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映画館の光は

「人生は映画のようなもの」と誰かが言っていた。


パチパチパチ

お供え用のポップコーン豆が弾けると、祖母はカップに入れ映画館に向かう。私も浴衣に着替え、後に続く。

老舗劇場が次々と無くなっていると聞くが、この町も例外ではない。

今夜は閉館した映画館を流す”劇場流し”。だが灯籠流しと違い、日が暮れ行事が始まっても川面は真っ暗。

それでも目を瞑れば館内の情景がありありと浮かぶ。

映写機がスクリーンに投影する名画の数々…客席には私のよく知る人の姿だって…。


パチパチパチ

河口に先回りして線香花火をしながら待つ。そろそろ来るかな。


パチパチパチパチパチパチパチパチ!


聞こえてきたのは終映後のスタンディングオベーション!一際大きなのは多分祖父のだろう。大好きだったチャンバラでも上映されてたのか。


花火のあかりで橋下を過ぎる姿が薄っすらと見える。

どのくらいで向こうに着くのか知らないけど、きっとオールナイト上映だ。観客だって退屈はしないだろう。


ふと上流の方を振り返ると、川面に白く光る横書きの文字が、次々と河口へと流れてくるのが見えた。

「人生は川の流れのようなもの」と誰かが言っていた。

私は、灯籠で組まれた文字のエンドロールを見届けたあと、祖母のもとへ向かった。

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