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異世界依頼人〜何万もの前世の能力で無双する〜  作者: 最大値
第1章 アビスロック編
9/12

第7話 「赤竜討伐」



 俺達は赤竜が出現した森に向かって出発した。

 冒険者ギルドから森までは歩いて数時間かかる。

 俺は歩くのが面倒だったので浮遊魔法で森まで行こうとしたのだが他の三人に止められた。

 他の三人は魔法が使えないそうだ。

 今この世界で魔法を使える者はほとんど残っていないそうだ。

 俺がマシューの時は大魔法時代などと言われていたのだが時の流れは残酷なものだ。

 俺は仕方なく歩いてい森まで行くことにした。

 

 俺達は街の中心部を通り過ぎ、多くの店が並ぶ大通りを抜け、貴族達が住んでいる城の下の浄花町を通り過ぎた。


 真南にある森に向かって歩き続けた。

 

 歩き続けると街の賑やかなところを過ぎ去るとだんだん人の数が減ってきた。森に近づいてきたのだろう。

 周りにも樹木や植物の数が多くなってきた。地面も舗装された地面ではなくなり地肌が出ていた。

 

 「もうすぐ森に入ります!」


 ルークがそう言う前から森に入っていた気がするが地図的にはここら辺からが森の敷地なのだろう。

 俺達は森に入っていった。

 赤竜がいるという洞窟は森の奥の方なので歩いていたら到着するのは明日になりそうだな。

 

 「この森には魔物が多くいるので気を抜かないでくださいね。」


 「「「了解。」」」


 ルークの忠告に返事をした。

 それからも俺達は黙々と森の洞窟を目指して歩いた。

 前から順にルーク、クウガ、俺、ミカの順に歩いていたのだがミカの表情が森の奥に進むに連れて暗くなっていた。

 

 「どうしたんだ?ミカ。調子が悪いのか?」


 俺も一応討伐メンバーの一員なので、メンバーの異変には気を使う。


 「調子は悪くないよ。むしろいつもより良いくらい。でもさ…」


 「でも何だよ。」


 「魔物が一匹も出ないじゃん!!この森っていっぱい魔物いるんじゃないの!?」


 ミカが魔物が出ないと子供ように駄駄をこねだした。

 出ないなら出ない方が楽で良くないか?


 「確かにいつもならもう何回か魔物と遭遇していてもおかしくない。」

  

 「確かにそうですね。」


 クウガとルークも異変を感じているようだった。

 まぁ、いつも魔物が出るところに魔物が出なかったら異変も感じるだろう。

 

 「早く魔物と戦いたい〜!魔物を私の短剣でズバズバ切りつけたい〜!!」


 ミカは戦闘狂なのか?ていうかミカってこんなキャラなのか?

 魔物の代わりに短剣で切りつけられたくはないからミカからは離れていよう。


 「流星さんすいませんミカはこんな奴なんですよ。そっとしといて上げてください」


 ミカは顔とスタイルは良いのにもったいないな。こんなサドな正確な奴には誰も近寄り難いだろう。

  

 それから暫く歩いていった。

 森の奥の方に入っていって後ろを向いても街は見えなくなった。

 このペースなら早く赤竜ないる洞窟に着きそうだ。

 でも森に魔物が出ないなんてことが運の良いことが本当にあるのか?

 そう考えている時だった。


 「ガサッガサガサッ」


 周りから草をかき分ける音がした。俺は索敵魔法で音の原因を調べた。この音は魔物が俺達に近づいて来ている音だろう。それも一匹や二匹ではない。何十匹もいる。周りは背が高い草に囲まれていたので遠くの様子を確認できていなかった。

 

 「止まれ!魔物が接近している。戦闘準備に入れ!」


 「魔物なんてどこにもいないぞ」


 そうか、三人は魔法を使えない。だから索敵魔法で魔物の位置を確認することも出来ない。


 「俺が索敵魔法で魔物を感知した。正確な数は二十八匹だ。周りに沢山いる。」


 「わ…分かった。魔法のことはよく分からんが流星の言うことなら信じるぜ!」

 

 俺達は魔物を迎え討つ為にそれぞれ武器を構える。

 

 草陰から魔物が一斉に飛び出してきた。


 「!」


 クウガは大剣を魔物にぶつけて斬りつける。

 一気に数体の魔物の身体が二つに離される。


 隙を見てクウガに襲いかかってきた魔物をルークが弓で撃った。

 弓の腕前は見事なもので打った矢は全て魔物の頭部に命中した。

 ミカの方を見る。

 魔物に囲まれている。

 両手に短剣を持ち高く跳び空中で回転しながら魔物を斬りつける。

 短剣の為、魔物には深い傷を与えていない。

 だが暫くすると魔物が倒れた。

 

 「毒を塗りたくった剣で魔物斬りつけるの気持ちいぃぃぃい!!」


 ミカの短剣には毒が塗られていた。即効性の毒だろう。

 

 俺は索敵魔法を発動する。

 残りの魔物は十五匹のようだ。

 

 俺は索敵魔法で感知した魔物の位置に魔弾を撃ちつける。

 十匹の魔物の身体が魔弾に当たり吹き飛ぶ。

 

 魔弾を避けた魔物達も恐怖を覚え逃げていく。


 土魔法。

 逃げた魔物達の進行方向に土魔法で土の壁を作る。

 逃げる魔物達は突然現れた壁に驚き動きを止める。

 そこに俺は再び魔弾を撃ちつける。


 索敵魔法。

 今ので全部だったようだ。

 逃げた魔物もいない。


 俺は息を吐いた。

 

 「すげぇよ流星!一人で十匹以上倒したじゃん!」


 「褒めるほどでもない。」 

 

 褒めてくれるのはありがたいがそれよりさっきから魔物の死体を見てハァハァ言ってるミカが気になる。

 

 俺がルークの方を見るとルークはやれやれという顔としてミカを魔物の傍から引き離した。


 「すいません。ミカは魔物の死体を見ると発情するんです。安心して下さい。人間の死体では発情しませんから。」

 

 いや、魔物の死体で発情してるのも普通にヤバい奴だよ。

 



 その後も何度か魔物の群れに遭遇した。

 どれもすぐに片付いたが。


 日が落ちた。

 俺達は小さな洞窟を見つけたのでそこで野宿をすることにした。

 洞窟の中で夕飯を食べたら俺達は交代で見張りをしながら明日に備えて眠った。


 

 次の日。

 俺達は起きるとすぐに赤竜のいる洞窟に向かった。

 二時間くらい歩くと目的の洞窟に着いた。


 中は大空洞になっていた。

 街に住んでいる貴族の城が入る程の大きさだ。

 俺は魔眼があるから大丈夫だが、他の三人の視界が暗くなることが心配だったが洞窟の天井に大きな穴が沢山あり、そこから光が入ってくる。


 薄暗い大空洞の中を歩き進める。

 急に異様に鳥肌が立った。


 「止まれ。」

 

 俺は静かにそう言うと一人で少し歩き進める。

 

 赤竜が眠っていた。


 山のように大きい。


 俺は赤竜を起こさないように三人の所に戻る。

 

 「少し先に赤竜が眠っている。覚悟はいいか?」


 「当たり前だ。」

 

 「大丈夫です。」


 「ゾクゾクする〜。」


 「赤竜と戦うアドバイスとして一つだけ言っておく。他人のことは考えるな。自分のことだけ考えていろ。三人のサポートは俺がする。」


 「「「了解!」」」



 俺達は赤竜の目の前まで行った。

 赤竜が分厚い目蓋を開けて起き上がる。

 赤竜が口を開ける。

 口の奥に金色の光がー


 「避けろ!!」


 間一髪俺達は赤竜の攻撃を避ける。

 さっきまでいた場所は赤竜の火炎ブレスによって消し去った。

 

 「このまま攻撃開始だあああああ!!」


 俺以外の三人がそれぞれ赤竜に攻撃しにいく。

 クウガが大剣が赤竜の右脚を斬りつける。

 しかし赤竜の硬い皮膚は大剣を通さない。

 

 ルークが弓を赤竜の頭部に撃ちつける。

 弓も赤竜の硬い皮膚が攻撃を通さない。


 ミカは二人の様子を見ていたのか、赤竜の硬い皮膚は攻撃せず眼を狙って短剣を投げつける。

 見事眼に命中した短剣は赤竜の眼を傷つける。

 

 「グアア!」


 赤竜がうめき声を上げる。


 赤竜がミカを目掛けて巨大の動きとは思えない速さで突進してくる。

 俺が魔弾を連続で撃ちつける。


 魔弾は皮膚を通るようで赤竜がまたうめき声を上げる。


 赤竜は長い尻尾を振り回しルークを身体に巻き付き捕らえる。

 

 「お前たちは我に何の用がある?てきとうに応えたらこの男を絞め殺す!!!」


 赤竜が初めて喋る。

 

 「お前にここから出ていってほしいんだ。その交渉をする為にここに来た。」


 「ふざけるな!」


 赤竜はルークの身体を絞める。

 

 「あ…た…助け…て…」


 ルークが助けを求める。

 

 「赤竜。一つ提案があるのだが。俺と一対一の一騎打ちでお前が勝ったら俺達はもうお前の住処に近寄らない。でも俺が勝ったら今すぐにここから出てもらう。」


 「…分かった。いいだろう。」


 赤竜がルークを離す。間に合ったようだ。

 ルークが死なずに住んで良かった。


 「じゃあ開始だ!」


 本気でいかせてもらう。  


 予知の魔眼。

 

 俺は魔眼で赤竜の数秒先の動きを見る。

 赤竜の攻撃を避ける。

 火炎も突進も尻尾での攻撃も。


 俺は素早く浮遊魔法で赤竜の周りを飛びながら魔力を高密度にした魔弾を撃ち続ける。


 赤竜がうめき声を上げながら火炎を連射してくる。

 

 俺は赤竜の口を目掛けて魔弾を撃つ。

 赤竜の口に魔弾が入り大爆発した。

 

 やがて赤竜の巨体は地面に倒れた。

 かすれた呼吸音が大空洞に響く。


 「わ……我の…負だ。せめて…一息に殺してくれ。」


 「無理だ。」

  

 「な…んで…」

 

 「回復魔法。」


 俺が回復魔法をかけると赤竜の傷が癒えていきやがて傷一つ無くなった。

 赤竜は自分の身体の状態を見て驚いている。


 「なんで、我を生かす?」


 「一騎打ちで俺が勝った場合お前がここから出ていくのが条件だったからな。死んでもらっては困る。」


 「フフフ。面白い奴だな。」


 「じゃあ俺達はもう行くからお前もここから出て行けよ〜。」

 

 俺は赤竜を背にして歩きだす。


 「ちょっと待ってくれ!」


 赤竜が俺を呼び止める。


 「とても不愉快に思うかもしれないが、一つ頼みを聞いてくれないか?」


 「いいぞ。」


 「本当か!?それなら我を配下にしてくれ!」


 「別にいいがその大きさではちょっとな。」


 「それもそうだな…では……」


 「!」


 赤竜の身体が急速に縮まる。

 そして形が変形する。

 

 さっきまで赤竜だったそれは少女になっていた。

 そして少女は裸だった。


 俺は素早く土魔法で毛布を作り少女に被せた。


 「お…お前、赤竜だよな?」

 

 「そうだ。好きに呼んでくれ。」


 赤竜は人にもなれるのか。言葉を話せるだけじゃなかったのか。


 「じゃあ…アリスだ。お前の名前はアリスだ。」


 「我の名前はアリス。気に入った!」


 「俺は流星だ。それとあのハゲがクウガ、アリスがさっき絞めつけたのがルーク、アリスの眼に短剣を投げつけたのがミカだ。」


 アリスに俺達の自己紹介をした。

 

 「ルーク殿。さっきはすまなかった。」


 「いいですよ。今生きているんですから。」


 ルークはなんて優しい奴なんだ。心配になるほど優しい。

 まるで聖人だ。


 俺は喋っている間に土魔法でアリスの服を作った。


 「アリス。これを着ろ。」


 アリスが土魔法で作った服を着る。


 「これが人間が付けているものか。新鮮でいいなあ。」


 気に入ってくれたようで何よりだ。


 「では、流星殿。これから配下として仕えさせてもらうアリスだ。よろしく頼む。」


 「ああ。よろしくアリス。」


 竜人のアリスが俺の配下になった。






第7話読んで下さりありがとうございます!

戦闘シーンは書くのが難しいです(泣)

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