最後の知らせ
朝の眩しい日差しが差し込み、紫外線ブザーが彼にカーテンを閉めるよう促した。
そうして静かになったのも束の間、玄関の方からドアを叩く音がした。
「誰だよ、インターホンぐらい鳴らせよ。」
彼はそうつぶやきつつも、誰が来たか既にわかっていた。
ドアを開けたその瞬間、外の濁った空気が一気に部屋の隅々まで入り込んだ。ガスマスクを着けたばかりの彼は本能的に息を止め、目を閉じた。再び目を開けると、玄関の前にはロボットが立っていた。
「何回目だよ?」
彼は小さい声でつぶやいた。しかし、そのロボットは聞こえていなかったかのように、機械的な声でこう告げた。
「酸素ノ提供ハ一週間後ニ停止シマス。期限マデニ地球カラ離レテクダサイ。」
「とうとう追い出しに来たか……。」
この日がこんなに早く来るとは思っていなかった。
相手は何も反応せず、その場を去っていった。ロボットはただの伝言装置で、感情を持たない存在だ。
「昔なら、こんな態度、クレームもんだぞ!」
彼は不満を漏らしながらドアを閉めた。空気清浄機が作動し、ランプが緑になるのを待って、彼はマスクを外した。もしこれと酸素製造機がなければ、外の空気は数秒で彼の命を奪ってしまうだろう。
空気清浄機が止まり、部屋は恐ろしいほど静かになった。その静けさを紛らわすために、彼は荷造りを始めた。どうせもう、ほかにやることはないのだ。
「こんな時、誰かに手伝ってもらえたらな……でもあの鉄クズどもが手伝いに来るわけがないか。」
期限まで残り一日。夕日に照らされながら、彼は最後の荷物を宇宙船に運び込んだ。西に沈む夕日を舷窓から見つめる。おそらくこれが、彼にとって最後の日の入りだ。
太陽が地平線に沈み、夜が静かに訪れた。
宇宙船のライトが船内を白昼のように照らし、その光が外の闇を二分していた。まるで灯台のように、荒野の中で一人ぼっちで立っているかのように。
静かな宇宙船の中で、彼は退屈のあまり天井を見つめながら、過去を思い返した。友達と遊んだ子供時代の楽しい思い出から、最後に一人になった時まで。毎日やって来ていたあのロボットでさえ、少し恋しく感じた。あのロボットと会話を交わしたことは一度もなかったのに。しかし、その想いは、これから訪れるさらなる孤独への不安を一層強めただけだった。
翌日の夜明け前、彼は舷窓のそばに立ち、最後の日の出を見送るため、その時を待った。太陽が昇るにつれ、宇宙船は無限の宇宙へ飛び出していった。
彼は、地球でのすべての記憶が、地球とともに加速して遠ざかっていくのを感じた。やがて何も見えなくなり、何も感じなくなった。
彼は地球の方向へ向かって、心の中で語りかけた。
「さよなら、地球。」