第95話 初めての船舶
「「うわぁっ……!!!!」」」」」」」
私達7人の口から洩れた感嘆の声と、何でも受け入れてくれると思える程の、広く青い海。
本当に、とけてしまいそうなほど底まで透き通った綺麗な海だ。……どうして起きたら船の上にいたのかはちょっと理解しがたいけど。
「空間転移魔法を使ったんでしょうね。空間転移は、空間と空間を繋げて一瞬で行き来する魔法ですよ」
「そうなの?」
流石のフィーアの説明でも、ちょっと信じられないなぁ。
前世では魔法自体なかったし、大人数を瞬間移動とかちょっとどころじゃなく信じられなくて……。
「あ、でも、瞬間移動とは違うよ」
私の心の声が聞こえたかのように、カイルが教えてくれる。
「違うの!?」
「瞬間移動は、古代魔法の一種だよ。現代で使える人といえば、神様くらいなものだろうね。瞬間移動は1瞬でどこへでもいけるけど、転移魔法は準備に1時間くらいはかかるし、使った魔力量によって行ける場所が制限されるんだ」
「アルファード、僕か説明する分がなくなったんだけど」
アルファードとカイルがじゃれ合ってる中にマルクスが飛び込んだけど、まぁ、ここは船の中だし。落ちたりしないから安心だね。
「ちょっと暑いね。窓開けてもいい?」
私は、みんなに許可をもらって窓に手をかける。
なんかこれ、攫われたマリーを助けに行ったときに似てるなぁ。
あのときは、寝間着のワンピースのまま空を飛んだんだよね。朝とは言え、見てた人もいるはずで……おもいだしたら恥ずかしくなってきた。
「……どうしたの?」
「だ、大丈夫!気にしないで、マイン」
ぼーっとして窓の前に突っ立ってたらしく、心配したマインが声をかけてくれた。
「っというか、さっきより暑くなってないですか?」
「だよね!?ルカ、早く開けてぇ」
「ごめん2人とも!分かった!」
急いで鍵を開け、人が入れそうなほど大きな窓を全開にする。これで少しはマシになったかな。
「っ!?何、あれ!」
マインの驚いたような焦ったような声に、みんなの方に向いていた足をくるりとひっくり返す。
マインが大声を出すなんて、よほどの緊急事態なはず……っ!?
「前より大きい……クラーケン!?」
前よりも硬そうなそれは、驚いて硬直した私達を置き去りに、窓から侵入してきた。そしてそれは──
「うわぁっ!?」
「カイル!?」
──じゃれ合いをやめて反撃しようとしていたカイルの腕を叩き落とし、その身体に巻き付いた。
「消え、た?」
フィーアが唖然としてそれを見つめ、呟く。
我に返った私は急いで結界を張るが、なんなくすり抜けてきたそれに巻き付かれ、為す術なくこの場から消え失せた。




