ではない。

「炎上系YouTuber」「迷惑系YouTuber」「社会のゴミ」

街を歩けば、そんな罵声が聞こえてくる。

スーパーに行けば、白い目で見られる。

友人たちは、一人、また一人と離れていった。


「みんな、俺のことを誤解してるんだ……」


俺は、そう呟いた。

本当は、こんな風に炎上したくてやっているわけではない。

ただ、「運命の書」の指示に従っているだけなのだ。


俺は、再び「運命の書」を開いた。

次のページには、こんな言葉が浮かび上がっていた。


「民衆を導き、道を示せ」


民衆を導き……道を示せ……か。

これは、いよいよ俺がカリスマになる時が来たということか?

俺は、興奮を抑えきれなかった。


「よし、分かった。やってやるぜ!」


俺は、街頭で演説を始めることにした。

テーマは、「真の自由とは何か」。

内容は支離滅裂で、論理的根拠は何もない。

しかし、俺は自信満々に演説を続けた。


「我々は、社会の束縛から解放されなければならない!真の自由を手に入れるのだ!」


通行人は、怪訝な顔で俺を眺めていた。

中には、スマホで動画を撮影する者もいた。


「おい、あいつキラだろ?また何かやってるぞ」

「あいつ、マジで頭おかしいんじゃねえの?」

「早く警察呼べよ」


嘲笑、罵倒、無視。

様々な反応があったが、誰も俺の言葉に耳を傾けようとはしなかった。

しかし、そんな中で、一人だけ、真剣な表情で俺の演説を聞いている男がいた。


「あなたは……本物だ……」


男は、涙を流しながら、そう言った。

そして、俺の前にひざまずき、こう言った。


「あなたこそ、我々の救世主です!どうか、私たちを導いてください!」


この男を皮切りに、俺を信奉する者が少しずつ増えていった。

彼らは、俺の言葉を盲信し、俺の指示に絶対服従した。

俺は、ついに「民衆」を手に入れたのだ。


「さあ、私の信者たちよ!共に、新しい世界を創造しよう!」


俺は、高らかに宣言した。

信者たちは、歓喜の声を上げた。

俺は、彼らの熱狂に酔いしれていた。


しかし、同時に、深い孤独感にも襲われていた。

信者たちは、俺のことを理解しているわけではない。

ただ、俺の作り上げた虚像に熱狂しているだけなのだ。

本当の俺は、誰からも理解されていない。


俺は、一人、豪華なマンションの部屋で、空虚な時間を過ごしていた。

窓の外には、きらびやかな夜景が広がっている。

しかし、俺の心は、闇に包まれていた。


「俺は……何をやっているんだろう……」


俺は、呟いた。

かつての友人たちは、もういない。

家族とも疎遠になっている。

残ったのは、ネット上の信者たちだけだ。


「これが……運命の書が示した道なのか?」


俺は、再び「運命の書」を開いた。

しかし、ページには何も書かれていない。

白紙だった。


「どういうことだ……?」


俺は、混乱していた。

その時、玄関のチャイムが鳴った。

ドアを開けると、そこに立っていたのは……

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