入学
あれから何年も経ち今現在、俺はブリテンアイランドの首都ロンドン近郊にある聖クリスティーヌ探偵学園の校門前に立っていた。
えっ、時が立ちすぎだって?そんなこと言われても、ここに来るまでにやったことと言えば、両親を説得したり勉強したり、入学前に必要なスキルやステータスを上げていただけでこれと言ったことはなかったぞ?
そう、この学園引いてはこれから必要になるもの、それがスキルとステータスだ。あの乙女ゲームでは戦闘時など必要なスキルがあるのだが、スキル取得には一定のステータスを有した上で条件を達成する事によって取得できる。…………明らかに探偵要素のかけらも無いシステムだが、一々突っ込んでいたらキリが無いので割愛するが、まあ大体こんな感じだ。
そんなこんなでステータス上げとスキルを取得する為、奔走していたわけだが入学前に使えそうなスキルを取得したおかげで、これから起こるイベントにもある程度は対応できるだろう。
「………はぁ」
思わず出てしまった溜息にこれから起こる出来事に憂鬱になりつつも改めて決意を固める。そして、校門をくぐり抜け自分がこれから所属するクラスへと歩を進めると、後ろの校門から黄色い声が聞こえてきたため振り返ると、やはりと自身の予想通りの人物たちが来たのを確認した。
学園入学早々、このゲームの攻略キャラたちのご登場である。この乙女ゲームの攻略キャラは全部で6人いるのだが、基本は今現在騒がれている5人で、残りの1人は所謂隠し攻略キャラで今回は割愛するが、1人目はエルキュール・ポワロ。かの名探偵と同姓同名でありこのゲームの表紙を飾るイケメンだ。金髪イケメンで所謂王子様系と言うべきキャラである。
2人目はオーギュスト・デュパン。こちらも有名な名探偵と同姓同名でクールな眼鏡堅物イケメンで騎士と言う盛りに盛った設定のキャラだ。3人目は明智小五郎。こちらも同様に名探偵と同姓同名で、俺と同じ留学生で陰険そうな見た目をしたイケメンだ。4人目は同様に金田一耕助。こちらは流石に乙女ゲームという訳あってか頭垢を撒き散らさない程度には小綺麗ではあるがボサボサとした髪とイケメンとい外見以外は某名探偵と同じである。最後はジョン・マープル。こちらも某名探偵と同名……ではなく男版イケメンミスマープルと言った感じで、多分あの中で一番厄介なんじゃ無いかと言った具合のイケメンだ。
という具合に雑ではあるが攻略キャラの説明は以上になる訳だが、………こういう所だけ探偵要素があってもしょうもないだろうとういうのが俺と全プレイヤーの感想である。
「マジで、朝から騒がしいな……」
さっさとこの場から立ち去りたい気持ちを抑え、ある人物が来ているの確認しようと周囲を見回していると、目当ての人物を見つけることができた。
あの5人組が目立ちすぎて霞んでしまうが、その人物は男にしては何処か華奢で茶髪の一眼見ただけでは本当に男かと疑うほど可愛らしい見た目をしていた。そう、この人物こそこの乙女ゲームの主人公にして世界を救う名探偵シャーロック・ホームズの登場である。