第8話 王城のお風呂です
ということで、この世界に来て初めてのお風呂!マリーと一緒に入っています。
マリーは、スイ様と同じ湯船に浸かることなど出来ません、とか言って身体を洗うだけ。私はマリーに身体を洗ってもらったあと、湯船に浸かっております。
「あぁぁぁぁぁ!!いきかえりゅっ!」
あぁ、これ、マジね。うちのお母様、訓練(という名の地獄の特訓)してきたからね。本当に、指1本すら動かない状態だった。
……お姉様達は助ける気がなかったし。マリーは助けられない、とか言ってたし。
──ガタン
私は突然思考を遮られて驚くが、それよりもマリーだ。脱衣所の方に歩いていっていたマリーの方向から音がしていた。
「マリーっ!だいじょうびゅ!?」
「は、はい。大丈夫です。スイ様はご無事ですか?」
「うん!マリーがふじでよかったぁぁ。すぐにあがって、おかーしゃまにほーこくしよう」
「そ、そうですね。行きましょう」
お母様に報告しに行ったあと、マリーにお姫様抱っこされた私は部屋に着く前に眠ってしまった。
……やっぱり子供の体と美少女のお姫様抱っこは最強だよね?私の精神論じゃないし?ま、おやすみ。
【マリー・ペレンタ】
私の仕事はスイ様の護衛とメイドです。護衛はアスカも一緒ですが、専属のメイドは私だけです。
これはとても誇らしいことなんですよ?スイ様の寝顔が見られるメイドや護衛という仕事は、立候補した人もたくさんいたのです。まぁ、結局はナシュア女王陛下が能力の高い、私とアスカを選んだのですが。
今日、お風呂のあと女王陛下に報告しに行った帰りに、私の腕の中で眠ってしまったときはとても可愛らしかったです。美少女のお姫様抱っこは最強だよね、とか呟いていらっしゃいましたが、スイ様のほうが断然美少女です。……まだ、美幼女ですかね。
そんなことを考えていたとき、アスカが目の前に来ました。
「マリー、女王陛下がお呼びです」
「ありがとうございます、アスカ」
やはり先程のお風呂での件でしょうね。だってあの物音は……考えるのはやめておきましょう。気分が落ち込みます。
女王陛下の部屋に着いてノックをすると、入りなさい、と凛とした声が聞こえます。
「マリー、あなたなら気づいていると思いますが、先程のお風呂での物音はアスカが戦っていた音です。相手は魔法を使って逃げたそうですが、その魔法使いが狙っていたのはあなただと思われます。気を付けて生活しなさい」
「了解しました、女王陛下。スイ様に危害が及ばないよう、いつも以上に心がけます」
「よろしい。スイを頼むわ」
「はっ」
あまり入ることのない部屋で少し緊張しました。しかし、スイ様の寝顔を至近距離で見られたのです。このくらいのこと、なんてことありません。
さて、明日のためにも、早めに寝ることにしましょう。
お読みいただきありがとうございます。今回はマリー目線でも書いてみました。短かったですが、面白かったら教えてくれると嬉しいです。