目覚め
重いまぶたから、微かな光が入り込み目覚めを促される。出来ることならもう少しだけ瞼を閉じていたいと思いながらも仕事に行かなくては、という現代人の社畜根性に哀しみを覚えつつも自分のベット近くに置いた携帯を探ろうとした。
だが、なかなか見つからない為嫌々ながらもようやく瞼を開ける事にした。すると、目を開けた先の光景には自身の知らない風景が広がっていた。
「……あれ?……どこだここ?」
部屋の光景は自身の記憶から一番当てはまるものでも、昭和か大正の質素な一人部屋に類似している。
だが、妙な事にこの部屋対して安心感と畳の匂いに懐かしさを感じていた。
一瞬、誘拐されたのか?というありえない事を思いつつも情報を求めて部屋を出る事にした。
廊下を歩いているといい匂いが漂っているのを鼻腔で感じたためか、腹の虫が小さく無い音を鳴らした。匂いの元を辿ると居間らしき部屋に辿り着き、そこに朝食を囲っている二人の男女が見えた。
「あら、おはよう凪。朝ごはんの用意ならできてるわよ。」
女性から凪と呼ばれた対象は、目の前にいる知らない男性では無いと文脈からしてわかったため、自分に言っているのだと確信した。
すると、男性ほうからも自身の名前と思われる名を呼ばれた。
「凪、どうした?ボケっとして」
そう呼ばれた瞬間、頭に妙な痺れが走り出した。知らないはずの二人やこれまでに経験していたいはずの知識が濁流のように流れ込んできた。
「…うっ…………!!」
頭に痛みに顔を顰めつつも倒れそうになるのを堪えたのを見た両親は慌てて駆け寄ってくれた。
「大丈夫か凪?!」
「具合が悪いの?!」
そう言う両親に心配をかけまいと重い頭と身体のダルさに鞭を打ち、思い出した記憶を探る。
「…マジかよ」
多分、今の俺の顔色は蒼白となっているであろうが、二人にどうしても確認しなければならないことがある。
「悪いんだけど、……父さんたちに聞きたいことがあるんだけど?」
「…ああ、それはいいんだがどうした?ほんとに大丈夫か?」
両親は訝しげながらも質問に答えてくれた。
「俺の名前は、白河凪であってる?」
「ああ、そうだとも。母さんと一緒に付けた」
「……ありがとう。次に、ここは日本国で近暦19◯×年の九ノ月であってる?」
「ああ、間違いないが‥ほんとに大丈夫か?」
両親は本気で心配をしてくれているようで、これ以上質問を長引かせるのはまずいと思いこれで最後の質問にする事にした。
「えっと…、最後に今の世の中って大探偵時代で間違い無いよね」
俺の不安なこの言葉に対して、父さんははっきりとこう答えた。
「何を言っているんだ?、何でそんな当たり前な事を今更?」
「 」
この返答に思わず呆然としてしまった俺は、両親の心配をよそに思わず絶叫してしまった。
「ウソだーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?」
そう、今いるこの世界は俺が最後にやっていた乙女ゲームの世界、そのものであった。




