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5.未界踏破



 地上部隊の方は。東雲さんと月曲九段の方は「八幡正銘」を取りのがしたらしい。

 というか彼女らの把握していた拠点はすでに中継地でしかなく、どこか外国からアクセスしてきていて国内からは追いようがなかったそうだ。おそらく外国の企業に≪アークノア≫を売り込んで開発を続けているんだろう、とのこと。

 ……やり方さえ間違わなければ、「失敗してもやり直すことのできる二度目の人生」ってのは魅力的だと思うし、価値があると思う。現実よりも美しいくらいだったあの天国みたいな景色はすごかった。ぜひとも真っ当な方法で開発を進めて欲しいところ。

 俺が今回に限って取得した特殊スキルの数々はあえなく没収となった。

 ちょっと名残惜しさはあったがやっぱり自力で獲得してないスキルや武器を使うのは気持ち悪さがあったからこれでいいんだと思う。

 平和になったDDに少しずつプレイヤー達が帰ってきて俺たちは通常のプレイを取り戻す。

 それから、先輩が三段になった。

「まああたしの実力からすれば当然ね」

 本人は大威張りだったが、女流玉竜戦でフルセットの末に敗れている先輩はたぶん三段リーグでやっていけるか不安に思っているはずだ。さりげなくサポートできたらうれしいなと思う。

 それからあと一つ変わったことは、俺が闘技場のランキングから落ちた。

 というか落ちていた。そりゃ一か月の寝たままだったからそうなるか。

さて。

 DDにログインすると待ち合わせたゴルゴーンがなんか泣きそうな顔をしていた。

「おっす。おひさ――」

 片手あげて挨拶しようとしたら、急に抱き着かれた。

「よかった。いなくなっちゃったのかと」

 ゴルゴーンは涙声で言う。ハチノス達を経由して俺の状況は聞いていて、心配してたらしい。どうでもいいけど長身の女のアバターで抱き着かれるとちょっと照れる。中身が男子小学生(中学生かも?)ってわかっていても。

 クスノキさんがぺこんと杖で俺の頭を叩く。

 ハイドが背中を刀で突いた。

「心配かけた罰です」

「なんか言ってからいなくなれ」

 とのこと。

 ハッチはDDをやめてしまった。「また同じようなことが起こらないとは限らないから」といって。リスクマネジメントがきっちりしてるあいつらしい。アザミがむっつりした顔で俺を睨んでる。

「あたしにやるなって言っておいて自分はジンちゃん助けにいったんだって?」

「あー……そのー……不可抗力で……」

「あたしも究極龍狩りたかった」

 いや、『狂乱狩人』はあのパーティ戦闘入る余地なかったから……、まで考えて究極龍の巨体ならば『サウザンド・ストーム』がフルヒットと言わずとも相当なダメージを叩き出せるのではないかと思い至る。ああ、先輩が「アザミは参加しないのか?」って訊いてきたのはそういうことだったのか。アタッカー役が比留間さんじゃなくて、アザミの『サウザンド・ストーム』でもいけるんじゃないかと踏んでたんだろう。

「そんじゃ、一狩りいこうか」

「れでぃごー」

 アザミが拳を突き上げた。


 なぁ、ショウメイさん。

 あんたのやろうとしてることの意義はわかんなくもないけど、いまの世界だってそんな捨てたもんじゃないぜ、と俺は独り言ちた。


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