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桜蛇お嬢は自由奔放、無手勝流!@Real ⇒ Fantasy Adventurers  作者: 酒色南肴
1 Creators did redesign another world.
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49.一から七の “ノ島の碑文に続く洞窟”

 さきほど発表がありましたよ。えぇ教会の公式発表です。


 南の森の奥深くにひっそりとあった洞窟。その洞窟の先に、碑文と共に安置された紋様があり、それがルケの補助陣である、と。

 さきほど洞窟の封印を解く呪文を司教様が唱え、解除が確認されたので、冒険者の方々すべてにギルドを通して依頼が出されたようです。

 伝書の記述では唯一の正しいルート以外では魔物が出るらしいのですが、正しいルートが不明瞭で…冒険者の方々にがんばってもらわねばならない、とのことですね。


 臨時特派員ナタリーさんからの情報でした。ありがとうございました~。


 南の森の不可視カーテンはイベント解除式だったのか。

 そりゃ誰が何やっても解放されないわけですわ。

 とりあえずひとつ言わせてもらいたのは。

 なぜそれをワールドアナウンスにしないのだ、運営よ。それぞれの島の補助陣の在処が判明しました~みたいなのを。


《七ノ島の碑文に続く洞窟はインスタンスダンジョンです》

《パーティ登録をお忘れなく》


 目的の洞窟を視認できるところに来たら注意喚起アナウンスはしてくれるっていうのにね。

 情報収集は自分でしてね、という意思表示ですか?

 求めよさらば与えられん的な。


 それはともかく『七ノ島の碑文に続く洞窟』が正式名称ですかね。『最初の洞窟』の時から思ってたけど、名は体を表すというかネタバレというか、わかりやすい命名法則があるようです。運営さんはその辺のロマンスは気にしない方向らしい。


 で、その七ノ島の(中略)洞窟に到着したわけですが。


 道中のモブの強さはそこそこ。東の森をとっくに卒業している初日組にとって、すでにメイン狩り場である。攻略(前のめり)組なんて物足りなくなってるかもね。

 ただし奥に行けば行くほど手応えマシマシなので、浅いところしか慣れていない人は簡単に死に戻れそう。出てくる敵は東と大差ない動物や昆虫ばかりなのだが、基礎ステが上がっている上、種族を超えた連携をしてくるのだ。

 蜂を相手取っていたら、蜘蛛の巣(けっこう頑丈。燃やさないといけない)に引っかかってそこの主が乱入してきたり、狼の群れとわっちゃーしてたら、視界の端で子猿数匹が地面に落ちてる矢を回収してたりな。回収された矢は小銭を渡すと返してくれます。再利用(リサイクル)できます。いや、え、商売? どっちの味方よアンタ。

 あれ、そういやこういうゲームで王道のゴブリンやオーク、コボルトなんかは敵でもNPCでもまだ見ないなぁ。PCならたまに見るんだけど。


「封鎖中はわからなかったけど、こうしてはっきり見ると、人工的な気がするね」


 森の奥、緑に覆われた崖を数メートル降りると現れる、浅い窪地。浅いと言っても、二階建ての家一軒分はあるので注意して下る。

 来た方とは反対側、街の方角から見て向かい側の崖にぽかりと穴が開いていて、その入り口は大人が腰を屈んで入るくらいの小ささ。以前は透明カーテンで覆われていたから洞窟と判断できたけど、何も無くなった今のこれが初めてだったら、動物の巣穴かな? で素通りしちゃうかも。

 そしてそれは、ライハの言う通り、手掘りっぽい跡があった。


「重機もなさげなファンタジー文明でよく掘れたね~やっぱ古代文明が先進的で廃れて云々?」

「ファンタジーってんなら、魔法でダイナマイト的なドーンしたんじゃね」

「ばくはつさせた感じはしないなぁ~」

「これ上が落ちてきたりしねぇっすかね。落盤みたいな?」

「ゲームでそれとか本気の罠すぎる」

「っスね。ところで赤い方のちびは何やってんだ?」

「情報収集でもしているのではないか?」


 赤い方のちび=キィ。


 周囲に数多いる、PCたち。そう、すべてイベントをこなしに来た精鋭(ゲーマー)たちである。

 大々的なアナウンスをしなかったのは、情報の伝達をバラけさせることで、混雑や余計なトラブルが起こるのを未然に回避するためだったんだろうか。

 ちらほらと増えるPCたちは自然と列を作って並んでいる。そんな七碑文洞窟(これでいいや)に入るべく順番を待っている彼らに、赤いサイドテールの見た目は少女がなぜかメモを片手に次々話しかけているのだ。

 君も我々の仲間(パテメン)だろう、落ち着いて一緒に並んでなさい。と、思うんだが。奴も情報屋の端くれ、思うところでもあるのかもしれん。


「アンケートにご協力くださ~い! 兎のクラスアップで、おっきーもふもふになるのと~リアル兎サイズのままと~掌サイズのちび兎になるのがあるんですけど、あなたはどれが好きですかぁ?」


 何訊いてんの。リィばりのぶりっ子までして。


「すみません、ウチのがご迷惑をおかけしました」

 回収。


「シュシュ姉、なにすんだよ」

「自分のことくらい自分で決めろや」


 しかしそうか、クラスアップか。…早いな?! わたしはまだ種族Lv8だ。どうもLv10で最初のクラスアップ候補が出てくるらしい。その後もゲーム中の行動によって、ランダムに候補は加わる。ただし☆1はLv20がMax。以降はどうやってもレベルが上がらないので、そこまで上がったらクラスアップせざるをえないようになっている。いや強制じゃないけどさ。種族でのステータスアップは頭打ちよ、ていう。


「シュシュ姉、クラスアップはレベルを上げればできる。さて、クラスダウンとクラスチェンジはどうやるでしょーか?」


 えー? そういや知らないな。

 公式にあったっけ?


「答えは謎に包まれている、だ」

 ヒューが珍しくまじめだ。

「仲間内でも掲示板でも、噂ですら、一切謎のまんま」


「正解~」


 ? つまり、どういうこと??

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