第46話 黒竜の焦り
「お母様!カイルは悪くないから!だからっ!……?」
押さえつけようとしてくる皆を魔法で拘束して、叫びながら部屋に入ると、何故かカイルとお母様が机を挟んで話し合っていた。
2人ともすぐに気付いたようで、お母様はこっちをちらっと見るだけ、カイルは凝視。
手前側にいたカイルの隣に駆け寄ると、カイルが反対側を向いて顔を隠した。
「っ!?お母様!?カイルになにかした!?」
「っ!んふっ、ふっ。ケホッ、ケホケホ」
私は、カイルを守るようにして叫ぶ。
お母様、絶対笑ってるよね!?
お母様は当てにならないと判断した私は、カイルの両肩を掴んで揺らす。
「カイルっ!?お母様になにかされたっ!?」
「な、にもっ!されて、ない、からっ!!」
カイルがそう答えるけど、それはない、と質問を続ける。
「っ!?ねぇカイル!?大丈夫っ!?」
肩を掴んでいた手がふっと軽くなって、疑問に思って動きを止めると、カイルが後ろに倒れた。
「ふぇっ!?倒れっ!?………………熱ッ!?」
慌てて支えられるように横抱きにして、手を当てたカイルの真っ赤な顔は、信じられないほど熱かった。
《カイル》
「お母様!カイルは悪くないから!だからっ!……?」
数分後、僕と同じくらいの少女になっているスイが、叫びながら部屋に飛び込んできた。
話し合っている僕たちを見つけ、すぐに怪訝そうな顔をして、机の近くまで駆け寄る。
ドアは僕の後ろ斜め左の方向にあったので、ちょうど僕の左側に、スイが走ってきた形だ。少しでも動いたら、身体が触れてしまいそうな距離にいる。
「──ッ!?」
(なんっ、でっ、入ってきてるの!?顔が、普通より熱くっ……さっきの話のせいっ!?ほんとに僕、スイのこと好き、なの?)
僕は、一瞬ドアの方を向いた頭を勢いよく右に振って戻す。同時に左手で徐々に熱くなってくる顔を隠すと、スイが僕の胸あたりに手を回して叫んだ。
「──ッ!?」
「お母様!?カイルに何かしたっ!?」
「っ!んふっ、ふっ。ケホッ、ケホケホ」
(こ、れはっ!?ヤバっ!?)
僕の顔が、さっきの倍以上赤くなったのに驚いたのか、スイが僕の両肩をつかんで思いっきり揺らす。
「カイル!?お母様になにかされたっ!?」
(っ!!スイの顔、見れ、ないっ!)
「な、にもっ!されて、ない、からっ!!」
「っ!?ねぇカイル!?大丈夫っ!?」
僕が絞り出すようにして声を出すと、スイがもっと強く揺らしてきた。スイが伸ばした手を戻すたび、顔が近づく。
(ちょっ、もう無理っ!!あの女王余計なことしてっ!)
「ふぇっ!?倒れっ!?…………熱ッ!?」
倒れかけた僕を抱きかかえるスイ。美少女の顔が目の前に見えた瞬間、微かに残っていた僕の意識が飛んだ。
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