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桜蛇お嬢は自由奔放、無手勝流!@Real ⇒ Fantasy Adventurers  作者: 酒色南肴
4 This Play within That Play within Our Play.
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91.ゲームがハンデの戦闘民族

 スピード(AGI)重視のサイガ君。ソロでガンガン遊びまわる自由人。身体の動かし方が変わるのが嫌で、ステータスを弄らないことを選択している。以上は事前に仕入れてあるデータ。


「ステータスを調整している可能性も考慮して、プランBも考えてたのにね?」

「はぁぁぁぁ…オレ、ソロ仲間を複数相手にしても常勝なんすけど。お嬢の戦闘力ってどうなってるっす?」


 そりゃ北瀬家の護衛GBN(ギブン)として、幼少時より訓練鍛錬修練に明け暮れていましたが?


「格が違うのよ、格が」

「そのお嬢でも適わないのが連星の弟貴っすよね…」


 比悠(ヒュー)については、リアルではわたしがほぼ常勝なわけだがな。ゲームにおける戦闘センスは、比悠の方が上なのよねぇ。さすが比悠好き惚れ直す。


「今回の試合に関しては、あのお土産のマグロが鍵になってくれたわね」

「ええーなんかあったっすか?」


 あったんすよ。マグロ社長から聞いたことがあったから、ピンときたんだけど。


「『活け締め』スキル」


「…魔物は普通に倒すとドロップ残して消えるっす。活〆すると丸々身が残るんすよ」

「対(プレイヤー)では、相手を一瞬で昏倒させることができるのよね?」

「あああああ、お嬢知ってたんすかぁ!!」


 そうこれは、表向きは生産スキル。実は戦闘にも転用できるとごく一部で知られている、対プレイヤー無力化スキルの一つ。


「連星の弟貴用に取っておいたのに! お嬢に手こずったからって、使うんじゃなかったっす!!」


「生産スキルだからか、使用する際に丸わかりなのが難点なのよね。使ってくると張っていれば、対処は余裕よ~」


「必ず解析系のスキルで〆ポイントを指定して表示しないといけないんす…スキル使った奴にしか見えないけど、使われた方に特殊な違和感を付与するらしいんすよね」


 なんていうかな。ナイフを当てられたゾワゾワに、静電気が立って弾けたような感覚だね。

 マグロ社長曰く「それが魚の動きを一瞬止め、続く活〆を実行し易くする」らしいんだけど。知っているプレイヤー相手だと、それが攻撃の予兆にしかならなくなる。


「HP満タンから一気に意識不明バステ付くところまで削るスキルっすからね~」

「うんうん。形勢逆転を狙うなら、使いたくもなるわよね」


 そういうことなのだ。

ちなバステはバッドステータスの略ね。



 生産スキルとしては掛け値なく優秀だし、対人戦の無力化スキルとしても効果は優秀というか強力であるものの、実戦で使うなら不意打ちでしか使えないスキルとなっているのである。一度使った相手や元から知っている相手には簡単に回避されるため、不発とならざるを得ない。


「または相手の動きを完全に封じてからなら、かな」

「それが出来てたら活〆する意味ないっす」


 それはそう。ただし数秒でも捕縛している間に、なら使えるな…ヒューに覚えられたら厄介だ。


「ライハを使って耳に入れさせないようにしよう」

「いやここで聞いてるし。つか、そんなら捕縛してる間に削るぞおれは」


 だからその削りを一気にしつつ、相手を無抵抗な状態にできるスキルなんだってば。


「補助スキルと生産スキルの組み合わせなのですね。蓮華座の定印(防御)中も使えるかもしれません」

「防御で蓮に籠った中からか? 解析で見えるポイントとやらは、蓮を透過して見えるもんなのか?」

「中からでも状況把握はできるんだからぁ、見えるんじゃないぃ?」

「見えるとは思います」

「だがな。今ここで聞いた以上、俺は避けるぞ」

「残念です。ジン兄様以外で試します」

「オレぇ知ってても避けられる自信ないからぁ、オレ以外の人でやってねぇ」


 試合はさらっと終わらせて、観戦に駆け付けてくれたフレたちと観客席で合流しておりました。目の前では次の試合内容が朗々と響いております。前述のバフ料理人氏と誰かの試合のようだ。


「ふっふ…ジン氏との再戦権利ゲット! 雪辱戦!」

()ったことあったか?」

「シゥの! 争奪戦で!!」

「ああ」


 随分前のことだけど、忘れたとは言わせないぞ。


(われ)に選択という名の強制をせし催しであったな…』


 五人(ライハ、ジン氏、コーヤ氏、ラウラ、サイガ君)の中からの選択だったんだぞ。今思うとなかなか豪華メンツだったな、アレ。


お前(シュシュ)とはリアルでも戦ってみてぇな」

「それはわたしも思います、が」


 オリジナル世界()の四家だと、どうやら各本家がバッチバチに意識し合い、本格的な武術大会みたいなのがあったみたいなんだけど。

 今()だと四家はそれぞれ付かず離れずな距離感。護衛家の者同士も協力こそすれ、家格の上下だの敵対だのにはノータッチが基本。むしろ家同士の争いに巻き込むことは、暗黙でタブー視されているほどだ。アラアマが設定したGBNというシステムがあるせいかも。


「ジン兄様が現実で全力をお出しになるなら、私の結界では力不足です」

「オレがぁ補助しても無理ぃ」


 防御に向く西と霊力極高の北、守衛方面にいいとこ取りの北西・小白川家なGBNハーフ(蛍さん)をして、無理と言わしめるほどの火力。バ火力(STR&INT)極振りGBN、半端ない。

 つまりこういう一極集中(バケモノ)も生まれ得るのがGBNなのである。真面目に模擬戦とかやってられないです。


「無尽蔵火力の源泉である、木気の無意識吸収をどうにかしてからかと」

「…訓練はしている」


 ジン氏については、RFA(ゲーム)では遮断されている悪癖(習性)だから楽しく戦えるのであって、リアルにMP無限補給は相手できないヤツなんよ。素手で途切れない爆弾の処理をやらされるようなものなんよマジで。


「なんかわかんねーけど、全員リアルで有名な格闘家かなんかなんすかね? こっそり検索していいっすか?」


 そういう存在じゃないというか、そういう(公的な)ものに名を連ねられない制約持ちがGBNなので。どれだけ探しても、誰も見つからないと思うよサイガ君。

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