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桜蛇お嬢は自由奔放、無手勝流!@Real ⇒ Fantasy Adventurers  作者: 酒色南肴
4 This Play within That Play within Our Play.
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93.馬肉は桜と呼ばれますれば

「言いたいこと…釈明できることは、ありますか?」

「食材が武器すぎた」


 マイホームにて。イツメン+小白川組でヒューを囲んで…はいないが、歓談中。気持ち的には糾弾です。


 ヒュー、口を開いて曰く。噂通りに特殊バフ料理で☆5レベルになったらしきステータス+様々な食材を駆使しての多彩な攻撃・防御方法に敗れた、とのことである。


「この大舞台でヒューと戦うためにがんばってきたのに! ひどい! ぽっと出の料理人に下されるなんて!!」


「いや、ぽっと出じゃねぇだろ、明らか圧倒的戦力で勝ち上がって来てただろ」


 はい、ヒューの奴がわたしに当たる前に砕け散りました。お相手はちょくちょく耳に入っていた、バフ料理を開発したという料理人@ハラドゥ主であります。


 以前に述べた今後の試合予定の中で、さすがにないだろうとヒューvsバフ料理人対決を省いてたら、このザマだよ。


「ハラドゥの天然美少女フェイスにヤラれた説」

「会場の後方にはいたが。飯食ってメシ(フェイス)してただけだろ」

 試合を観戦してたから知ってる。言ってみたかっただけ。


「ダークホース~」

「バフ料理と食材のりよー」

「シナジー生んで火力スキルの威力アップ~」

「シナジー生んでぼーぎょスキルの効果アップ~」


 ステとスキルの入れ替えOKルールが、とんでもない化物を生み出したようだ。

 有名どころだと小麦粉なんかを使った粉塵爆発。攻撃に攪乱に煙幕にと大活躍。あれはたぶん、料理や食品を使うと威力アップ的な補正パッシブを持ってるな。


「まともに戦り合うのは、わたしでもナシかな」

「捕縛術をサラダ油で抜けられるとは思わなかった」

 渾身の捕縛が、ぬるっと抜けられてたね。


「そこはせめてオリーブ油にして、とは思ってた。なんか高級感で有用性を補完して欲しかった的な」

 使用法の本質は変わらんのだがな。


「玉ねぎのせいで目測(チャンス)を定め損ねたのも痛かったな」

「わざと砥いでない包丁を用意しておくとか、逆に料理のプロすぎててヤバい」

「目の前でみじん切りし出した時は何かと思ったが」


「玉ねぎの硫化アリルはVIT(体力)値で抵抗~」

「物理じょーたい(状態)いじょー(異常)扱い~」

 なるほどVIT値で(ゲーム的に)抵抗可能と。だから料理人本人に影響がなかったのか。メモメモ。


「ハラドゥちゃんが『粗みじんの玉ねぎもおいしい~』とか言ってて飯テロだった」

「あの切れ味の悪い包丁を使って、戦闘中にささっと美味しいチャーハン作れるとかマジ料理人」

 炊飯済みのお米はフリーザーバッグから出てきてました。戦闘力が53万ありそうです。

 他、焼豚やニンジンピーマンに卵などが入ったご家庭的な炒飯でした。食べたい。


『ハラドゥは…久方ぶりに目にしたところ、横に成長している気がするのだが…』

「健康体になってていいんじゃねぇのか? 死霊だが」

「幸せ太り、というものでしょうか」

「元がやせ過ぎだっただけだと思うよぉ? 敗走の中で死んだんでしょぉ」


 そういやそう。八大死霊の過去(生前)はわりと悲惨だった。


 試合で見たハラドゥちゃん、ふっくらツヤツヤで美少女感マシマシだったと思う。元の方はモデル体型かそれより細いかもくらいだったが。今はむしろ、オトコノコが好きな類のふくよかさになったと思われ。むっちり太腿とか、ちまっと摘まめる柔らか腹肉とか好きだろ? キミら。


「ふぅむ…死霊の姿を決定するメカニズムは、それぞれの個に左右される、ということなのか?」


「リアルで言うなら、そうだね。基本的には多方面の怨みを買った者が、死んで肉体を失うことで、肉体周りで澱んでいた怨みの念を、魂に直接浴びて悪霊化するから。ほとんどの場合は、容姿なんて自由に決められないよ」


 もらった怨みの種類で変わるとこもあるし、それに悪霊本人の気質でも変わってくるからね。肉体という、檻であり鎧でもあるそれを脱いだ先の実体は、はてさてどのような悪臭を放つものか、と。


「八大死霊も、怨みを買ってたのね」

 最初は悪霊ボスとして出てきたもんね。


『七島を訪れる前。大陸においてのことであろうな。悪漢どもに従いし愚昧なる大陸民を払い、身を守る必要があった。其れを以て、此の身を庇う心算はないがな』


 あー大昔の大陸では、ヒューマン族以外は迫害されてたもんね。でも、迫害してきた相手にも親類縁者はいる。迫害からの逃亡のためであっても、誰かの家族を傷つければ恨まれもする。しかし元を糺せば、信じて仕えた相手が悪かったやーつ。ま、だからって『愚昧なる(ノータリン)大陸民(当時)』に同情する気はないやね。


「その頃に負った怨みや本人たちの無念。それが悪霊(ボス)形態の時の、あの醜悪さだったわけね」


(われ)は今とさほど変わらぬであったろう。ラドゥナラカ王家の直系であり、また己の矜持を保っていた故でもある』

 うーんどうだっけ。よく覚えてマセン。


 こちらで悪霊話をして一段落すれば、あちらでのトーナメント戦雑感へと、なんとはなしに戻っていく。


「前回大会の優勝者が料理人に負けるとはな。大荒れしてるぞ」

「今回も運営ちゃん公認の賭博(トトカルチョ)はあるからね」


 ざわざわの中に響き渡る、悲喜交々の悲鳴であった。


「俺はヒューにも賭けてたんだけどねぇ」

 心底残念そうなライハに、ヒューが眉が八の字になったわけだが。


「ライハ。てめぇ、料理人の奴にも賭けて儲けてただろ」

「うん。ロワイヤルは全試合見てたから、彼はイケると思ったんだよね」


 当然のように新進気鋭の優勝候補に目を付けてやがった。

 もちろんシュシュにも賭けてるよ! と追加で言われたところで、発奮する材料にはならんぞ、おい。


「次の試合は、その料理人氏とわたしの対戦になるんですが」

「シュシュの方が倍率(オッズ)が低いからね。シュシュの方に多く賭けているよ」

 そりゃどーも、なのだろうか。


「両建てしてるだけだろ、兄貴」

「ですよねー」


 どっちが勝とうとも損が出ない賭け方をしてるんだろう。万馬券当てて大儲け! ではなく、堅実に勝ちを積み重ねてくヤツ。


「まあ、当然わたしもそうしてますが」

「自分の敵にも賭けてるのかよ」


 そりゃそう。勝負と実利(カネ)は別でありますぞ?

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