64.遠足日和(悪霊浮遊中)
タァフ島はエンデリル鉱山に集まりし精鋭たちは、現在、鉱山地下組と鉱山地上組、そして広場組に分かれて探索することになった。
なぜこの三手に分かれたかというと。
鉱山地下組=悪魔の輝石は言わずもがなの悪霊パワーアップ阻止。
時間経過で強くなる系ボスが待ち構えているかもしれないので、ここは戦力高めプレイヤーで固めてある。
鉱山地上組すなわち天使の輝石隊は、悪霊が嫌う天使の輝石を集めたら何かいいことがあるのではないかという期待から生まれた、別名:採掘部隊。
広場組は地下組と地上組が突入するための防波堤。なにせ敵対する悪霊部隊はどんどこ増えている現状であるからして。ここはレベルに高低差がある。悪霊自体は強くないため、高レベルで面倒見がいいタイプ数人が保護者として低レベルと共に戦う形。現地(NPC)冒険者も説得してここに配置。念のために回復層も適度に。やばいのが来ないとも限らないからね。その際は逃げることも言い含めてある。
それぞれ十数人~数十人体制。
エンデリル鉱山がインスタンスダンジョンかどうかわからないので、それぞれパーティとレイドは組んだ。
総指揮:ジン氏。参謀:ライハ。
話して聞かせ、さくっと拳で諫めて三部隊の編成を成し遂げた者たちである。
何故わたしとリカムが拳役として前に出されたのかはよくわからんがな。
「自覚はないみたいだが、君は人の心を折るのに適しているぞ」
「HAHAHA何を言っているのかな、リカムさんは」
人が大勢集まれば、意見の相違はどうしたって出る。その中には端から人の話を聞かない方も。それならそれで我道を行ってくれればいいのに、わざわざイチャモンや反抗をして邪魔してくるタイプもいらっしゃるのだよな。
「てめーらの指示なんか聞けねぇよバーカ」
そうですか。じゃあひたすらモブ退治がんばってください。
「んな、せこいことしてられるか! イベントを制するのは俺らだぜ!」
そんなら好きにまとめて好きに動け、しかしこっちの邪魔はするな。
こちらからのお願いを無視、こっちに賛同した人々のうち、高レベル者は自分陣営に入れろだの、それは無理なら自分らをトップにすればいいだの無茶ぶりの振りっ放し。
最終的に肉体言語でしか苦情を受け付けないとおっしゃるので、そのように対処してさしあげただけですよ。
ライハに対して暴言の過ぎた数名ほどが口から泡吹きつつ失禁した程度です。その後はみなさん大人しくなってくれたし☆
「君のはわりと拷問だった」
「それはむしろあなたの方だと思うんですが」
「どっちもだと思うぜ…」
仲間内であっても、時に意見の相違はあるものです。うん。
でもヒュー。わたしたちの間の異見はすり合わせようね後で。
…これが後に、掲示板で『痛覚無視の視覚的制裁』『拷問双璧』として語り継がれることになるとは、露ほども想像していなかったわたしたちである。
R15~18Gかもしれないので、詳細は省きます☆彡
「じゃ、リカムはライハをよろしくね」
「ああ」
うちのPTからはわたし、ヒュー、キィ、リィが鉱山地下組。ライハとその護衛でリカムが鉱山地上組。ライハが鍛冶がらみで採掘取ってるっていうからさ。
他、あるかわからないけど悪霊側の妨害を想定して、戦闘班として充分だろう数を鉱山地上組に組み入れてある。
「しかし俺が総指揮ってなぁ。ガラじゃねぇだろ」
何をおっしゃる総司令官殿。
「ニヒル笑いが似合うからいいと思うよ」
「人に従うとか無理そう」
「ラノベのやれやれ主人公っぽい」
「ふにゃかわ系ヒロインどこに置いてきたんだ」
「孤高を愛する現地妻ハーレムなんじゃね」
「なるほど」
「全面同意」
「てめーらなァ…」
いつの間にか数人集まった我が同志(名前覚えてない)、楽しくジン氏を弄るの巻。
我らラノベ愛好家群、真理を見通す目ありと自負しております。お目めにキラキラエフェクト追加。
「弄りはともかくとして、人数多くないっすか」
「レイド組んでんだし、後は好きにしろ。俺はそこまで面倒見ねぇよ」
「レイドボスっすかね~燃える展開っすね、司令官!」
「このままだと鉱山の地下でレイドってことになるぞ」
「今度こそ落盤からの全滅ルートっすかね~!」
なんでちょっと楽しそうなんだサイガ君は。
サイガ君もだけど、マキ・ミナキ・ラウラも鉱山地下組。戦闘力があることはわたしがわかってるから、推薦した。
「オレ、今からでもアンデッド特攻のために土魔法取ってきた方がいいかな~火より水氷と相性よさそうだし」
「今からじゃレベルが低くて使えないんじゃないかしら」
「土系は地味だが、レベルを上げることで範囲が広がって強力になるからな」
リカムの泥濘とかね。今やかなり広範囲を泥沼化していて、足止め効果は抜群よ。地面にいる種族ならね。
ちなみにこれ、土魔法だけど水を持っていると効果拡大がつく。だから水魔法レインも一緒に取ったらしいです。
どうも魔法はそれぞれに相互作用があるみたい。火と風が揃うと火の嵐ができる、みたいなのを含めて。
「それならマッキは光魔法にしたら~?」
「あのねーさいしょの魔法せんたくで適性つくっぽいよぉ~」
「ヒール選んだって言ってたよな~」
「適性あると、だめーじぼーなすがつきやすいって~」
「なるほ」
マキの最初の魔法はヒール。つまり光適性持ちダークエルフである、と。光と闇が合わさり以下略。
わたしは最初にドレインヒールを選んだな。ということは闇適性があるということか。
「闇…そして桜。陰のある色っぽいお姉さんの気配」
「あれ思い出した。おふくろのカラオケ十八番の夜桜お…」
「七…島ですね、わかります」
とりま伏字なし有名固有名詞はやめておこうね、ヒュー。著作権は切れてる(未来のお話です)けどさ。
「俺、おまえら指揮するの嫌だわ。個性の幅が広すぎンだろ」
わいわい遠足のごとくおしゃべりしながら地下探索。その後ろでぼやく総司令官の声。
ゲーマーなんて、個性豊かでなんぼだと思うの。




