第72話 許可獲得への旅
エルル先生から説明を受けた日、許可をもらうために家に帰ることが許された。
王都以外から来ている子は平民と偽っているフィーアだけなので、この3日じゃ許可がもらえない、なんてことはないらしい。
「お母様にお話したいことがあるんですけど、3日以内に予定を開けてもらうことってできますか?」
「3日ですと……少し難しいかもしれませんな。なんたってナシュア様は、この国の女王様ですからなぁ」
「分かりました。お父様にお話してきますね」
お母様の執事との廊下での会話を終え、お父様の部屋に向かおうとしたとき、私の肩に誰かの手が置かれた。
いや、分かってるんだけどさ、誰の手かなんて。だって常時発動させてるし、【魔力探索】。でも、絶対に仕事抜け出してきてるやつだから振り向きたくない…………。
「お、母様……」
「あら。どうかしたの、スイ?私に話があるのでしょう?」
第4王女からの話ごときで、女王様が勝手に仕事抜け出してきちゃダメなんだって!!
そう叫びたい気持ちを一生懸命抑えて、いつも通りに答える。
「いえ。忙しいようですので、お父様にお話しに行こうかと……」
ガシッ。
力強っ。30代の女性に片手で肩掴まれてるだけなのに、全然抜け出せないんだけど。
「全然、忙しくなんてないわ。話してみなさい?」
「い、いえ!今は──」
「話してみなさい?」
「……はい」
お父様の許可をもらいに行こうと思いなおしたけど、まぁ良いか。
エルル先生がしてくれた説明と、カイルとフィーアの分の許可と持ち物も用意してもらいたいことを伝える。
一応寮には家具があるけど、殆どが私とフィーアのもの。カイルは1人だけ男の子だから、同じ家具使うのには抵抗があるかもしれないしね。
「分かったわ。フィーアとカイルの分の、許可を出せば良いのね?」
「ありがとうございます!では、サインはお父様にいただいて来ますね」
「えぇ、カイルにお金を預けておくから、家具や着替えを買ってきたら良いわ」
「はい!」
この世界に来てから、自分で服を選んだり出来なかったからね。1人での外出なんて流石にさせてもらえないし。
マリーとアスカに護衛としてついて来てもらえるか聞くと、2人とも当然といった感じで冒険者ギルドに出かけていった。
私の分は断ってきてねー?
ちなみに、ちゃんとお母様の許可はもらっている。そのことも同時に話したら、即答したんだよねぇ。




