第86話 船の修理
「他にはお話ないんですか!?スイ様の!」
「え、エルル先生!?落ち着いてくださいっ!」
「深呼吸です!深呼吸!」
「ふふっ……ふっ……」
エルル先生は私の秘密(嘘)に興味を持って詰め寄ってきて。エルル先生をなだめるべく私とカイルが奮闘して、横でフィーアが笑いをこらえきれずに笑い。
そして、その2時間後。
「やっと終わったぁ!」
「これで全部だね。カイルが10艘も直してくれたおかげだよ」
「船は直りましたけど、計画が崩れてしまったでしょうね」
一緒に船を直していた村人が言うには、他にも壊れているものがあったらしい。
エンジンとして使われている風と水の魔石が壊れていたり、穴が空いている網や糸が切れている釣り竿があったり。
予備があるものや、村の人たちですぐに直せるものしかないみたいだけど、それでも準備に時間はかかるだろう。
「それじゃあ、わた……僕が!村長に聞いてきますね!」
「体験の準備?あぁ、大丈夫ですよ。1人、張り切ってるやつがいるので」
「張り切ってるやつ?」
「ええ。いつもはこんなにやる気出したりはしないんですけど、やっぱり同世代の可愛い女の子がいるときは、かっこいいところ見せたいんですかねぇ」
?どういうことだろ。
「じいちゃん、こっちは準備できたぞ。他にやることは……」
私が村の広場で村長と話していると、 10歳くらいの少年が村長に向かって駆けてきた。
えっと……昨日宿にいた気がするんだけど……。
「……ハイム?」
「えっ!?あっ、昨日のグランドール王国の学生さん!い、いたんですか!?も、申し訳ございません!」
なんで敬語なんだろう。そういえば昨日話したときもかしこまってたっけ。
いくら私がお客さんだからって、年下だし、そんなにかしこまらなくてもいいんだけど。
「お、王国の生徒さんがいらっしゃるとは思わず、申し訳ございません!」
少年がもう1度謝る。
……あ!学校の生徒には、貴族も多いからか!
誰が貴族か分からないのに失礼があったらいけないから、こんなにも丁寧にしてるのか。
「僕は貴族ではありません。そんなにかしこまらないでください」
嘘は言っていない。前にも同じようなことがあった気がするが、王族は貴族ではないのだ。
「そ、そうですか……でも、話に割り込んでしまってごめんなさい」
「いえ。こちらに問題はないので。
それより、あなたも準備のお手伝いをしてくれたんですか?私たちのために、ありがとうございます!」
「い、いえ!こちらこそ、こちらの不都合で手伝わせてしまい、申し訳ございません!」
は、ハイム、謝りすぎ……!




