第6話 王城で会議です
マリーに言われたとおりに、1度自分の部屋に戻ることにした私は、今マリーにお姫様抱っこをされています。なんでだ。
マリーの綺麗な顔が目の前にあります。眼福です。
良いね、これ。疲れが一瞬で取れた。また今度、運んでくれることがあったら、お姫様抱っこで運んでもらおう。今は幼女だから良いよね?
部屋についたので、マリーの腕の中からベッドにダイブする。
今日は色々あったなぁ。まだ昼ご飯すら食べてないのに、疲れちゃった。これから、この国の重鎮が王城で会議をするんだって。私の誕生日パーティー、大事になっちゃったなぁ。
でも1番気になったのは、私が、"また"捨てられるかも、って思ったこと。"また"はおかしい。私は前世でも現世でも捨てられたことなんてない。前世の両親や友達もみんな優しかったし、捨てられた、なんて考えたことがない。
………………考えても仕方がないかな。どうせ答えが出ないなら、考えないほうが時間を使わなくて済む。
「失礼します、スイ様。メイドのアスカと申します。会議でスイ様の魔力測定の件について話し合っていましたところ、スイ様のご意見が聞きたいということになりました。談話室まで来ていただけますか」
そうか、私の意見を尊重してくれようとしているんだ。やっぱりとても優しい人達だ。
「しゅぐにいきましゅね」
答えた私は、すぐに談話室に向かう。
会議室もあるのだが、たくさんの人が入れるように広くなっているので、少人数で話すときは談話室のほうが良い。やっぱり、無駄に広いと緊張するもんね。
「しつれーしましゅ。おまたしぇして、もーしわけごじゃいませしぇん」
「そういうのは良いわ。それに、アリス達も呼んでいるから、まだ少し待つわよ」
少しして3人のお姉様達が部屋に入ってきた。
パーティーの前、アリスお姉様が私の部屋に来たときに、スイの部屋に行くときは一緒に連れて行ってくださいと言いましたよね、と言っていたステアお姉様とジェニお姉様も一緒だ。やっぱり妹は姉が大好きだよね。
「それでは改めまして、当事者である、スイの意見を聞きたいと思います。スイ、あなたは魔力測定の結果を公表する気はありますか」
「わたしは……どちらでもいーでしゅ。おうじょくは、たみのためにせーじをするもにょ。たみのいにょちにかかわりゅことにゃら、しょちりゃをゆーしぇんしてくだしゃい」
「あなたがどちらを選ぼうと、民の命が失われるようなことはありません。あなたが選びなさい」
そんなことがあるわけないのに。やっぱり皆優しいなぁ。
「そんにゃこと、にゃいでしゅよね?おうじょくが舐められたらこのくにはおわりでしゅ」
私がそう答えると、次に発言したのは宰相のゴードンさんだった。
「舐められる?なんのことですか?」
「だいよんおうじょとはいえ、いちおうおうじょくのわたしが、まりょくもちじゃないにゃんてことがしりゃれたら、なめりゃれちゃうでしょ?」
「え?スイ様が魔力持ちじゃない?何をおっしゃいますか。スイ様は魔力が限界突破したではありませんか。」
「え?しょ、しょれでも、てきしぇいがにゃかったのでしょう?」
そうだ、そうだよ。
魔法があるこの世界では、魔力の適性の数で身分を決める国もある。このグランドール王国も、その中の1つだ。
3つ以上の適性があって初めて、王族だと認められるのだ。2つの適性しかないと、生まれた瞬間に貴族に落とされることもある。まぁ、光や雷、空間は珍しいから、2つ分とするらしいけど。
「てきしぇいがみっついじょーないと、おうじょくにはにゃれにゃいでしょ?」
「え?スイ様は完性でしたよね?問題は……ないのではないでしょうか。」
「え?」
「え?」
「「えぇぇぇぇぇぇ!?」」